主体性のある部下の育て方(1)~主体性と自主性の違い

あなたの近くに、こんな人はいないでしょうか?

・言われたことしかできない。
・指示されたことについて、指示された通りにしか動けない。
・応用力がないので、ちょっとした変化に対応できない。
・「なんで私がこんなこと・・・」と愚痴や不満ばかり言う。
・何かを聞かれたり、決断を迫られると「なんでもいい」と答える。
・誰かと自分を比較して、相手に嫉妬したり攻撃したりする。実はこれは「主体性」のない人の特徴なのです。その為、こうした特徴を持っている人が社内にいる場合には、
「指示待ちくん」として自分から行動できない部下になってしまったり、
「マニュアルくん」として、自ら考えて動くことが出来ず○か?かで考え、応用がきかない部下として、
「あいつは仕事ができないヤツだ」と判断されてしまうことが多々あります。

もちろん、部下だけがそうだとは限りません。
自分の上司に「指示待ちくん」「マニュアルくん」がいた場合には、その上司はさらに自身の上司の指示を仰ぐまで行動出来ませんから、
何か1つ新しいプロジェクトを立ち上げて進めていくのにもとても時間がかかったり、
何かあった時に部下である自分たちを守ってくれないように感じれてしまうこともあるかもしれません。

もちろん、「主体性がない」と周りから見られるその本人も、
仕事へのやりがいや、会社や社会に対して貢献できる喜び、評価され承認されて満たされる感覚がなかなか得られない状態になりますから、決して幸せではありません。

今回から新しく始まる本シリーズ「主体性のある部下の育て方」では、

どうすれば「指示待ちくん」「マニュアルくん」から脱却し、自ら考え、行動できる力をつけていけるようになるのか?

について考えていきたいと思います。

●「主体性」と「自主性」は別のもの

「主体性のない人」の特徴を先にあげましたが、よく誤解されているのが
【「主体性」=「自主性」 である】
ということです。

確かに「自ら行動する」という点では同じように思われるかもしれませんが、「主体性」と「自主性」は全く異なるものです。


じしゅせい【自主性】

自分の判断で行動する態度。 「 -に欠ける」 「 -を生かす」
(引用:「自主性-コトバンク」)
https://kotobank.jp/word/%E8%87%AA%E4%B8%BB%E6%80%A7-281659

つまり「自主性」とは、誰かからの指示や命令がなくとも、自分から行動できる、ということです。

しかしここでの「判断し行動できる」という言葉が指すのは、多くの場合、「あらかじめ”すべき事”が明確になっている物事」に対してです。

「挨拶を率先してやる」「掃除をすすんでやる」「ホウ・レン・ソウは聞かれる前にやる」というような単純なケースから、
「こうした事案が発生した場合は、このように対処する」という対応マニュアルまで、
”率先”して行うことが「自主性」と言えます。

なぜなら、多くの場合で私達が
「指摘される前にもっと自主的に行動しようよ!」
「仕事は待つのではなくて、自分で動いて探せ!」
と指摘されたり、相手に言いたくなる時には

「言われる前に動こうよ!」

という思いが込められているからです。


しゅたい‐せい【主体性】

自分の意志・判断で行動しようとする態度。「主体性のない人」「主体性をもって仕事に取り組む」
(引用:「主体性-コトバンク」)
https://kotobank.jp/word/%E4%B8%BB%E4%BD%93%E6%80%A7-77796

一方、「主体性」とは、どのような状況下に老いても自らの意思や判断で行動できる、ということです。

「今すべきことが何か?」「何を優先すべきか?」という基準が明確でない場合にも、自身で考え、判断し、責任をもって取り組む姿勢がある人は「主体性のある人だ」と判断されることでしょう。

言い換えれば、「主体性のある人」とは、

これを何のために行うのか?という”目的”を自身で明確にでき、
そのためには何をするのか?優先度はどうするか?を”判断”でき、
そのためのリスクも承知の上で”行動”できる人。

なのかもしれません。

また「主体性」のある人は”改善点”を見つけ対処していくことに長けています。
それは自分のすべきことを明確にする力だけでなく、

・解決策がまだないもの
・先行きが未定なもの
・役割が明確でないもの

に対しても、”率先”して行動をおこし、周りと協力しながら物事をすすめていくことができるからです。

例えばそれは「より効率的になるように業務フローの改善策を練る」ことであったり、
「効果的に収益を上げるための仕組み作りを考える」であったり、
「プロジェクトリーダーとして、メンバーの能力を活かすとができるように業務を分配する」というような場面で発揮されます。

一般的に日本では、会社や組織、コミュニティで求められるのは「自主性」の側面が多いのではないかと思います。
「やるべきこと」が決まっている中で、いかに”率先”して動くのか?

終身雇用の時代であれば、カリスマなリーダーがいればその部下達は「自主性」を伸ばすだけでも十分成果があがりますが、多様化する現在ではなかなかそれだけでは回っていきません。

とは言え、いきなり「主体性を伸ばすぞ!」というのも、どこから手をつけたらいいのか?がわかりにくいものでもあります。

すべきことが明確な場合に、それを”率先”して行える「自主性」。
すべきことが明確でない場合に、それを”率先”して明確にし行動できる「主体性」。
これは共に大切なスキルです。

まずは

『今の自分には「自主性」と「主体性」のどちらの要素が不足しているのか?』

を明確にしてくことから始めましょう。
それは自身のスキルアップに繋がるのはもちろんですが、
部下に対して「あの人には何が不足しているのか?」「どの部分を伸ばせばいいのか?」が見えやすくなりますよ。

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。