謝罪をするときのお話し

部下が相手方に、失礼な対応をしてしまった。
こちら側のミスで、相手方に迷惑をかけることになってしまった。残念ながら失敗は、私たちが人間である以上、いくら気を付けていても起こります。ところは
起こってしまいますが、ビジネス上の失敗は、その後の関係性にも大きく影響しますし、なかったことにというわけにはいきません。
こんな時は、どのように謝罪するかが、とても大切です。

まずは、心から謝罪するということが大切なのは、皆さんもご存じのことかと思います。
ですが私たちは、「悪いことをしてしまった」と強く思うことによって、つい素直に謝罪できないときがあります。

「そうは言っても、あの人の〇〇なところも悪いのですよ」
「うちだけじゃないですよ。他にも同じようにしているところはたくさんありますよ」

これをやればやるほど、相手方の怒りに火をつけてしまいます。
収まるものも収まらなくなってしまいます。

なぜ相手方の怒りに火をつけてしまうのかというと、「私は悪くないですよ」という意味のことを言ってしまうことによって、相手方が「悪い」ということになってしまうからです。
言っている側は、「私は悪くない」ということを伝えたいだけで、「あなたが悪い」と言っているわけではないのですが、「私は悪くないですよ」という言動は、「私は悪くない=それを許さないあなたが悪い」というように伝わってしまうのです。
テレビで放送される謝罪会見などでも、素直に誠実に「申し訳ありませんでした」と謝罪する人は、見ていて気持ちいいですが、私は悪くないですよという言動の人に対しては、嫌な感じをもちますよね。

まずは、相手方に嫌な思いをさせてしまったことに対して、誠実に謝罪します。
そして、そのあとが大切です。

しつこく「本当に申し訳ありません」「どうかお許しください」のように、延々と謝罪しつづけるのもまた、相手方に悪い印象を与えてしまうのです。
なぜなら、しつこく何度も何度も謝罪される側というのは、「あなたは、こんなに簡単に許してくれる人ではないですよね」と言われているような気分になるからです。
「怒りますよね」「根に持ちますよね」「許さないですよね」と扱われたとしたら、これもまた良い気分にはなれません。

ですから、誠実に謝罪した後は、「でも、お相手が〇〇さんで良かったです。ご迷惑をおかけしたのは本当に申し訳なかったですが、〇〇さんでなかったら、命取りになるところでした」という具合に言ってみましょう。
もちろんその通りでなくても結構ですし、お相手とのお付き合いの程度により、言葉遣いは変わってくるかと思います。

これは、「〇〇さんは、私を追い詰める人ではないですよね」と相手方を扱っていることになります。
つまり「〇〇さんは、許してくれる人ですよね」ということです。
あなたは、やさしい人ですと扱われて嫌な人はいません。
許してくれない人ですよねと扱われるのは気分が悪いですけどね。

人は一緒にいて、良い気分を感じる人に好感をもちます。
反対に、嫌な気分を感じる人には、嫌悪感や敵意をもつものです。

謝罪は、できればしたくないことですが、謝罪するときでも、相手に良い気分を感じてもらうことが、とても大切なのです。
潔く誠実に謝罪し、相手を悪者にしない。
これがとても大切なのです。

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この記事を書いたカウンセラー

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