夫婦喧嘩とその落ち着き先 ~平和な一日の終わりに~

その日はとても平和な一日でした。締めくくりは大好きな緒形拳さんの遺作と
なった「風のガーデン」と言うドラマでした。エンディングに差し掛かり、幸
せだなぁ(*^^*)とゆったりほっこりした気持で平原綾香のノクターンを聴いて
いた23時前。
後はお風呂に入って寝るだけ♪状態で寛いでいたその時、いきなりキムタクの
ドラマ「HERO」のテーマ曲が携帯電話から流れだしました。
大きな喧嘩の幕開けです。


夫:「すごい(雨が)降ってるわ~。迎えにきてくれへんか?」
いきなり迎えに来いと言われても時間は23時前、おまけに駅まで歩いて15
分、もうひとつおまけに道は暗く人通りも少ない、その上最近ひったくりも多
いと聞いている。。。
一瞬でそれだけの考えが頭を巡った私。怖いなぁ・・・嫌だなぁ・・・と言う
のが正直な感想です。
そこで・・・
私:「駅の反対側にハートイン(コンビニ)があるからそこで傘を買って帰っ
ておいでよ。」
夫:(舌打ち)「どこにあるねん?」
私:「駅の裏にあったやん。」
夫:「わかったわ!」
何故か激しく機嫌が悪いのです。何かあったのかな?と思っていると再び「H
ERO」のテーマ曲が流れ、
夫:「そんなもん無いぞ!」
私:「えっ?無くなってる?」
夫:「無いわ!!」
私:「じゃあタクシーで帰っておいでよ。」
夫:「そんな金無いわ!」
私:「じゃあ、着いたら私が支払いに行くからタクシーで帰っておいでよ。疲
れてるねんし(疲れているのだし)・・・」
ブチッ←電話が切れる音
うーん。めっちゃ怒ってるなぁ(-“-)
傘を買いに行ったんだからお金無いはずないのに・・・
出来たらタクシーで帰って来て欲しいなぁ。600円(タクシー代)を惜しん
でひったくりにでもあったら後悔するよ・・・と深夜に駅まで歩くことにびび
る私。実はとっても怖がりなのです^^;;
なのでなかなか機嫌良く「迎えに行くわ~^^」とは言えません。
それどころかだんだんと腹が立って来ました。
大体せっかく買った折りたたみの傘を持って行けへん方が悪いんとちゃうん?
なんでそんなに偉そうに怒鳴り散らすんよ?
その態度はなによ!腹立つ~~!!
そう思う一方で放っておくのもどうかなぁ・・・と悩むこと数分。再び電話を
掛ける私。
しか~し、相手はかなりお怒りのようで電話に出ない。留守電の応答メッセー
ジを聞いては電話を切り再び掛けなおす、と言うのを繰り返すこと3回。よう
やく電話が繋がりました。・・・が
夫:「なんやねん!」
私:「タクシーで帰っておいでよ」
夫:「もうええ!俺が決める!! お前迎えに来るんが嫌やったら新しいスー
ツを出しとけよ!もうびしょびしょやねん。」
私:「じゃあ、迎えに・・・」と言いかけた時、電話が再びブチッと切れまし
た。( ̄□ ̄;)!!
あ~あ、もう嫌やなぁ。子どもみたいやん(-“-)
どうしよう?このまま放っておく?それとも取り敢えず駅まで迎えに行く??
この葛藤をしばらく繰り返した私でしたが結局行くことにしたのです。
道は怖いし面倒臭いけどこのまま行かなかったらめっちゃ不機嫌なんは目に浮
かぶ。それは嫌やわ。←これが一番の理由です^^;
と言うことで夫の傘を左腕にひっかけ、うんざり感山盛りで駅までの道を歩き
出したのですが案の定、雨はざざ降りで暗く人通りの少ない道は凄く怖い。
心臓をバクバクさせながらひたすら歩くこと15分。
駅に着いてみると・・・夫はいません。
上手くいかないときはトコトン上手くいかないんですよねぇ。(T_T)
しばらく待ってみようと駅のベンチに腰掛けて、何度か電話を掛けてみますが
応答するのは留守電ばかり。
30分ほど待ったのですが会うことが出来ず、最後にもう一度だけ電話をして
帰ることにしました。
応答したのはやはり留守電。「もしもし。何処にいるのかな?30分ほど待ち
ましたが会えないので今から帰ります。」のメッセージを残して家路に就いた
のです。
時刻は0時ちょっと前を指していました。
ざざ降りだった雨もやみ、2本の傘を左腕に掛けて人気のない暗い夜道を急ぎ
足で歩きながら「私はこんな時間にこんな所で何をしているんだろう?つい1
時間ほど前まではあんなにほっこりと幸せだったのに・・・」と情けない思い
でいっぱいです。
家に帰るとドア越しに明かりが見えます。ドアを開けると傘立てには見かけな
い濡れたビニール傘が置いてあります。夫はと言うとリビングで、用意してお
いた夕食を食べ終りテレビの前で本を読んでいました。
そして私を見て「まさか迎えに行ってたん?」とのたまったのです。
夫のその言葉を聞いた途端、私は言葉を失いいきなり感情が噴き出しました。
怒り心頭に発するとはこのことです。
こうなると私は
貝になります。。。
黙るのです。。。
ひたすら無視です。。。
何も言わずにそのままお風呂に直行しました。そうなると夫は寝床に逃げ込む
のがいつものパターンなのです。
リビングに戻ると想像した通りテレビは消え部屋の電気も消えて真っ暗、当た
り前ですが夫はいません。
いつもならテレビも電気もつけっぱなしの夫なのですが。
その時に私は心に決めました。明日の朝は絶対に起きない!!と。
ここは怒らなあかん!と。
翌日夫は、多分まだ乾ききっていなかっただろうスーツを身に着け黙って出勤
して行きました。
新しいスーツはちゃんと同じハンガーラックに掛っていたんですけどね、それ
を見つけられなかったようです。
夫の出勤後ゴソゴソと起きだした私は、昨夜の怒りがまだまだ解けず「ふん!
私を怒らすとこうなるのよ!」くらいの勢いです。
こんな激しい喧嘩のあとは仲直りが難しいのです。
あまり激怒しない私ですが、今回はかなり怒っています。
夫の理不尽な態度にも、家に帰り私がいないことに気付きながら電話の1本も
して来なかったことにも、もちろんごめんの一言がないことにも。
一体なんなんだ?
夕飯を食べ、本を読んでいる間私のことは心配じゃなかったのか?
何が「まさか迎えに行ってたん?」だ?
あんな夜中に他にどこへ行くと言うのよ?
あの大人げない態度は何なんだ?
こんな思いがいっぱいです。
この喧嘩は長引くかも・・・ そんな風に思いました。
そしてその夜。
私が入り口近くにある勉強部屋に籠っている時に夫が帰って来ました。
普段はここを素通りしてリビングに直行する夫がドアをノックしたのです。
珍しいなぁと言う思いと何の用?と言う思いで「どうぞ」と応えるとドアが開
きました。
そこには何とも申し訳なさそうな、情けなさそうな顔をした夫が立っていまし
た。こんな顔をした夫を私は初めて見たのです。
何も言わないし、ごめんの一言もありません。ただ私を見て立っていました。
昨日私が吹き込んだ留守を聞いたのでしょうか、すごく反省した様子が見てと
れました。
夫のその表情を見た時に、私は「これが夫のごめんなんだな。」と悟ったので
す。
本当はごめんの言葉も欲しかったし昨日のいきさつも聴きたかったのです。理
不尽な言動に対しての文句だって言いたかったのです。
でも「もうここで終わりにしよう。」と思いました。
「ごはん出来てるよ。」と私が言うと夫は「うん。」と言ってドアを閉めまし
た。
いきなり勃発した嵐のような夫婦喧嘩は結局ここに落ち着きました。
昔なら一週間は引きずっていたかも知れません。
戻って来た平和な生活の中であの喧嘩を振り返る時、追い詰めないで良かった
なぁと独りごちる私なのです。
西田夕伎栄のプロフィールへ>>>

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。

コメントを書く


※スパム対策の為コメントは承認制とさせて頂いております。書き込み直後には画面に反映されません。
また、確認のためのプレビューは行えませんのでご了承ください。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください