豊かさのバランス

最近、ご年配の知り合いの方と話をする機会が続きました。
皆さん僕より三十以上、年上の方々です。
人生の大先輩達とそれぞれ、別々の日にお会いしたのですが、
なぜか?皆、同じ様な話題になっていくのです。
こう言うのって少々気になってしまいます(笑)
たわいない雑談をしていただけなのに、
最後はすべて「豊かさ」の話に繋がっていくのです。
どうして僕は何度も豊かさの話を聞いているのだろう??
ますます気になってしまいますよね(笑)


大先輩達の話はこうです。
先輩「私達の時代から比べると、あなた達の時代は本当に豊かになったよね」
先輩「昔は本当に物が、無くてねえ・・・」
子供の頃、おじいちゃん、おばあちゃんによく聞かされた話ですよね。
確かに昔の生活を聞くと、今の生活には豊かさが溢れていますよね。
海外旅行にも行けるし、街には色んなお店が所狭しと並んでいます。
皆一人ずつ電話を携帯していて、いつでも誰とでも話を出来る。、
パソコンを開けば、世界中のありとあらゆる情報を今、手に出来ます。
交通も発達しているわけで、かなり遠方にまで日帰りで行ける時代です。
その昔に比べると、物に囲まれ、情報に溢れ、時間もすごく節約できるはず?
経済の発展、経済的な豊かさを追求するにはどれも欠かせない”もの”です。
先輩方も皆、そんな僕達の豊かな時代を祝福して下さり、
ますます豊かになるよう頑張ってねと、応援して下さいます。
でもその後、必ずこんな話に移っていくのです。
先輩「でもね。あの時代のような豊かさはもう味わえ無いよね」
僕 「え?」
物が無い時代・・・
家では母親が毎日、工夫を凝らしながら家族のために食事を作り・・・
テレビも無いわけで、食事の後はお団子を作って近所の人が集ったり・・・
どこかに出かけるときは「歩く」・・・
きっと毎日、朝夕の空気の香りや、季節が移り変わる瞬間も味わえたのだろう。
こんな話もありました。
僕は京都に住んでいるのですが、京都の街の中に高瀬川という小さな川が流れています。繁華街の賑わいの中、今までも綺麗で情緒漂う川なのですが、
街のど真ん中に流れるその川に、昔は蛍が飛び交ってたそうなのです。
夏の夜、好きな人と街をぶらぶら歩くと、
柳に覆われた小さな川に蛍が舞う。
そんなロマッチックな時間が流れていたなんて・・・
すごく”豊か”ですよね。
物に溢れた時代の僕達が、その時代にタイムスリップとしても、
すぐに同じ豊かさを感じられるのかは分りませんが、
先輩達が生きたその時代には、その時代の「豊かさ」があったのです。
そして先輩たちは、決して僕達の時代を否定はされる事はありません。
でもこんな気持ちも教えてくださいます。
先輩「事件が多いこの時代、普通に街を歩くのも少し恐いよね」
  「私たちの時代はもともと物が無いから、
   その事で耐えられない苦痛を感じることは、あまり無かったかも知れない」
今この時代を生きる僕達心の中は・・・
外食すれば、もっと高級なお店に行けない事を嘆き。
子供の教育費のことでいつも不安を感じ。
欲しい車が手に入らないことを悲しみ。
欲しいものを手に出来ないお金の量にいつも怒る。
心の中は、少し豊かさを失っているのかも知れません。
次の世代には・・・
今の豊かさと、昔あった豊かさと、その両方が味わえる時代にしてあげたいですよね。
※吉原 直人は2007/6月でカウンセリングサービスを退会しました。

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