やりたい事を見つける〜感情からのアプローチ〜

2007年問題、一度はこの言葉を耳にされたことがあるのではないでしょうか?
日本の高度成長期を支えてきた団塊世代の人口ピーク(1947年生まれ)の人々が、丁度60歳を迎える年です。
企業で働いている多くの人たちが60歳で定年を迎えるとすると、たくさんの人たちが企業を去ります。
企業の中は、近年、国際規格である品質マネジメントシステム(ISO9000)などで、仕事のやり方などルール作りが結構進んでいるのですが、ルールに反映しきれない細かいノウハウや、勘所が必要な技術などが、後輩にうまく継承されずに多くの人々が企業を去っていくと、会社や社会が混乱するのではないかと危惧されています。これが2007年問題です。


少し前の事になりますが、銀行のコンピューターシステムがダウンして、多くの人々がキャッシュカードを使う事ができなくなったり、振り込みが出来なくなった事故が何度かありましたが、この事故は2007年問題の先駆けと言われています。それは、現在のコンピューターシステムの基礎を構築してきた団塊世代の人々が現場を離れ、あるいは会社を去りはじめて、コンピューターシステムの細かいノウハウが後輩のエンジニア達に十分に引き継がれていなかったからではないか、と考えられているからです。
さて、2007年問題をもう一つの側面から眺めてみると、多くの人たちが仕事の第一戦から退くことになります。
今まで、会社の中で様々な役割を担い、頑張ってきた人達。定年の次の日からは、責任のある仕事や立場から解放されることになります。
定年の日、後輩や家族から「おめでとう」「お疲れ様」の言葉をもらい、やり遂げた満足感を感じながらも、しかし同時に何か少し寂しさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
退職後はのんびりと・・・と考えておられる方も多いと思いますが、1週間も経ってみると、家でただブラブラしていても時間を持て余してしまう、でも、これといってやる事がないなぁ〜という方も大勢いらっしゃるようです。
退職前になると、年金の受給や退職金の取り扱い、退職後の健康保険の説明などで退職者のための説明会が開かれる事がありますが、その中で、「趣味を持ちましょう」という話をされる会社もあるようです。それまで、会社のため、家族のために一生懸命働いてきた人生から、自分のために何かをする第2の人生を楽しく生きましょうという話ですね。
既にライフワークと呼べる何かや趣味を持たれている方々はそれを継続されたり、また新しい事を始められるなどされて第2の人生を楽しくスタートされる方が多いようです。
しかし、中には、退職してから何かしたいんだけど何もやる事がない、やる事を思いつかない、これだと思ってやってみたけど、どうもしっくりこない。結局、どうしていいのかわからない・・・・・という方もいらっしゃるようです。
人間、何もやることがなくなると、気分が冴えなくなりますね。
できれば、早めに何かライフワークのようなものや趣味を見つけられるといいのではないでしょうか。
しかし、そう思って今まで色々考えたけど、どうもやりたい事が見つからない・・・という方もいらっしゃるのではないかと思います。
そんなときは、具体的にやりたい事をあれこれ思い浮かべるのではなく、自分の気持ち、感情に向かい合って、やりたい事を探してみるのも一つの手ではないかと思います。
例えば、ジェットコースターに乗るのが好きな人は、ハラハラドキドキを味わうためにジェットコースターに乗ります。また、大自然の中を歩く事が好きな人は、自由を感じたり、開放感を感じたり、自然の偉大さを感じるためにそうします。
人間がやりたい事の殆どは、実は、感じたい感情や感覚を手に入れるためにやっているんですね。
さて、では具体的にどうやって感情や感覚からやりたい事を見つけるかというと・・・。
1.先ず、自分が欲しいと思う、あるいはこれがあればいいなぁと思う感情や感覚を10個以上、できれば20個ぐらいあげてみます。
感情や感覚とは、物ではなく、例えば「喜び」「達成感」「スリル」「安心感」などといった心で感じるものです。
「名詞」や「動詞」ではなく、「形容詞」や「副詞」に着目されると考えやすいかも知れません。
2.この10個以上の感情や感覚を、グループ分けしてみます。ご自分の判断でこれとこれは似ているなぁ、と思う感情をグループにしてみます。グループにまとまらない場合は、ただ1つだけの感情をグループとして独立させても構いません。
3.いくつかのグループに分かれたら、そのグループが現している代表的な感情や感覚は何かなぁと直感的に思ってください。
考え込まないのがコツです。
すでにグループの中にある感情や感覚でもいいですし、新しい感情や感覚を代表としても構いません。途中で、「これは必要ないかな」と思った感情や感覚があれば、それは外してしまっても構いません。
4.グループを代表する感情や感覚がおおよそ5個以下にまとまってきたら、そのグループを代表する感情や感覚に着目します。これが、あなたが何かで得たいと思っている優先順位の高い感情や感覚です。
5.では、この感情や感覚を得られる事は何か、と探します。ご自分で考えられてもいいですし、誰かにその感情や感覚のお話しをされて、どんな事があるか考えてもらってもいいかと思います。すぐには出てこないかも知れませんが、ご自分が望まれている事が明確になってくるので、やりたい事を探しやすくなると思います。
そうして、何かやりたい事が見つかったら、あとは具体的に行動してみるだけですね。
きっと、楽しい感情や感覚を味わう事ができると思います。
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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。