数字のおはなし〜成長曲線〜

 家を片付けていました。そうしたら、小さな小さな、名前入りの足首にはめ
るバンド。そこには「中村ベビー○月○日○時○分出生  2230g 」と
いう記載が。
 我が家長男が生まれてすぐにつけられたバンドでした。この数字を見てわか
るように、彼は本当に小さく生まれました。10ヶ月お腹にちゃんといて、母
子共に健康・・・だったんです。


こういった場合に考えられるのはいくつかあり、母体に糖尿病等の病気がある場合や
赤ちゃん自身の病気の場合、胎盤の機能不全等々・・・。うちの場合はそのいずれで
もなく、お医者様の言われるには「母体に極度の精神的ストレスがかかった結果」だと
のこと。実はもっと詳しく説明を受けたのですが、もう19年も前のこと、詳細までは憶え
ていないのです。
も、産声の後、助産師さんの「あらぁ、赤ちゃん小さいわ」と言う声、今も聞
こえるようです。でもそれより何より、彼がこの世で一番初めに上げた声がと
ても元気だったので、その時は何も心配していなかったのです。
 妊娠すると、妊娠の診断書を持って居住地の役所等に行き「母子手帳」を発
行してもらいます。まだ赤ちゃんの欄はもちろんすべて空白、母親のページの
身体的なデータが検診に行くたびに更新されます。(私が出産した時に比べ、
どうも最近の方が体重制限などが厳しいような気がするなあ、余談ですが。)
血液検査や尿検査、身体測定やエコー診断、内診等の結果が書き込まれるので
す。自分で書く欄もありましたが、ものめずらしい初期以外は私ったら何も書
いてなかったな・・・仕事もあり、時間も体力も潰えていた、と言うところかな。
 子供が出生すると、そのデータがすぐに記入されます。身長、体重、頭囲、
胸囲、血液型、出生時の状態、など。私がお世話になっていた病院では「アプ
ガールスコア」と言う数値を記入していました。10点満点で、出生時にまず、
そして1分後、5分後・・・の数値を出すのだった、と思います(間違ってい
たらどなたか教えてくださいな)。要するに、赤ちゃんの状態を数字で表現す
るのですが、・泣き声(泣いたか、その時間はいつかなど・・・つまり呼吸の
有無、でしょうか) ・肌の色(赤みがあるか。チアノーゼなどはないか)
・手足の運き・心拍数・・・などについて各2点ずつ5つのポイントでみるのです。
   *皮膚色、心拍数、刺激への 反応性、四肢の活動、呼吸数を各2点で評
価、満点は10点、出生直後、1分後、5分後で計測、とわかりました*
 長男はこの数値は出生直後に10点ですから、元気な赤ちゃん、のはず。とこ
ろが低体重出生児、という記載もされていました。現に、体温を保つことが上
手ではなくてすぐに保育器へ。彼の皮膚はたるんでいました、つまり、一旦育
っていたのが体重が落ちてしまった、と言うこと。低血糖を予見されるのでブ
ドウ糖の注射や体温の保持と観察のため(病気が隠れていないか)NICU
(新生児のICU、と言うところでしょうか?)に。数日間は抱けるのは授乳
の時間だけ。まあ、3日目にはあせもができ、泣き声が大きいので(中にはほと
んど動きのない赤ちゃんや何らかの疾患が見つかっている場合も)母子同室へ。
 そんなことがあり、新米の母親としては目安になるものもないし、頼りにな
るのは「数字」。生まれたときの数値は1つを除いて10パーセンタイルより下
で・・・(つまり1000人のうちでは小さい方から10人以下ということ)、これ
が3歳くらいまで続きました。つまり、体のサイズだけで言うなら、月数に比
べて相当小さい、と言うこと。今もあるのだと思いますが、母子手帳には成長
曲線のグラフがあり、身長、体重、胸囲、頭囲などを書き込みます。平均値の
グラフとそれぞれ大きい方への10パーセントと小さい方の10パーセントのグラ
フがあります。極端に大きい場合、小さい場合がわかるので、ここから疾病や
障害、ネグレクト(育児放棄)や虐待が把握されることも多いのだと思います
が、定期健診の度に記されるこのグラフが、じつは母親としての私には結構応
えました。
 おなかの中にいた頃に良い環境を作れなかったのは、もしかしたら努力不足
ではなかったか。つまらないことを気にしたために息子は小さく生まれ、体力
がなく弱いのではないか、生まれてからも栄養が足りてないからなのではない
か等々。まだ若かったし、今思えば重要なプロセスだったとは思うのですが、
弱くて食も細い長男にずいぶん心を痛めました。幸い、大した病気もなく今に
至ります。今後の彼の人生については思うところはありますが、こうして元気
でいてくれることが一番嬉しい、と思っています。元々人より体の成長もゆっ
くりやったし、何も考えて無いわけでもないのだから・・・と思えるのは、生
まれたときからの彼のマイペースぶりのお陰かもしれません。
子供が生まれ成長して行く過程に、こんなふうにたくさんの数字が出てきます。
アプガールスコアに始まり、成長曲線、体だけでなく発達段階についても、
1歳半検診ではこういったことが、3歳児検診ではこう言ったことが・・・とま
るで試験のような気がしたのは私だけでしょうか。
ちなみにこの長男は言葉が早く、2歳になる前から言葉による意思の疎通はしっ
かりできていて、2歳半にはひらがなが読め、保育所の友達に教えてやっていま
した、親が一番びっくりしました!だって教えてないんですからね。これはお
そらく標準よりは早いのかも知れません、ご近所の方に「どこで習ってるの?」
と聞かれたくらいですから。いえ、自慢ではないのです、次男は就学直前でも
ひらがなが読めず書けず、でしたからね(苦笑)。しかし次男は、4歳の時に引
き算ができました。これも偶然解ったことで、私が車の時計を合わせてなかった
のに次男が気づき、「今、ほんまは○時○○分やんな。この時計が7分進んでるか
ら」と言い当てたんですね。うちの子は天才や!と思いました、あの頃は(懐か
しい)。
数字、と言うのは本当に判りやすい目安だと思うんですね、何にしてもです。悪評
高い?偏差値にしてもその世代の生徒の成績を学校ごとや地域ごと、あるいは全
国レベルでどの位置にいるかを知ることができるわけで
す。でも、ある学校での偏差値は低いけど外に出るとそうでもない、とかその反
対のことも起こりえます。数字を使った指標と言うものは判りやすいけれども紛
れてしまって(あるいは意図的に紛らして?)、何らかの立場から示したことで、
意味を持つ、と言う気もするのです。
医療職の資格を持つ友人に言わせると、「私は低身長ぎりぎり」なのだそうです。
でも、本人はそ〜なの〜?と言う感じです。低身長のカテゴリーを詳しくは知ら
ないのですが(勉強せねば・・・と言うことが本当に多いのです^^;)、昨今の
「予防医学」の観点から見た時には防げるものなら防ごう、という範囲にはいる、
と言うことなのかもしれません。ただ、私は幼児期に左膝下部不全切断、つまり
膝関節のすぐ下で切断しかかった、と言う大怪我を負っていて、最後の手術のお
りに「身長が伸びて左右の脚長差が大きくなったら健脚(健康な脚、この場合に
は右足ですね)の膝関節をボルトで成長を止めなければ躯体が大きく歪む」と言
われました。この、私の「約150センチ」と言う身長は、それでも左右の脚長
差が4センチほどあるので、これ以上伸びていたら明らかに違う形の障害も負っ
ていたことになります。他の病気で左右の脚長差が10センチ近い知人がいるので
すが、内蔵が一方に偏っている、というんです。
成長ホルモンの影響で本当に不自由をしておられるケースもあると思うのです、
それは背が低いケースだけではなく、成長が止まらなかったりバランスが悪かっ
たり・・・いずれにせよ多少なりとも不便ではあると思うのです。確かに事前にわ
かっていて調整ができれば、家庭生活、社会生活での不便さは少なくなると思う
のですが、でも、バレーやバスケットの試合を見ていると、また思いも変わりま
す。さらに背が高い方が有利、と言われている競技でも時には小柄さを活かして
成績を上げる人もいるんですよね。
本当に難しいですよね、個性と「数値」との兼ね合い。実は私は肝臓系のある酵
素値がいつも高いのです。15年位前に気づき、様々な検査をして、疑われた「胆
石」も「脂肪肝」も・・・アルコールの影響も(飲めるのです。顔にも出ません。
しかし、滅多に飲まないのです。)関係なく、高めなんですね。どうやら体質ら
しいのです、そう言うこともあるらしいんですね。これによる弊害が私は今のと
ころ自覚がなくて、一年に1〜2回検査をしてもらって他に異常はないのですね。
だけど飲める体質なので飲みすぎは重々気をつける、と言うことになり、予防に
は向いているんですよね。
うちの息子たちは、私も元夫も大柄ではないし、双方の家系もそれほど大きくは
ありません。なので、遺伝的にはやはり身長は低め、と考えられますが、現実に
そうなっています。息子たちは、身長が高い方がスポーツには有利、と思ってい
るようですが、ことをそれほど重大には受け止めていないようで、次男にいたっ
ては「人と違うからけっこうおいしい」と言う発言まで。まぁ、本心は解りませ
んが。
うちの父は、終戦間際に特攻隊へ志願しようと考えていたのだそうです、当時
14歳。年齢も下限ぎりぎりだったのかしら?でも何より身が足りなかったんです。
で、志願は叶わず。そういった話を長男と「戦艦大和」の番組を見ながら話して
いました。すると長男はこう言いました。
「俺は身長が低いから色々思ったこともあるけど、そう思ったらお母さんや俺ら
が今この世におるのはじっちゃんが背が低かったお陰なんやなぁ!」
数字がもたらしてくれる恵みは本当に多いですね。それは否めないと思います。
でも、数字・数値のはざまで、「計ることができない」ことが本当に多いんじゃ
ないかな、と思います。
上手に使って、活かして、より良い生活・人生を目指すこともできるんですよ
ね。だって、数字を使えるのは私たちが人間だからですもの。人間らしく生きる
ための、とても便利な道具、って私は思っています。
身の周りの数字をそんな目でみて見たい、と思うのです。
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