「偏差値の高い学校を出ることが非常に大切だ」という「観念」にしばられていると、自分の価値を見失ってしまい、他人から馬鹿にされ人生つんだように感じてしまうかもしれません。
学歴では測れない価値を認められるようになることが抜け道といえます。
今さら学歴は変えられなくても、物事のとらえ方は変えられます。
あなたは学歴コンプレックスで苦しんでいませんか?
学歴コンプレックスとは、ひとことで言うと、行きたい学校や学部に行けなかった等の理由で、自分の学歴に劣等感を抱いていることをいいます。
その原因は経済的な理由をはじめとしてさまざまですが、今日はその中でも、受験に失敗したことで抱える学歴コンプレックスについて考えたいと思います。
たとえば、こんなことに身に覚えがありませんか?
・学歴の話になると肩身が狭くて、すごく嫌な気分になる。
・自分の卒業した学校の名前を絶対に人に言いたくない。
・自分の卒業した学校名がバレたら馬鹿にされると思う。
・あの学校にしか行けなかったことを、親などに申し訳なく思う。
・受験で失敗したことを「ああすれば良かった」と今でも悔やむ。
人生を左右するのは学歴であるかのように感じてしまい、理想の学歴を手に入れられなかった自分は、一生その十字架を背負っていかなければいけない罪人のような思いを抱いてしまうかもしれません。
◇学歴コンプレックスをもつようになった心理的な理由
学歴コンプレックスをもつようになった心理的な理由は、「偏差値の高い学校を出ることが非常に大切だ」という「観念」からきているといえます。
観念というのは、人それぞれがもっている「思い込み」や「決めつけ」のことで、「こうあるべき」「こうあるはず」という思いです。
私たちは成長の過程でいろんな観念をつくったり、しつけの一環で親の観念を引き継いだりします。
「偏差値の高い学校を出ないと、ろくな大人にならない」
「うちの家族は皆いい学校じゃないとだめ」
このような観念をもっているとしたら、それが厳しいルールとなって自分自身を縛り付けます。
受験に失敗して偏差値が思ったほど高くない学校に行ってしまうと、「こうあるべき」自分になれなかった思いから、自分にまったく価値がないと感じてしまうことがあるのです。
同じ学校を卒業しても学歴コンプレックスをもたない人がいるのも、その人はあなたとは別の観念を持っているからといえるでしょう。
◇学歴コンプレックスによって起こりうる問題
学歴コンプレックスによる問題は、自分の価値を見失ってしまうことにより起こると考えられます。
たとえば、
・学歴が良くない自分には価値がないと思い、徹底的に自分にダメだしをする。
→自尊感情がダダさがり、いろんなことに自信がもてなくなる。
・他人も自分と同じように、人を学歴で判断するだろうと思ってしまう。
→学歴が良くない自分は馬鹿にされるだろうと思う。
・世の中もまた学歴で人を判断するだろうと思ってしまう。
→学歴が良くない自分の将来は明るくなく、人生がつんでいると感じる。
・学歴コンプレックスのある人は、他人を学歴で判断してしまう。
→学歴の良い人に卑屈になったり、自分より偏差値が低い大学を出た人をばかにしてしまう。
◇学歴コンプレックスによる苦しさを手放す
学歴コンプレックスによる苦しさを手放すには、自分へのダメだしをやめて自分の価値を取り戻す必要があるといえます。
そのためには、まずふたつの選択肢があるかもしれません。
1.学歴に代わる難しい資格の取得や、大学院への挑戦などで、良い学歴に匹敵するものを手に入れて、自分の価値を取り戻す。
2.学歴以外で自分の価値を取り戻す。
ここでは2の、学歴以外で自分の価値を取り戻すことを考えてみます。
学歴というのは人の価値を測るわかりやすい物差しですが、学歴では測れない価値もありますよね。そのような価値を価値であると思えないのが学歴コンプレックスの特徴だといえます。
学歴と同等かそれ以上に大切な価値を認められるようになるには、
「学歴がなにより大切だという世界」から、「いろんな価値観を大切にする世界」へ、心理的なお引越しが必要だといえるでしょう。
それは「学歴が人の価値を決める」という観念(思い込み)を、「絶対にそうだ」から、「そういうこともあるし、そうじゃないこともある」などのように緩めることから始まります。
とはいえ、これまで長年もっていた観念は、簡単にゆるめられるものではありませんよね。
そんなときは、ためしていただきたいのです。
まず、学歴至上主義の中でずっと頑張ってきたあなた自身に、「本当によくがんばったね」と心から労いの言葉をかけてください。
幼い頃から勉強を頑張り、その後学歴コンプレックスを感じ続けてきたことが、どれほど苦しいことだったのか、あなたが一番よく知っているはずです。本当にあなたは、よくがんばってきましたよ。
また、理想の学歴を手に入れられなかったことで自分自身を責めているとき、実は大切な誰かを喜ばせてあげられなかった(悲しませた)自分は罰せられるべきだという罪悪感があって、それが辛いということもあるようです。(例:受験に失敗してお母さんをがっかりさせた申し訳なさ、など)
心当たりがあるならば、あなたはそれほどその人のことを喜ばせたかったんですよね。
あなたは本当に優しくて、思いやり深い人です。
そんなあなたの価値を認め、褒め、そして受け取ってくださいね。
こんなふうに、学歴コンプレックスのある現状を「行きたい学校に行けなかった」ということだけでなく、別の視点を取り入れ評価することが「いろんな価値観を大切にする世界」への第一歩になるのではないでしょうか。
(完)