「母親だからできて当然」ではない
「母親になったのだから、子育ては当然できるはず」
「愛情があれば、自然にうまくやれるはず」
そんな“理想の母親像”に、自分を当てはめようとしていませんか?
実際には、子育ては初めての連続です。
いくら育児書を読んでも、他人のアドバイスを聞いても、必ずしも思い通りにはいきません。
泣き止まない赤ちゃん、イヤイヤ期、思春期の反抗。
ひとつ乗り越えても、また次の壁がすぐにやってくるような感覚。
そんなときに、「私、母親失格かも・・」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
けれど、そもそも母親だからといって、最初から完璧に子どもを育てられるわけではありません。
私たちは、子どもと一緒に、ゆっくりと「母親になっていく」存在なのです。
子どもが1歳になったら、母親も1歳なんですよね。1年1年、母親を積み重ねていきます。
日々迷い、悩みながら、それでも前に進もうとしているあなたの姿は、子どもに育てられている、とっても良いお母さんなんです。
「完璧でなければならない」は、自分を苦しめる
真面目で責任感が強いお母さんほど、「ちゃんとしなきゃ」「失敗しちゃダメ」と自分にプレッシャーをかけてしまいがちです。
たとえば、子どもを叱った後に「泣かせてしまった」「もっと上手に伝えればよかった」と自分を責めたり、仕事との両立に疲れて「もっと子どもと、向き合うべきだったのでは」と後悔したりしてしまいます。
こうした思いが積み重なると、「私は、だめだー」といったように、自己肯定感が下がり「母親である自分」に自信が持てなくなってしまうこともあるんです。
でも、よく考えてみてください。
完璧な母親なんて、どこにもいません。
たとえ外からは、理想的な育児をしているように見える人であっても、その人なりの悩みや葛藤を、少なからず抱えているものです。
子育て真っ只中には、なかなかむずかしいかもしれませんが、時には少し立ち止まって、自分にたずねてみましょう。そして、自分の心の声にも、耳を傾けてみましょう。
「がんばりすぎてない?」
「だいじょうぶ?」
「何がつらい?」
あなたが自分自身にやさしくなることが、あなたに少し余裕をつくり、子どもにやさしくなれる第一歩です。いつだって子どもには、やさしい母親でありたいものなんですよね。
母親を許すことで、子育てが楽になる
子育てをしていると、ふと自分の育った頃のことを思い出すことはありませんか。
「もっと甘えかったな」
「もっと、私に関心を持って欲しかったな」
そんな子ども時代の思いが、心のどこかに残っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、いざ自分が大人になり、親になってみると、見えてくる景色が変わります。
「もしかすると、あのとき母も余裕がなかったのかもしれない」
「子どもと、どう接していいかわからなかったのかもしれない」
そうやって、少しずつ過去の記憶を、ちがう視点で見られるようになったり、やわらかく変化していくことがあります。
母に対して、怒っていたり、許せないと決めていた部分に光が当たると、母を許すことができます。それは、過去をなかったことにすることではなく、むしろ、自分の中の痛みや孤独をしっかりと見つめたうえで、
「あの頃の母は、余裕がなかったのかもしれないな」
「母にも、未熟なところがあったのかもしれない」
そして「私は母とはちがう形で愛したいな」などと気づいてゆくこと。
そのプロセスが、あなた自身の心を癒し、子育てにゆとりをもたらしてくれるのです。
「ゆるし」と「笑顔」が、子どもへの最高の贈り物
母親として、ちゃんとしなければ、と思えば思うほど、プレッシャーや焦りにとらわれ、イライラカリカリして、つい険しい表情になってしまうこともありますよね。
けれど、子どもにとっていちばんの安心は、あなたの「笑顔」。
完璧であることよりも、一緒に過ごす時間の中で笑い合えたり、ホッとできる瞬間があること。
それこそが、子どもにとっての大きなかけがえのない喜びです。
でももし、怒ってしまったら、「ごめんね、ママちょっと怒りすぎちゃったね」と素直に謝ったらいいんです。バタバタしていて、部屋が散らかっていても、お掃除ができない日があっても、おかずが一品しかなくて、それがレトルトでも、ご自身のこと、責めなくっていいんです。
忙しいんですから、あれこれできないのは当然です。
子どもは、元気ですか。笑顔ですか。じゃあOKです。あなたのおかげです。
そうやって、何度も自分をゆるすこと、母親として、がんばっている自分にOKを出し続けること。それが、あなたに余裕をつくり、笑顔を生み、子どもにとっての、最高の贈り物として伝わっていきますよ。
子育ては長丁場。
頑張りすぎず、ぼちぼちいきましょうね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お役に立つことがあれば、嬉しいです。
来週金曜日は、いしだちさカウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。