期待と上手につきあって仕事しよう

みなさんは、1日の始まりに、憂鬱になることはありますか。

「今日中には、あの作業を終わらせなくちゃ。」
「頼まれてた資料の締め切りが迫ってるな。」
「お得意先との商談がある。うまく話がまとまるだろうか」

その日の予定を想像して、なんとも重い気分になる。
もう何もせずに、休んでしまいたい。でも、そうも言ってられない。怠けたくなる自分を叱咤して、準備をはじめる。

ふだんから、目の前の仕事に一生懸命に取り組んでいる人ほど、こういった緊張感や、重苦しさを感じやすいかもしれませんね。

そんなとき、頭の中で「もっと上手くやるべきだ。」「早く終わらせなければいけない。」などと考えていることはないでしょうか。
もし、「するべきだ」「しなければならない」「できるはず」などの言葉が浮かんでくるとしたら、「期待」が憂鬱な気分を作っている可能性があります。

「期待」とは、「ものごとはこうあるべき」という自分なりの理想像を意味します。
例えば、これだけ努力したんだからきっと資格を取得できるだろうなど、自分の望むような結果をあてにすることが期待になります。

いい結果を期待することでモチベーションが上がることもあります。
でも、逆に期待通りにならなかったときには、ガッカリしてしまうこともあります。
そして、そうならなくてすむように、自分や周りを必要以上に追い込んでしまい、ストレスになってしまうのです。

私たちは、日々、仕事をしながら、いろんな期待を感じているものです。

例えば、私は仕事で原稿を書くことがありますが、あるとき2時間で書き上げることができました。
そうすると、次に原稿にとりかかるときには、「今回も2時間あれば終わる<はず>だ」と自分に期待したりするのです。

でも、筆が乗らなかったりして、時間ばかりがすぎてしまうこともあります。
そうすると、気分が悪いんですね。
「なんで、前よりも時間がかかってるんだ。本来なら終わってる<はず>なのに。」と自分に嫌気がさします。

これがもし、「前と同じくらいのスピードで書けたらいいなぁ」程度の軽い気持ちだったらそこまでがっかりはしません。
しかし、今回だってできる<はず>と期待してしまうと、「これ位やらなきゃいけない!」とプレッシャーになってしまいます。

また、いつも以上に時間がかかったのに、思ったような仕上がりではないと、それもまたストレスになります。
時間をかけた分だけ、いいものができあがっている<べき>だと期待しているのです。

これが、期待の罠だったりします。
自分のなかで、理想が強くなった分だけ、それが現実に合っているのかを見落としてしまうからです。

もし、自分に過度な期待をかけているかも、と気づいたら、「それって、今の自分に無理なくできることかな?」と見直してみるといいでしょう。
そして、「やらなきゃ!」ではなく、「できたらいいな」というふうに、自分への声がけを変えていくといいかもしれません。

また、ビジネスの場面では上司やお客様など、周りから期待を寄せられる場面もあります。
以前、会社の研修で、仕事の進め方についてこんな話を聞きました。
例えば、資料を作っておいてほしいと依頼をされたら、できるだけ早くラフ案を見せた方がいいそうなのです。

早い段階で「こんな感じで進めていますが、イメージ合ってますか?」と見せることで、もし相手の期待とズレていてもがっかりさせなくてすみます。
そして、そこから「相手が何を期待しているのか」と「自分は何ができるか」を具体的に話し合って、軌道修正できるのだそうです。

コミュニケーションしながら、期待されていることと実現性をすり合わせすることで、気持ちよく仕事を進められそうです。

真面目で責任感をもって取り組まれている方ほど、期待することも期待されることも当たり前になって、自分にのしかかる重苦しさを見逃してしまうかもしれません。

もし、期待がストレスにつながっているときには、何を期待しているのか具体的に言葉にしてみましょう。
自分が自分にかけている期待も、自分と人との間で感じる期待も、そこに「どんな期待があるのか」を明らかにしていくと、今の状態で無理なくできることが見えてくるでしょう。

この記事を書いたカウンセラー

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人間関係、自己嫌悪、家族関係、仕事などの相談を主に扱う。じっくりと話を聴きながら、そのままの自分でもっと楽に自由になれる道筋を一緒に見出していくサポートを行う。 お客さまの個性やペースを尊重し、いつでも味方でいることを大切にしており、「話していて安心できる」「心の深いところをわかってもらえた」と好評である。