職場のあの人にイライラするとき

「私はすごく頑張っているのに、あの人は全然働いていない」とか「あの人はすごくさぼっている。ちゃんとやっている私に、その人がやるべき仕事がまわってきてしまう」等のお悩みをお伺いすることがあります。

自分がすごく頑張っていたり、たくさん働いているにもかかわらず、たいして働いていなかったり、さぼってばかりの人が身近にいるのは、イライラもするし、腹も立ちますよね。
最初は普通に仕事をこなしていても、徐々に、何で私ばかりがこんな大変な目に遭って、あの人は楽しているのか、なぜ許されるのか、という疑問が湧いたりもします。
それがいつの間にか怒りに変わったりもするんですよね。
しかも、あの人と自分のお給料が同じだったり、あの人の方が多くお給料をもらっているとなると、理不尽な感じがして、余計にイライラが大きくなることもあるでしょう。
そして、イライラしてしまう自分を嫌になってしまったりすることもあるんですよね。

できることの一つとして、管理職への報告・相談は欠かせませんが、今日はそんな、頑張っているけど、職場のあの人にイライラしてしまうあなたに向けて、書いていきたいと思います。

◆イライラする仕組み 1

イライラを感じること自体、とても嫌なものです。
ではなぜ、イライラしてしまうのでしょうか。
いくつか仕組みはありますが、今日はその内の二つをご紹介したいと思います。

まず第一に、実は、あなたが出来る人だからです。
出来る人ほど否定されることも多いのですが、あなたは出来る人、優秀な人、努力ができる人だからです。
それだけあなたは仕事ができて、能力があり、それだけ仕事を振られても頑張れる人なのです。
まずはそれをご自身で受け取ってみてほしいのです。
中には、たいして仕事はできないとか、能力はないとか、自分は本当は放っておくと怠け者だからこそ頑張っているんだという方もいらしゃいますが、本当に仕事ができていないのか能力がないのかは検証は必要ですが、動機が何であれ、頑張れているのであれば、頑張れる人、努力ができる人、能力がある人なのです。
これまでも責任感を持って、働いてこられたのではないでしょうか。
そんな、仕事ができて、能力があり、頑張れる人にとっては、気づきにくいことなのですが、仕事が出来るとか、頑張れる、ということは、そのような人たちにとっては、どこか当たり前のことなのです。
だからまず、仕事ができたり、頑張れる人は、有能であり、努力ができることを自分の才能や素晴らしさとして、受け取ることも大切になります。
まずは、自分を正しく認識し、それをあなたの才能や素晴らしさとして受け取っていきましょうね。

注意が必要なのは、そんな人たちにとっては、出来ることや努力することがあまりにも自分にとって当たり前のことなので、出来ない人や努力できていない人に対して、自分ができていたり、自分が頑張っている分、「ここまでできているべき」とか「もっと努力すべき」と無意識的に思ってしまうことがある、ということです。
できれば、その部分についても理解を深められると良いかもしれません。
もしご自分が無理な頑張りや努力をしている場合は、自分に無理をさせている部分を緩めていくのも一助となるでしょう。

◆イライラする仕組み 2

自分が頑張っていたり、たくさんの仕事量をこなしているのにも関わらず、たいして働いていなかったり、さぼっている人を見ると、腹が立つのは自然なことだと思います。
でも、心のどこかで「怒りを感じてはいけない」とか「そんなことを思ってはいけない」と思っていないでしょうか。

怒りを感じ始めたときに、「怒りを感じてはいけない」とか「こんなことを思ってはいけない」と思うと、怒りを抑えようとします。
でも一方で、イライラを感じ始めます。
イライラの多くは抑圧された怒りが漏れ出てきたものだったりするのです。

怒りとは、理不尽なものや不当なもの愛のないものに対して心から自然に生じる感情であって、悪いものではないのです。
感じてはいけないものでもありません。

また、「こんなことを思ってはいけない」と自分を抑えている観念があなたの中に存在しないか確認してみることも良いでしょう。
イライラさせるあの人を、「さぼっている」、「働かないな」、「出来ていない」等と思うことを良くないことだと思っていないでしょうか。
同様に、あの人を「嫌だな」とか「あり得ない」とか「酷い」等と感じることもです。

事実は事実であり、自分の内に生じてきた感情や考えは、感じたり思ったりしても良いのです。
打ち消す必要も、感じたり思ってはいけないと思う必要はないのです(相手にそれを言ったり、ぶつける必要もありませんが)。
こんなことを感じたり考えたりする自分は嫌な人間だとも思わなくても良いのです。

◆最後に

イライラや怒りは、あなたがそれだけ普段からとても頑張っているという証拠です。
怒りを感じてしまったりあんなことを感じたり思ったりすることを良くない、と思っているということは、あなたが本当は誰も傷つけたくない善き人であるという証拠です。
しかし、自分を抑えすぎることで、怒りは大きくなります。
あなたが、自分自身と怒りに対して、正しい認識を持って、怒りを適切な大きさに戻して、少しでも楽に職場で働いていけますように。

この記事を書いたカウンセラー