パートナーシップでの「役割」

パートナーに頼みにくいこと、ありますか?

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

男女関係では、お付き合いが長くなったり、結婚すると、自然とそれぞれの「役割」というものが生まれてきます。

結婚生活で一番多いのは、「だんなさまは働いて稼ぐ人、奥様は育児、家事全般を担当する人」といった役割です。

ほかにも、「生ゴミを出す係は彼」とか、「トイレ掃除は私の仕事」といった役割ができてきます。

また、「セックス」についても、彼が彼女に「セックスをさせてもらう」とか、彼が「しょうがないなぁ」と「お勤め」のように彼女にセックスをする、といったパターンもよくあります。

役割自身は、悪いことでも何でもないのですが、役割がケンカの材料になったり、自分を表現する手段になったりすることもよくあります。

「良い子にしていないと、ごほうびはあげられないわよ」とセックスが取引材料のようになったり、「ケンカをしてとても気分が悪いので、今日は生ゴミを捨てに行きません」というふうに役割を放棄することが、メッセージにしているカップルもとてもたくさんあります。

大なり小なり、こういうことはどのカップルでも起こります。

カウンセリングなどでよく出てくる例をあげると、共働きでありながら、女性が「料理や洗濯は女性である私の役割だから、何があっても必ずしないといけない」と思っているというパターンがあります。

ある女性は、たまに残業で遅く帰ることがあっても、だんなさまには、必ず温かい手料理を食べさせてあげたい、とがんばってどんなに遅くなっても料理を作っていました。

そのこと自体はすばらしいことだと思うのですが、その裏側には、「料理に手を抜く女性は嫌われるのではないか?」という思い込みがあったりすると、話はややこしくなります。

彼女のお母様は、あまり料理が得意ではなく、彼女が子供のころの食事は、レトルト食品や、スーパーのお惣菜コーナーで買ったものが多かったそうです。

彼女にとって一番苦痛だったのは、クラスのみんながお母さんの手作りのお弁当を持って来ているときに、自分だけがコンビニのお弁当を持って行かなくてはならないことでした。

お父さんも、料理のことでよくお母さんとケンカをし、文句を言っていたので、彼女は料理に対してとても大事なものだという思い込みがあったわけです。

だんな様は「残業で遅くなったときぐらい、カップラーメンでもいいよ」と何度も彼女に言ったのですが、彼女はそれが絶対に許せないわけです。

彼女が遅くまで料理を作っているのをだんな様は、待ってくれているのですが、のんきにテレビを見ながら待たれると、料理にこだわっているのは自分なのにもかかわらず、だんだんと何もしないだんなさまに腹が立ってくるわけです。

そして、ついに大ゲンカになったりするわけですが、彼女には、「料理を作らない女性は、母親のように嫌われてしまう」という思い込みが強くあるので、彼に嫌われないようにすることと、料理を作り続けることが一緒になってしまうのです。

もちろん、一度や二度、料理を作らなかったり、レトルト食品にしたからといって、だんな様が彼女を愛さなくなると言うことはないのですが。

同じように、あなたが生ゴミを捨てることになっているからといって、「今日は、体調が悪いからお願い」とだんなさまにお願いしたところで、だんなさまがあなたを嫌いになるということはないのです。

しかしながら、カップルの間で役割というものができあがってしまうと、なぜか「この仕事だけは、どんなことがあっても私がしなければならない」とばかりにとても頑固になってしまい、相手に頼むということができなくなります。

そして、自分が自分の役割をしっかりとやった度合いだけ、無意識的にですが、相手にも役割を強要することになってしまい、とても堅苦しいカップルになってしまうことが多いようです。

パートナーに頼みにくいようなことは、ありますか?一度チェックしてみてください。

もしかしたら、頼みづらいことは、あなたの役割になってしまっていることがあるかもしれませんね。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。