ビジネス心理と恋愛心理について

共通点は「この人ともっと一緒にいたい」と思わせること

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

私の仕事はカウンセリングをしたり、カウンセラーを育成したりすることなのですが、ほかにも企業研修のお手伝いをしたり、講演をしたりすることがあります。そうした仕事の一つとして、昔、セールスマン研修をよく行っていた時期がありました。

その研修では、トップ・セールスマンと売れないセールスマンの心理分析をしたりもしました。

そのころはちょうど私ども独自の“恋愛心理学”を構築していた時期でもあり、「男女関係の力学とセールスの力学には、似たポイントが意外とあるものだなぁ」とずっと思っていました。

今回は、その話をさせていただきますね。

まず、トップ・セールスマンと売れないセールスマンのいちばんの違いがどこにあるかというと、それは、セールスに行く前の心理状態です。

トップ・セールスマンは自分が扱っている商品を、「だれに、どういうふうに、売り込んでいこうか?」と考えています。

たとえば、彼らは、すべての人にこの商品が必要だとはけっして思っておらず、「この商品をいちばん必要とする人はだれか?」と考えます。

ですから、「僕はきょうも、この商品を待っている人のもとに届けにいくだけなんだ」というような表現を彼らはよく使います。

一方、売れないセールスマンは、「商品をだれに売るか、どう売るか?」いうことではなく、「売れないと、また課長に怒られる」、「今月もノルマが達成できないと、シャレにならないよ」など、いつも自分の都合ばかり優先して考えてしまいがちです。

そして、「自分の営業成績が悪いのは、会社や商品そのものに問題があるからだ」と考える傾向が強いようです。

営業に行く前にも、「こんな商品、売れるはずがない」と考えていて、そして、午前中、飛び込み営業を5、6件してみて、現実としてセールスを断られると、「ほら、やっぱり」という思いが湧いてきます。

自分があきらめていたことと現実が一致してしまったことで、「こんな営業、どれだけやっても無理」、「こんな商品、きょう一日、がんばって売ろうとしてもだれも買わない」と思ってしまうのです。

そして、「だったら、無駄なことはしないで、喫茶店でお茶でも飲んでいよう」と考えるようになります。

男女関係にも、似ているところがあると思いませんか?

たとえば、あなたは合コンに行くとき、「男どもは、どうせ、若い娘ばっかり見てる」とか「合コンに来るような男には、ろくなやつがいない」などと、行く前から心のどこかでケチをつけていることはないでしょうか?

そのコンパが期待していたような楽しい飲み会にはならなかったとき、「ほら、やっぱり」という思いが、あなたの顔と態度に出たりすることはないでしょうか?

そして、あなた自身が、ますます重くて暗い雰囲気の飲み会の一因になっていることはありませんか?

たとえば、こんな場面を想像してみてください。合コンで居酒屋さんに入り、最初にオーダーした飲み物をみんながそろそろ飲み干して、ドリンクの再注文をしたいころとなりました。

しかし、きょうは忙しいとみえて、店員さんがなかなか注文を取りにきてくれません。

「すいませーん」と店員さんを呼ぶときも、イライラした気分や怒りが伴ってきますから、だんだん大きく激しい声になってきます。

ようやくやってきた店員さんもこの状況は承知の上なので、顔は無表情で、「お待たせしました」という言葉にもまったく感情がこもっていません。

すると、その態度が、あなたのイライラや怒りをさらに強化したりします。

こんなときは、「なんなのよ、なっちゃいないわね!」と文句を言うこともできるでしょう。

でも、あえて心のモードを切り替えて、店員さんにこんなふうに声をかけることもできるのです。

「なんか、すごく忙しそうねぇ。あなた一人であっちもこっちも注文を聞いてまわっているなんて、ほんとにたいへんねぇ!」。

すると、それまで無表情だった店員さんの顔がちょっと崩れるかもしれません。

さらに、注文後、「忙しそうだけど、がんばってね」などと付け加えれば、あなたの注文したナマ中は、たぶん、どこのテーブルよりも早く届けられ、さらに男の子チームからも、あなたは一目おかれることになるはずです。

トップ・セールスマンは、「自分の力で環境をさまざまに変えたり、自分のペースでものごとを楽しく進めていったりする方法は必ずある」ということを知っています。

一方、売れないセールスマンは、ネガティブなことはみな、ほかの人や会社や状況のせいにすることがどうも多いようです。

そして、トップ・セールスマンにもいろいろなタイプがあるのですが、なかでもいちばん多いのが、やはり、「この人ともっと一緒にいたい」と思わせるタイプです。

そういう人たちは、つねに相手に「楽しい」とか「おもしろい」といった感情を感じさせてあげることができます。

これはセールスの現場だけではなく、すべての対人関係に共通するポイントです。さて、あなたのまわりにいる人は、いま、どんな感情を感じているでしょう‥‥?

もし、楽しくて、いい気分をあなたが届けることができていたら、仕事であれ、男女関係であれ、すべてがうまくいきやすいのです。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。