突然の悲劇

だれかにいやな感情を押しつけてきたという事実

こんにちは 平です。

カウンセリングで離婚や浮気に関するご相談をうかがっていると、こんな言葉にしょっちゅう出会います。

「いままでなんの問題もなく幸せにやっていたのに。なんで、突然‥‥?」

そう、突然、不幸がやってきたわけです。

でも、ほんとうに突然なのでしょうか?

最近はいわゆる“熟年離婚”をする夫婦が少なくありませんが、そのご主人側がよくおっしゃるのがこんな言葉です。

「退職金も出たので、夫婦で海外旅行でもしたいと思っていた矢先、突然、離婚を切り出されて‥‥」

しかしながら、奥さま側に聞いてみると、じつはこの離婚はもう10年も20年も前から練っていたプランだったりするわけです。

つまり、ご主人がまったく“問題”に気づいていなかった──、ここに一番の原因がありそうです。

私のリサーチによりますと、この「突然に‥‥」という言葉を使うのは、男女関係を“自立”と“依存”の関係で見ると、依存の側に多いようです。

つまり、面倒をみてもらっている側ですね。別の言葉では、エラそうにしている側ということもできます。

エラそうな人は、一見、自立に見えますが、じつはほとんどの場合、夫婦関係では依存の側にいます。

それはまるで、子どもがおかあさんに、「パンツはどこー。靴下もないよー」と偉そうに言っているようなものなのです。

ほとんどの子どもは親を奴隷のように扱います。「自分の面倒をみてくれるためだけに存在している」と考え、人間扱いしていないのです。

退職金が出ると同時に“熟年離婚”を切り出されるご主人も、会社で部下や後輩に接していたときのように、家でも奥さまのことを部下か召使いのように扱います。

会社での上下関係と分けて考えられないんですね。だから、奥さまがどんな感情を感じているかなんて、まったく考えないわけです。

彼の思考は義務と役割でできていて、やるべき責務が優先し、愛情は二の次になっています。

彼的にはその一貫したルールで人生を歩いているわけですが、奥さまから見ると、それは魅力的ではありません。

つまり、この関係性はじつに長い間、自立側の奥さまがネガティブな感情を抱え、そのがまんの上に成り立ってきたわけです。

といっても、ご主人側にも奥さまにお世話になっているという思いがないわけではありません。

だから、退職後はお詫びも兼ね、海外旅行あたりに招待してお茶を濁そうと思ったりもするわけですが‥‥。

ご主人が読み間違えたのは、「そんなことぐらいで、私の怒りは収まらないわよ」という奥さまの怒りの深さであったわけです。

「私がいなくなったら、あなたがどうなるかしらね。フフフ、生きのびることができるかどうか、試してみるがいいわ!」ということなのでしょう。

たしかに、ご主人は定年退職して部下がいなくなり、最後に残った唯一の部下=奥さまからも見離されてしまうわけで、これからはほんとうにたった一人で生き延びねばならないわけです。

ま、もとを正せば、結婚生活を通して、仕事を優先することで奥さまをひとりぼっちにし、奥さまがご主人なしでも生きられるようにしたのもご主人自身ということもできるのですが‥‥。

さらに、結婚生活に対してまったく問題意識をもたず、つねに自分の“思い込み”という判断を奥さまにあてはめていった結果がこれでもあるわけです。

「突然、このようなことになってしまい、戸惑っています‥‥」

この言葉の裏にあるものは、長い間、問題に直面せず、だれかにいやな感情を押しつけてきたという事実であることが少なくありません。

そのツケがすべて本人に返ってきたわけですね。

このような“突然の悲劇”を回避する方法があるとしたら、それは、あなたの今の快適な暮らしを作り上げてくれている人に十二分に感謝することかもしれませんね。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

平 準司

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。