自分の心からの行為に自信を持とう

私は、心からの行為とは「自分がこうしたいからこうする」と自分で決めて行動し、その責任を他の人や状況に押し付けないことではないか、と思っています。

しかし、相手の反応で何か理不尽な気持ちになってしまうこともありますね。
せっかくの心からの行為を大切にするには、結果がどうであれ、自分の気持ちに信頼と責任を持つこと、の気持ちを自分の観念やルールを用いて裁こうとしないことです。

寧ろ、そこには、心からの行為という気持ちの問題というよりも、別の課題が隠されているのかもしれません。

◎リクエストを頂きました◎

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以前のメルマガ(1.17)で「心からの行為」と「役割からの行為」の違いについて
とても納得出来ました。「心からの行為」をしているつもりなのですが、気がつくと
相手に見返りを求めていたり、自分ばかりが相手に与えているように感じてしまい
損した気分に陥ってしまいます。疲れていたり、忙しかったり、余裕がない時に、陥りがちです。
受け取る事が、出来ていないからなのでしょうか?
win-winの関係を築くには、どうしたらいいか、御指南ください。よろしくお願いいたします。
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私たちは、どんなことも自分が決めて行動しています。
例えば、自分がこうしようと思うことも、その思いに従って行動することもそうですし、相手が「こうしてくれるはずだ」と期待することも、あるいは相手を「こうするべきだ」と観念やルールで縛ることも自らが取っている行動の一つです。

私の見方をすれば、心からの行為とは「自分がこうしたいからこうする」と自分で決めて行動し、その責任を他の人や状況に押し付けないことではないか、と思っています。

すなわち、自分の行動がどんな結果を招いても、自分の行動の結果で他の人がどのような行動を取ろうとも、それは自分の選択の結果であり、自分自身の責任ということではないかと思うのです。

例えば、「彼女の誕生日だから、チョット高いけど彼女の好きな○○ブランドのバッグをプレゼントしよう」と考えて、プレゼントしたとします。

彼女は喜んではくれたものの、さほどでもなかったとします。
プレゼントした方は彼女の反応にがっかりするかもしれませんね。
そして「せっかく奮発してプレゼントしたのに、彼女はもっと喜ぶべきだ」とか「彼女は僕の気持ちを受け取ってくれない」と彼女を責める気持ちが生まれてくるかもしれませんね。

もともと、彼女の笑顔が見たいという純粋な気持ちで行ったこと、換言すれば「心から行為」として行ったはずなのですが、それが彼女の反応で一転して、そのような高価なプレゼントを贈った自分を責め、それを感じないために彼女に対して「彼女はもっと喜ぶべきだ」とか「彼女は僕の気持ちを受け取らない」などと彼女を責める気持ちが湧き上がってきたりします。

巻き戻せば、彼女にそのようなプレゼントを贈ろうと思ったときには、心からの行為であったはずなのです。
しかし、何か理不尽な気持ちになってしまうのですね。
ここには、いくつかの心理的な問題が隠されています。

例えば、1つは、結果がどうであれ、自分の気持ちに信頼と責任を持つことです。
自分の気持ちは自分の気持ちですから、相手の評価で変わるものではありません。
自分が心から相手を思って行った行為に関しては、その気持ちに自身を持てばいいのです。
相手にその気持ちの価値を認めてもらう必要は必ずしもありません。

2つ目の問題は、彼女の気持ちや意思をないがしろにしてしまっている点です。
自らの心の痛みを緩和するために、彼女の気持ちを自分の観念やルールを用いて裁こうとする点です。
これでは、せっかくの「心からの行為」が台無しになってしまいますね。

とても、もったいないことです。

彼女が、思ったほどに喜ばなかったのには、それなりのわけがあり、それは彼女の事情であり、私の心からの行為とは切り離して考えることなのです。

ひょっとしたら、彼女はその日、別のことで機嫌が悪かったのかもしれません。あるいは、彼女が誕生日に本当に欲しかったものは、○○ブランドのバッグという品物ではなく、一緒に過ごす時間だったかもしれません。
それは、気持ちの問題というよりも、別の課題なのかもしれません。

その課題は、例えば彼女が不機嫌だということに気が付いてゆっくりと話を聞いてあげることや、彼女が本当に欲しいものをわかってあげているといったことなのではないでしょうか。

リクエストでいただいた「win-winの関係を築くには」への一つの回答としては、自分の気持ちを素直に認めること、その気持ちにもとづいた行為に自信と責任を持つこと、そして何より相手を見ることではないかと思います。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。