内気な彼

誰かを理解し愛することが嬉しかった

こんにちは 平です。

ご相談者の彼は男二人兄弟で、中・高・大学とずっと運動部に所属していたため、まったく女性との接点がありませんでした。

女性に対してはシャイで奥手。近づいてきてくれる女性にもついつい敬語で話したりしてしまいます。そんな彼ですから、親密感を感じる女性などなかなかいませんよね。

そして、このたび、「なんとか自分もガールフレンドを作りたい。彼女をもちたい」と思ったことから相談に来てくれたというわけです。

とくに男性に多いのですが、異性に苦手意識があるとまるで宇宙人のように感じてしまい、自分と同じ人間だということが理解できないことが多いようです。

理解できないものに、人の心は恐れや不安を感じます。そして、味方というより敵として認識してしまうため、攻撃されないようにと防衛的になっていきます。

そこで、まずは、「女性はあなたの味方なんですよ」と彼の心に認識してもらうことが必要でした。

そのためには、カウンセリングを続けていくよりも、女性とふれあい、慣れてもらうことのほうが大事だと思い、彼には私どものセミナーなどに参加し、受講生のグループの中に入ってもらうことにしました。

また、受講生たちは講座修了後にも連れだって食事に行ったり、ワークショップのあとには打ち上げが企画されたりしますので、多くの仲間と知り合い、ふれあう機会には事欠きません。

そして、彼も打ち上げに参加したのですが、女性にはまったく心を開くことができず、おとなしく正座をしてビールを飲んでいるような状態でした。

が、私どもの女性のアシスタント陣がそれをほうっておくわけがなく、彼女たちは引きまくる彼のまわりに群がり、そして彼はピラニア池に飛び込んだ仔羊のようになるわけです。

その彼が、同じ打ち上げ会場の隅っこに、自分と同じように一人で座っている人見知りの女性に目を留めました。

彼はいま、女性に囲まれ、冷や汗を流しているわけです。が、しかし、それはけっしていやなものではありませんでした。

一方、その彼女はひとりぼっちで、まわりには人がいないんですね。で、彼はベテランの女性アシスタントに言いました。

「彼女のまわりにだれもいない。僕は大丈夫だから、あそこに行って飲んであげて」

すると、ベテラン・アシスタントは言いました。

「じゃあ、あなたも一緒に行きましょうよ!」

それが2人のきっかけになったわけです。

彼には、自分とよく似た彼女の気持ちがわかります。しかし、わかったからといって、それを上手に彼女に伝えることはできません。

が、このときは、このベテラン・アシスタントが彼の通訳になったわけです。

「あなたがひとりぼっちで淋しそうだって、彼がね、言うのよー」

彼女はちょっとうれしそうにしましたが、それ以上に恥ずかしさが勝り、顔が真っ赤になりました。

で、ベテラン・アシスタントは言うわけです。

「そんなこと言われても、恥ずかしいわよね」

横で彼がウンウンとうなずきます。「わかる。僕も同じタイプだから‥‥」

その日以来、彼女の存在が彼の心を占めるようになりました。

といっても、恥ずかしくてデートになど誘うことはできずにいたのですが、先ほどのベテラン・アシスタントが黙ってはいません。

やり手ババアのように、デートをセッティングし、二人だけでは恥ずかしいというので当日は途中まで二人につきあい、それはそれは立派に二人の乳母の役を果たしたわけです。

彼曰く、「あのころの僕は、だれかを理解し、愛してあげたいという思いをもっていたのだと思います。それができることが、本当にうれしかった」。

その思いこそが、恥ずかしさを越えるチカラになったようです。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!


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この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。