“許し”の法則(前編)

あなたはより大きな愛になることができるのです

こんにちは 平です。

心理学という学問では、“投影”の法則、すなわち、「あなたが見ている世界は、そのすべてが自分を映し出した鏡である」という考え方を教えています。

“投影”の法則は心理分析の核となる考え方なのですが、もう一つ、重要な考え方として“許し”というものがあります。

これは、心を癒すための心理療法の中心的な考え方です。

“許し”は、人間の心の中に苦しみを作る“罪悪感”という感情を癒すために欠かせないものです。

心の力学は、物理的なものの力学とは正反対に作用します。

財布の中のお金は使えば使うほど減りますが、これは物理的な法則ですね。
それに対し、心の法則は、使えば使うほど増え、使わなければ減っていきます。

たとえば、人をいっぱい愛したり、人にいっぱいやさしさを与えたりしたら、あなたの中の愛ややさしさが減り、いじわるな人になっていくということはありませんよね。

人を愛せば愛すほど、また、与えれば与えるほど、あなたは大きな愛の人へとなっていくわけです。

また、あなたの気分がいいか悪いかは、あなたがその人を「愛しているか、愛していないか」によって変わってきます。

あなたが愛していない人があなたの前に現れると、あなたの気分は悪くなり、その人を愛しはじめると、あなたはいい気分になっていきます。

いってみれば、ゴキブリが現れて気分が不快になるのも、ゴキブリのせいではなく、あなたがゴキブリを愛していないからなのです。

‥‥という、基本的な考え方を理解していただいたうえで、“許し”の話へと進みたいと思います。

あなたが「許せない」と思っている人たちがいたとしたら、そのすべてをあなたは愛していません。

そして、こう考えています。

「あんなひどいことをしたのだから、許せるわけがないし、もちろん、愛せるわけもないでしょ」。

愛の法則に則ると、「だから、愛してあげなければいけない」と心は考えます。
それに対し、エゴの法則は「だから、やつは罰を受けるべきだ」と考えます。

そして、愛の法則は“彼を愛すべき理由”を探そうとしますし、エゴの法則は“彼が罰を受けるべき理由”を探そうとします。

このとき、あなたが彼を許さないとしたら、あなたは自分のことを“罰する人”、“裁く人”であると認識します。

あなたはそんな自分を愛せず、「自分がこんなひどい人間になったのは誰のせい?」と考え、自分の外の世界に悪人を探しはじめます。

彼を罰しつづけているかぎり、あなたは自分の中にあるエゴ‥‥この場合は怒りに投資を続けます。当然、あなたの気分は最悪です。

それに対し、愛に投資するためには、これとはまったく違うものの見方をすることが必要になります。

“許し”の対象は、あなたの目の前にいる、ひどく悪いことをした人ではありません。

彼のことを「しょうがない。かわいそうなやつだと思って許してやる」と許すことが“許し”の本質ではないのです。

そうではなく、「もっと大きな愛になることを自分に許す」ことが「許し」の本質です。

いま、あなたがもっている愛の質量では、目の前の彼が許せないわけですよね。

許すためには、あなたがもっと大きな愛になる必要があるわけです。

彼を使って、あなたはより大きな愛になることができます。

あなたが自分が大きな愛になることを許さなければ、目の前の状況をも許せなくなってしまうということなのです。

(後編に続く)

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

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神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。