素直に注意を聞き入れられない

 

相談者名
はづき
私は人から注意されると
素直に聞き入れることができない性格です。

目上のひとからの注意は
その場ではわかったフリをして
心の奥ではいろいろな理由をつけて
反発しているような気がします。

目上の人の意見は決して間違っているものでは
ないし、理性では受け入れなければ
と思っているのです。
でも、それができないのです。

社会生活を送る上で
もっと広い心を持ちたいです。

結局 自分が頑固で自己中心的な
考えしかできないから
人の意見をうけとめられないのでしょうか?

こんな性格も変えることはできるのでしょうか?

カウンセラー
鶴園みあ
はづきさん、はじめまして。
お返事をさせていただきます、カウンセラーの鶴園みあです。
宜しくお願いいたします。

さて、相談メールのなかで、はづきさんは、「性格」というお言葉を何度か使われていますね。
はづきさんは、ご自分のことを、「人の注意を素直に聞き入れられない」「表面上は分かったふりをしていても、心の奥では反発している」「心の狭い」「頑固で自己中心的な」、そんな「性格」だと思っていらっしゃいませんか?
もともとが、ひねくれもので、反抗的で、わがまま勝手な、そんな人間だと思っていらっしゃるのではありませんか?

でも、反抗的で頑固で自己中心的な人が、「どうしたら人の注意を素直に聞けるようになりますか?」という相談を寄せられるでしょうか?
そういう人なら、むしろ、「私が好き勝手に動いても、周りにヤイヤイ言わせないようにするには、どうしたらいいですか?」という相談を寄せられると思うんですね。

私が思うに、もともとのはづきさんは、とっても素直で、謙虚で、誠実で、ガンバリ屋さんで、周りを気遣うことができて、とっても平和を愛する人、そして、とっても純粋で、自由な発想の持ち主でもあるようです。
本来のはづきさんは、「素直で謙虚なガンバリ屋さん」なんです。

はづきさんには、「目上の人の言うことには、素直に従わないといけない」という強い考えがあるようですね。はづきさんの素直さ、謙虚さの顕れとも言えますし、とても良い心がけだと思うのですが、そうやってご自分をコントロールしようとすると、ご自身のなかに反発心が出てきてしまい、思うようにコントロールできないのですね。
ご自分をコントロールできず、反発心に振りまわされて、とてもしんどい状態なのではないでしょうか。
また、後で、そんなご自分を責めたりもして、ますます辛くなったりしますよね。

幼いころに、お父さん又はお母さんから、「目上の人の言うことは、素直に聞きなさい!」と厳しくしつけられたり、反抗したときに酷くしかられたりした経験があると、大きくなってからも、「目上の人の言うことは、素直に聞かなきゃ」という考えが強かったり、自分の意見を言うことができなかったり、心の中で反発を抱くことすらも悪いことだと感じてしまう、というような「癖」が残ることがあるんですね。
もしかしたら、はづきさんにも、「目上の人の言うことには、素直に従わないといけない」という強い考えを持つきっかけとなった、なんらかの過去の経験があるのかもしれませんね。

もちろん、「目上の人の言うことは、素直に聞かないといけない」というのは、間違いではないんです。
特に小さいころは、ものごとを自分で考えて適切に判断するということができないので、目上の人の言うことを素直に聞くことは、自身の成長や勉強のために必要なことなんですね。
でも、今のはづきさんは、ある程度、ご自分で考えて判断できるまでに、成長されているはずです。また、目上の人だからって、言っていることが全部正しいとは限りませんよね。
だから、目上の人に何か言われても、「私はそうは思わない」「それはちょっと違うんじゃないのかなあ」と感じたり、ときには、それを意見として言ってみたりすることだって、あってもいいのではないでしょうか?

それに、これ以上、はづきさんのなかに出てくる反発心に対して、「言うことを聞かなきゃダメ!」と抑えつけようとしても、かえって反発は強まって、ますます、はづきさんはクタクタになってしまうのではないでしょうか?
これ以上反発心を抑えつけても、反発がおさまることはないでしょうし、はづきさんがしんどくなるだけなんですね。

ですから、「目上の人の言うことは、素直に聞かなきゃ」という考えをちょっと弱めてみて、反発心を抑えつけていた力をゆるめてみてはいかがでしょうか?
強く抑えつけられて、はづきさんの心に溜めこまれていた反発心を「ガス抜き」してあげて、はづきさんの心を楽にしてあげるのです。

はづきさんは、「目上の人の言うことは、素直に聞かなきゃ」と思うあまり、目上の人に現実に反抗することだけでなく、反感や不満を心の中で感じることすらも悪いことだと考え、ご自分に禁止してこられたのではありませんか?

でも、人から何か注意を受けたとき、どんなときでも、何の反感も疑問も抱かずに、心から素直に従える人って、いるのでしょうか?私は、そんな人はいないんじゃないかなあって思うんですね。
人から注意を受けたりするのって、誰だって、あまりいい気分がしないと思うんです。
それは、その注意の内容が正しいとか間違っているとか、関係ないんですね。
また、素直な人とか、ひねくれた人とか、良い人とか、悪い人とか、そういうのも関係ないんですね。

だから、どんなに禁止したところで、ごく自然に、反感も不満も出てくるときは出てくるものなのではないでしょうか?
でも、はづきさんは、その反感や不満に蓋をして、感じることも吐き出すことも、十分にしてこられなかったのかもしれませんね。

感じることも吐き出すことも許されないと、反感や不満は、どんどん心に溜まっていきます。そして、心はいっぱいいっぱいになって、苦しくなります。
今、はづきさんの心は、息がつまりそうなくらい苦しくなっていませんか?

どんなに素直な良い人でも、あんまりしんどいと、素直でいられなくなりますし、笑顔だって見せられなくなるのではないでしょうか?

はづきさんが今、素直になれていないのは、「ひねくれもので、反抗的で、わがまま勝手な人間」だからではないんです。
あまりにも「素直で謙虚なガンバリ屋さん」なために、いっぱい我慢をしすぎて、しんどくなりすぎて、本来のはづきさんらしさを発揮できていないだけなんです。

だから、反感であれ不満であれ、恨みであれ憎しみであれ、ご自分の感情をありのままに感じ、吐き出して、はづきさんの心を楽にしてあげれば、本来の「素直で謙虚なガンバリ屋さん」のはづきさんに戻れますよ。

人から注意を受けたとき、反感や不満などの感情を感じることは、人間としてごく自然なことなのです。
またそれは、はづきさんが、他の人とは別個の、独立した人格であることの証でもあるのです。

だから、目上の人から注意を受けたときに反感や不満などの感情が出てきたら、「こんなことを思っちゃダメ!」「こんなのは甘えだ!」「わがままだ!」などと否定するのではなく、「あ~、こんなふうに感じてるんだなあ」「とっても辛いんだなあ」「悔しいんだなあ」とありのままに受け止めてあげてほしいんですね。
ご自分の気持ちを、親しいお友だちに聞いてもらったり、カウンセリングで吐き出すのも、よい方法ですよ。

私なんて、人から注意されたら、こんなにいっぱい反感や不満が出てくるんですよ。
「えらそうに、なんやねん!」「私なりに考えがあってやったのに!」「そんなん言われても、今の私には無理やっちゅうねん!」「アンタも、ちゃんとできてないやん!」「私の意見も聞いてくれっちゅうねん!」「もっと他に言い方ないのん?」「ホンマ腹立つ!」「知るかっっ!」「うるさいねん!」
・・・まあ、ひどいもんでしょ。
でも、これを溜めこまずに、じっくり感じて、吐き出して、スッキリすることで、「まあ、そうは言っても、あの人の言うことももっともだし、聞いておこうかな」という気持ちになりやすくなるんです。

「反感や不満を抱くことを自分に許したら、私はどんどん反抗的になって、誰の言うことも聞かなくなるかも」
と、はづきさんは不安を感じられているかもしれませんね。
でも、最初にお伝えしたとおり、本来のはづきさんは、はづきさんが思っているような反抗的な人ではなく、「素直で謙虚なガンバリ屋さん」なので、その心配はありませんよ。

「目上の人の言うことは、素直に聞かなきゃ」と強く思うきっかけとなった過去の経験の影響力が大きい場合、頭では、どんなに「反感や不満を抱くことを、自分に許可しよう」と思っても、抵抗が出てきて、うまくいかないことがあります。

そんなときは、カウンセリングやセラピーの力を借りてみられることをお勧めします。

今回の問題を乗り越えるにあたり、はづきさんは、ご自分のなかの反感や不満に耳を傾け、それらと上手に折り合いをつけていくという術を身につけることができるでしょう。
ということは、この問題を乗り越えたら、はづきさんが本当の意味での「いい上司」「いい先輩」「いいお母さん」になれるという嬉しいオマケがついてくるんです。
はづきさんは、「つべこべ言わすに、従いなさい!」と力でねじ伏せるのではなく、部下や後輩、あるいは我が子の言い分に耳を傾け、お互いに理解を深め、尊重しあいながら、みんなをひっぱっていける、そんな理想の“リーダー”になれることでしょう。

これは、はづきさんがもともと持っている才能であり、今回の問題に隠された“ギフト”なんです。
どうか、ご自分を信じて、ご自身の心の声に耳を傾けてあげてくださいね。

このたびはご相談いただき、本当にありがとうございました。

鶴園みあ

この記事を書いたカウンセラー

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