自分のことが好きになれません

相談者名
私は現在二十歳でパティシエをやっています。

私は元々、人見知りで恥ずかしがりやでとても大人しい性格でした。

小学校一年生のときの担任の先生が虐待のようなことをする人でした。
親も厳しい人で、子供のころの私は怒られるということに
いつもビクビクしていたような気がします。
今、社会人になって2年目になりますが、
上司が物凄く厳しい人です。
仕事で上司に怒られると声が出なくなります。
自分でも何故なのかわかりません。
謝ろうと思ってもどうしても声がでません。
こんなこと誰もわかってくれないと思います。
それと大きな音がどうしようもなく怖いです。
映画館の爆音など、怖いです。

それから今の私は人見知りではなくなりました。中学生ぐらいからはとても明るく
誰とでも分け隔てなく仲良くなれるようになりました。
ですがそれが本当の自分だとは思えないんです。理由もなく虚無感に襲われます。
誰も私を好きになってくれなさそうで、いつも寂しいです。

カウンセラー
なかつまともみ
はじめまして、Aさん。
今回担当させていただきます、なかつまともみと申します。
どうぞよろしくお願いいたしますね。

Aさんはパティシエをされているんですね。
凄い素敵な職業ですね!!
私も高校生の時にお菓子作りにハマり、
ちょっと考えたことがありました。

そして、一見華やかでみんなが憧れる職業ですが、
そこは職人の世界。
とても厳しいことは存じ上げております。
みんなが職人、そしてライバル。
故に仕事に対して求めるものは必然的に高くなり、
厳しくなってしまうのでしょうね。

そんな中、Aさんはパティシエとして
2年めに突入したわけですが、
怒鳴られて声が出なくなってしまうのは辛いですね。
声が出なくなるだけではなく、
息ができなくなったり、
しばらく頭のなかが真っ白になったり、
手足が震えるというようなことはありませんでしょうか?

身体の小さな子どもにとって
身体の大きい大人の暴力や怒りの混じった大きな声は
生命を脅かすような脅威に感じます。
その感覚は大人になっても残ったりします。
雷がすぐ頭上で鳴っているような、
あの恐ろしさに似ています。

飲食店などで大きな声で子どもを叱る
大人の声を聞いたことはないでしょうか?
Aさんはそんな時、どんな風に感じますか?
私は、今ではそこまでひどくありませんが、
昔はただその声に圧倒される事がよくありました。
自分が怒られているわけでもないのに、です。

もしかしたら、Aさんはとても感受性が強く、
「大きな音=恐ろしいこと」という条件付けを
非常に強く意味づけてしまったのかもしれませんね。
6~7歳とはいえ、まだまだ感受性の強い年齢です。
Aさんにとって、担任の先生と親御さんの行動は
それはそれは怖かったのだと思います。

「声が出ない」というのは、
何となく、Aさんの
「こんな事、誰も分かってくれない」という思いを
代弁しているような気がします。
「助けて!」と云っても、
誰も助けてくれなかったのでしょうか?
それとも、あまりに立て続けに怒られすぎて、
SOSを発信するという
気持ちにもならなかったのでしょうか。

今、Aさんがこうやってご相談してくださったのは、
確かに今の職場の厳しい上司が発端かもしれません。
しかし、こうやって幼いころの状態をお伺いしていると、
「幼い頃のAさんが、
今大人になったAさんに助けを求めた」
ようにも思えます。

さて、人見知りを克服したAさん。
昔の人見知りで恥ずかしがり屋で
とても大人しかった頃のAさんを見て
どんな気持ちがしますか?

あの頃の自分をなかったものとして
抹殺したいと思いますか?
それとも、
あんな頃もあったなぁと愛しく思いますか?

人は、自分が傷ついた分だけ、
「もう弱みを見せてはならない」と心に鎧をまといます。
人見知りで恥ずかしがり屋でとても大人しい事で
傷ついたと思った度合いだけ、
「こんな自分は見せられない」と鎧を着込みます。

Aさんの「明るくなった自分は本当の自分じゃない」感じは
その鎧を見ているからだと思います。
周りのみんなは鎧を見ていて、本当の自分を見ていない。
みんなが寄ってきてくれても、
鎧がみんなと生身のAさんの間を隔てていますから、
とても寂しい感じがしても仕方がないと思います。

もし、Aさんがそんな自分を隠す鎧を着込んでいたとして。
脱いだらどうなってしまうと思いますか?
楽になれると思いますか?
それとも怖すぎて脱げないと思いますか?
その2つの気持ちの間で葛藤してしまいますか?

私としてはAさんに、楽になりたい自分と
怖がっている自分をどちらもOKにして、
そっと私達に打ち明けてほしいなと思います。
ここには怒鳴るような人達は居ません。

飲み込んでしまった助けを求める声や怒り、
感じた恐れを外に表現する練習をしていきましょう。
私達は喜んで受け止めますよ。

ちなみに、脱いだ鎧(明るく、誰とでも仲良くなれる性格)は
Aさんからなくなってしまうのではなく、
必要なときに必要なだけ使える「輝き」になります。
それはAさんが後天的に磨いた才能です。
Aさんの人生を切り開く武器になりますよ。

Aさんがハートをオープンにして
楽に楽しく生きていけるよう、
心よりお祈りいたしております。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。

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