恋愛における理性

相談者名
はじめまして、私は20代の男性です。
端的に悩みを伝えると「恋愛が理解できない。」もしくは「理性が強すぎる。」といった悩みになります。
今までに二度女性の方とお付き合いさせていただきましたが、交際中も「自分は相手にふさわしいか?」、「相手は自分でよかったと思っているのか?」、「そもそも自分が相手に対して持っている感情は本当に恋愛感情なのか?」といった疑問が頭から離れず関係が発展しなかった事により破局になりました。友人(男性)に相談したところ「理性で理解する物じゃない。本能で理解するもの。それが分からないなら恋愛はしない方がいい。」と怒られてしまいました。自分もそろそろ年齢からいって伴侶を探し始めた方が良いと考えてはいますが、恋愛自体が分からないのか無意識的に理性で押さえてしまっているのかなかなか機会に巡り合いません。このような状態から脱却したいと考えメールを送らせていただきました。このような感覚を持つ自分は何らかの欠陥があるのでしょうか?それとも単純に興味がないだけでしょうか?ご回答をお待ちしています。
カウンセラー
大塚亘
Uさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

人間は、基本的には「感情」で動く動物です。「感情」とは、ポジティブなものは、
うれしい、楽しい、心地よい、楽などになります。そして、ネガティブなものは、
悲しい、辛い、苦しい、寂しいなどになりますね。

例えば、私大塚は、友人たちとお酒を飲んでワイワイと楽しむのが好きなのですが、
ということは、飲み会は楽しそう、というイメージがあるため、楽しいという
「感情」を感じたいと思って、飲み会に参加するわけです。

一方で、私は学生時代にスキーに良く行っていたのですが、才能がなくてあまり
上手くならなかったことや、寒いのがつらいとか、朝早く起きるのがしんどい
などのイメージがあって、スキーに「つらい」や「しんどい」といった感情が
くっついているため、私は最近は全くスキーに行かないということになるわけです。

それでは、人間は「感情」のみで動くかというと、必ずしもそうではありません。

例えば、会社に朝9時までに出社しなければならないとしましょう。前の日に、
たまたま夜更かししてしまって、睡眠時間が少なくなってしまったとしましょう。
そうすると、朝起きるのはつらいですよね。

もし「感情」に素直な行動をとったとしたら、朝早く起きるのはつらいわけ
ですから、つらさを感じないように、お昼過ぎまで寝るということになりますね。

しかし、それでは会社の上司や同僚の信頼を裏切ってしまうかもしれませんよね。
そのため、つらくても朝ちゃんと起きて、眠い目をこすりながらも会社に行くわけです。

もっと極端な例では、例えば、ものすごくお腹が空いていたとしましょう。しかし、
財布を家に忘れてきてしまって、コンビニでお弁当を買うことができなかったとします。

もし、空腹という本能だけに従うのであれば、コンビニに入って、お金を払わずに
お弁当を盗んで食べれはよいわけです。しかし、普通なら、理性を働かせて、
空腹を我慢しながら家に帰って財布を持って、改めてコンビニに行きますよね。

このように、人間の行動動機には「感情」と「理性」があり、いずれも必要なものですね。

まずご理解いただきたいのは、

「理性」で動くことが必ずしも悪いわけではない

ということです。

もし、Uさんが「理性」が強い自分をダメだと思っているとしたら、そもそも
「理性」が強いことは悪くないことだと思ってほしいのです。

言い方を変えると、「理性」を少なくする、弱くする必要は、全くないと私は思います。

「理性」が強いということは、Uさんが人間として「大人」であるということの
証明にしかなりません。

例えば、小さい子供は、おもちゃが欲しいけれどお母さんが買ってくれない時に、
泣きじゃくっておもちゃ売り場に座り込んでしまって、動こうとしないことが
ありますよね。

そのときの子供の行動動機は、「感情」そのものですよね。「理性」は全くないわけです。

人間は、成長していくにつれて、「理性」が育っていくわけですから、Uさんは、
ただ大人だっただけということなのです。

また、これは一般論なのですが、傾向としては、女性は「感情」が豊かで、男性は
「理性」が強いという傾向があります。

男性は、一般に、「強くなければならない」、「頼りがいがなければならない」、
「しっかり仕事をしなければならない」、「泣いてはいけない」など、たくさんの
固定観念にしばられていることが多いです。

そして、そのようなしっかりとした男性像に自分が近づくために、自分の「感情」と
いうものを行動動機から切り離して、頭で考えて理性で行動するということがよくあるのです。

ただ、その固定観念自体が必ずしも悪いわけではありません。そのような考え方を持って、
頑張って仕事をして成功するとか、頼りがいのあるしっかりとした男性になるのであれば、
何も悪くないですよね。

いただいた文章を拝見して私が感じたことは、Uさんは、とても男らしい男性だなと
いうことです。

欠陥があるどころか、成熟した大人で、とても男らしく、素晴らしい方だと思いますよ。

ですから、まずは、今の自分が悪いわけではないということは、しっかりと認識しておいて
欲しいと思います。

しかし、Uさんは、「理性」が強いということで悩まれています。理性が強い男らしい方の
全員が悩むわけではないと思いますが、なぜUさんはそれが悩みになってしまったので
しょうか。

私個人の感覚では、こう思います。それは、

もっと自分の感情に素直になって、人生を楽しみたい!

ということなのだと思います。

理性の強い方の全員が悩むわけではないし、まして、それをこのようにご相談下さる方は
少ないわけです。

人間には、今の状態がそんなに幸せではなくても、今のままでいいという方がたくさん
います。そのような方の心理は、

「今が良いわけではないけど、変化させるとどうなるか分からないから怖い」

というものです。

これは無意識の心理なので、気づいていない方もたくさんいらっしゃいます。

ということは、逆に言えば、今の状態から変化させたい、と思っている、しかも、このように
ご相談下さったということは、

「怖れを超える勇気がある」

という、とても素晴らしいことなのだと私は思います。

これも、今のままのUさんでも、とても素晴らしいと私がお伝えできる根拠なんですね。

さて、それでは、どうしたら自分の感情に素直になって、人生を楽しめるのでしょうか。

Uさんのご相談は、「恋愛が理解できない」というものでしたが、ご自身の「感情」に
素直になることを積み重ねていけば、自然と悩みも少なくなっていくと思います。

まず、「感情」のない人間はいないので、既にUさんには、ご自身の「感情」があります。

そして、「理性」は素晴らしいのですから、既にUさんが持っている「感情」を、意識して
表現していって欲しいのです。

これは、恋愛に限らず、全てのことについて、そうして欲しいと思います。

具体的には、「好き」なことをしたり、好きなものを周りの人に表明したり、イヤなものは
嫌というとか、その時の「感情」に、意識して素直になって欲しいのです。

「理性」の強い方は、Uさんのように、周りへの優しさや配慮のレベルがとても高いことが
多いです。優しさなのですから良いことなのですが、一方で、自分の希望や感情を素直に
表現すると、

「迷惑をかけてしまう」

と思っている方がとても多いのです。そのため、自分の希望や感情を周りに伝えなく
なってしまいます。

逆を考えてみてください。Uさんの彼女が、「~が食べたいからレストランに行きたい」
と言ったとします。そして、Uさんが彼女をレストランに連れて行ってくれて、彼女が
とても喜んで、レストランを出るときに、

ありがとう。私の希望をかなえてくれて、うれしいわ

と言ってくれたとしたら、彼女の希望は「迷惑」なのでしょうか。迷惑なはずがないですよね。

優しさの強いUさんの場合は、相手に「迷惑をかける」ぐらいのことをして、ちょうど
いいと思います。

「迷惑かもしれない」と思いながらも、希望や感情を周りに伝えて、「感情」を表現しても
迷惑ではないんだ、ということを少しずつ、少しずつ積み重ねていって欲しいのです。

そしてUさんの「感情」が伸びてくると、相対的に「理性」の割合は少なくなっていき、
本当のUさんの気持ちに、Uさん自身が気づいていくと思います。

そうなれば、「そもそも自分が相手に対して持っている感情は本当に恋愛感情なのか?」
といった疑問を持つこと自体が、少なくなっていくと思いますよ。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー