いつまでたっても怒りが消えない

相談者名
こばやし
 初めまして。私は女子大学生です。
私は今から4年前、家族と東京に旅行に行ったのですが、そのときのことが原因で四年経った今でも時たま怒ってしまいます。東京旅行の時、私は母と妹と、東京にいた友人の家族のところへ泊りました。その家族とは家族ぐるみの付き合いだったのですが、私は人見知りで、当時の女の子とはあまり馬が合わなく、その友人家族の娘さんとは仲良くなれませんでした。しかし、妹は私とは正反対で、ファッションや、恋愛の話などに興味があり、今どきの女の子らしい子で、娘さんと仲がとてもよかったのです。
結果、私は東京についた初日から妹とその娘さんに口も聞いてもらえないような数日を過ごしたのですが、母親も母親同士で仲が良く、私のことは気にとめていませんでした。一人残されてしまうことも多々あり、後日そのことについて不満を漏らすと旅行中に私が無視されていたことも被害妄想だと言われてしまいました。

私はまだその頃一人が怖く、悪いものだと考えていて単独行動がとれませんでした。そのため自分は弱く、帰ってきて一か月程母に怒鳴り散らし、母を傷つけてしまいました。罪悪感を感じている反面、妹を庇い自分が全部悪いという母を嫌悪してしまいました。少し経って、怒りが落ち着き、普通に過ごしていましたが、私はときたま旅行のことがなぜかふと思い出され、また荒れ、泣きながら暴言を吐いてしまいます。
さらに自分が変わっていたのが悪い、どうして自分は妹のようになれなかったのかと自己否定をしてしまい、その挙句、妹とその娘さんのことを見下してわざと母の前で罵倒し、結局傷ついた母を見て罪悪感に苛まれるという繰り返しが四年続いています。見下すのはそれしか自分が勝てるものがないからだと分かっているのですが、自分がどうしてもやるせなく感じて、見下してしまいます。

普段は普通なのですが、怒りの波がいつ来るか自分で分からず、しかし母だけが傷ついている状況に悲しみ、どうして不快にした本人達にはなにもないのかと理不尽さに怒りがまた湧き出してしまいます。
普段の母や妹は好きなのですが、怒ってしまいます。怒りを抑える方法が知りたいです。

カウンセラー
嶽きよみ
こばやしさん、はじめまして。
今回、回答させていただきます、嶽きよみ と申します。
よろしくお願いいたします。ご相談を読ませて頂いて、まず思ったことは、こばやしさんが長い間、ご自身
の色んな感情と、一人で闘って来られたんじゃないかなぁ、ということです。

特に、4年前の出来事から このメールを出して頂くまでの間は、いろんなふう
に自分を分析したり、また、責めたりしてこられたんじゃないでしょうか。
こんなことで頑張りたくなかった、とおっしゃるかもしれませんが、
でも…よく頑張ってこられましたね。

今回は「怒り」について、それを抑える方法が知りたい、というご相談ですね。

「怒り」を持っているって、本当にしんどいですよね。
だから、どこかにぶつけずにはいられない衝動にかられてしまうけれど、
そうしたからと言って、すっとするのは一瞬で、
その後 さらに嫌な気持ちになってくる…。
だから我慢しようとするけれど、あるときまた 爆発してしまう…。

「怒り」の感情の取り扱いは、こばやしさんでなくとも、誰にとっても本当に
大変なことでもあります。
だからまずは、こばやしさんが、とっても大変なことにチャレンジしようと
している、と、思ってくださいね。

ではまず、最初に「怒り」という感情についてお話させてくださいね。
”相手”を知ることで、勝負が有利になるのと同じように、
向き合う感情のことを理解すれば、攻略するのが より楽になりますから。

私達の心には色んな感情が沸き起こります。喜怒哀楽という言葉のように、
怒り、はその中でも代表的な感情です。
ただ、「怒り」というものは、感情の中でも二次的に起こる感情と
言われているんですね。

二次的な感情、というものがどういうものかというと、

例えば、「寂しい」という感情があって、それを 抑えてしまうとき。
・寂しがっていると思われたくない  とか
・寂しがっている自分なんて嫌い  とか
・寂しいって感じたくない  とか
いろんな理由で、その感情を抑えてしまうことってあると思うんですね。

その抑える「重石」が、「怒り」なんですね。

つまり、「寂しい」と伝える代わりに、
「そんな言い方しなくってもいいじゃない!!」
「なんで そんな態度をとるのよ!!!」
と、いう感じです。

「寂しいの・・・」と 正直に言えば、優しくしてもらえるチャンスは
いくらでもあるのに、その感情を隠してしまうことで、怒りによって
コミュニケーションをしてしまう、ということを、
私達はよくやってしまうんですね。

つまり、「怒り」があるところには、たいてい別の感情が隠れている
・・・ということになります。

ですから、「怒り」をなくすということがどういうことかを
理論的に言うと、

「怒り」の役割、つまり、感情を抑えるという役割を奪ってしまえば、
「怒り」という感情の存在理由がなくなる。ということになります。

でも、私達は、その怒りさえも、また抑圧しようと頑張ってしまうこと
が少なくありません。
つまり、どんどん重い重石が必要になり、
そのたびに 怒りがどんどん強くなる、ということなんです。

もちろん、表面的に怒りをちょっとずつ発散させる、ということは、
役にはたちます。

たとえば、「言いたいことや罵倒の言葉を紙に書いて破る」、
「大声を出す」、「運動して汗をかく」など、その方法はいろいろあります。

ですが、根本的に解決するには、少し遠回りのように思われるかも
しれませんが、怒りの下に抑えこまれてしまっている感情を、
まず 助けてあげる必要があるんですね。

4年前の出来事で言うと、

>結果、私は東京についた初日から妹とその娘さんに口も聞いて
>もらえないような数日を過ごしたのですが、母親も母親同士で仲が良く、
>私のことは気にとめていませんでした。一人残されてしまうことも多々あり

こばやしさんは、どんな気持ちだったでしょうか?

私だったら、すごく淋しかったと思います。
まるで存在を認められていないような、すごくちっぽけで価値がないような
自分を感じてしまったかもしれません。

つまり、この場合、一次感情である、「淋しさ」というものをしっかりと
感じることができれば、二次感情の「怒り」は必要がなくなる、ということ
になります。

それは、感情というものが持っている特徴である「感じると消える」という
働きのせいです。

例えば、何かの出来事がツボにハマって笑いが止まらなくなる時ってありますよね。
でも、さんざん何でも面白がったら、ある瞬間にピタッと止まりませんか?

また、悲しくて大声で激しく泣いていたとしても、ある瞬間にピタッと止まり、
急にケロッとして「お腹すいたなー」なんて思ったり。

感じきってしまう、というのは そんな状態です。

ちょっとつらいかもしれませんが、こばやしさんの、一次感情をしっかりと
受け止めて感じてあげる、ということが、間接的ではありますが、怒りを
持たなくなるということに繋がっていきますよ。

その感情を一人で受け止めるのが難しそうなときは、お友達でもカウンセラー
でも、その気持を打ち明けることで、一緒に受け止めてもらってくださいね。

きっとこばやしさんは、とっても繊細で、優しさをたくさん持った人なんだ
と思います。
そして、お母さんのことも、本当は妹さんのことも、大好きなんじゃないでしょうか。
だからこそ、怒ってしまう自分に悩んでいらっしゃるんじゃないでしょうか。

こばやしさんから見た妹さんは、

>妹は私とは正反対で、
>ファッションや、恋愛の話などに興味があり、今どきの女の子らしい子

と書いてくださいました。
どこかで 妹さんが 羨ましい気持ちがおありなのかな、とも感じましたが、
こばやしさんは、その、「人の価値を見つけることが出来る目」で、ご自分の
魅力のことを見たことがおありでしょうか。

もしかしたら、それは意外と少ないんじゃないかなぁと思ったのですが、
いかがでしょうか?

「投影」という心理学の言葉がありますが、そこから考えると、
「ファッションや恋愛に興味がある今どきの女の子らしさ」という魅力は、
こばやしさんの中にもあるパーツの一つでもあるはずなんです。

ただ、今はそれがどこかに埋もれているので、こばやしさんは「自分にはない」
と思っていらっしゃる要素のようです。

これからは、こばやしさんにしかない魅力やいいところを
もっともっと見つけていきませんか?

>さらに自分が変わっていたのが悪い、
>どうして自分は妹のようになれなかったのかと自己否定をしてしまい、
>その挙句、妹とその娘さんのことを見下して

と書いてくださいましたが、それを、

「私には、人とは違う魅力的な部分がたくさんある。妹とは違う個性を
持っているから、自分自身として存在している価値がある。そしてそれは、
周りの人にも 与えることができる。」

に変えていきませんか?
きっと、出来ます。

それにはまず、こばやしさんの一次感情を見つけて、感じてあげることから
はじめてみましょう。
「怒り」を人に向けたくない、と思う優しさを、自分を傷つけることに
使わないでくださいね。

応援していますよ。

ご相談、ありがとうございました。

嶽きよみ

この記事を書いたカウンセラー

About Author

柔軟な視点で問題を捉え「人間関係」「自己表現」「セクシャリティ」に関する悩みを多く扱う。 特に、現役で自身のビジネスも続けていることから、やりたいことを見つける、夢を叶える、など自己実現のサポートを得意としている。 「見た目の印象とは違い、声に癒される」との声が多く寄せられている。