厭世観が強すぎて前に進めない

相談者名
匿名希望
 はじめまして。20代前半の女です。
平常時は平気なのですが、酷くなると上手に眠れなくなるほど辛いため、藁にも縋る思いで相談させて頂きます。

私の「現状は」それなりに、というよりもかなり幸せな状態です。しかしこの幸せがいつまで続くのかという将来不安にかられています。主にニュース等で見る社会情勢の暗く殺伐とした現実を見ると、自分も将来この理不尽で残酷な世界に投げ込まれるのだという不安や哀しみ、一部の人たちの自分勝手で動かされている社会に対する強い憤りを感じ、「生きるということは苦しみでしかないじゃないのか」という厭世観に捕らわれてしまいます。

「現状は」平和に見えるこの国も、政治の話を聞くともうすぐ戦火に巻き込まれるのでは、というのが第一です。そうでなくとも、人々の満足のボーダーラインが上がり、誰もが生き残るために誰かを貶めるような時代です。他者を攻撃することでアイデンティティを護り、自分の優位性や正当性を主張する、そんな時代です(こう書くと、私も結局はその一部でしかなく、このように主張する権利も無いのですが)。

これからこの国やこの世界は坂を転がり落ちるように何もかもの状況が悪化していくだけです。そんな中で、私たちやその子供たちの世代に生きる意味、幸せになれる権利が残されているとはとても思えません。今の私ができることは、いずれ訪れる大きな理不尽のために、精々良い思い出を沢山作っておくだけです。けれどこれらは若さ故の甘えでしかないのでしょうか。

勝手なことばかり申し上げて不快な思いをされると思います。自分を正当化するつもりはありませんが、この悩みと苦しみは真実です。
自分を殺して社会に適応するのが正しい姿なのでしょうか? 幸せになれる保障の無い世界でどうして頑張らなければならないのでしょうか? 自分が間違っているということは重々承知しておりますが、前に進むことが出来ません。

カウンセラー
近藤あきとし
匿名希望さん はじめまして。
カウンセラーの近藤あきとしと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

匿名希望さんはお若いわりに、とても広い視野を持って
世の中をみているようですね。
そして、たくさんの知識とチャレンジの経験を
持ち合わせていらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、その目に映る世界というものは、なにか殺伐としていて
不安や恐れや危険なのモノの脅威に晒されているようです。

たくさんのことを悩み、考え、答えを求めて、また悩んで、
誰にでも出来るとは言えないくらいの様々な努力を
積み重ねてこられたように思います。

では、なぜそんなことが出来たのかというと、
匿名希望さんの心の根っこにある願いというものが
平和で安らかで安心で安全で、誰も傷つけないし自分も傷つかない、
みんなが人に愛されて、みんなが人を愛することが出来る世界で
あってほしいという、深い愛情であるからではないでしょうか。

しかし、その為に多くの力を注ぎ、努力を積み重ねていったのに
結果的には願いは叶わなかったのでしょう。
そのときに匿名希望さんに大きな罪悪感と自己嫌悪と自己攻撃が生まれ、
心の中で様々な想いが対立し、葛藤、矛盾、攻撃、という
まるで戦争状態になっていたのかもしれませんね。
そして大きな絶望も感じているかもしれません。

私たちの心というものは、自分の心が感じている世界を
周囲の人やモノに映し出す性質があります(「投影」といいます)。
そして、それを見て「これが世界のすべてなんだ」と思ったりもします。

また強い怒りがある分だけ、多様な考え方や見方を持つことが難しくなります。
視野が狭くなって、あるはずのモノが見えなくなったりもします。
目の前に良いモノがあっても、「そんなモノは初めから無かった」ということに
してしまうことだってあるんです。

匿名希望さんは、そのような心の中が戦争状態・飢餓状態だった人たちを
身近に見てきたのではありませんか?

そして多くの理不尽なことを体験し、また、殺伐とした光景を見てきた人の
ような気がします。

しかし、気づいていただきたいのは匿名希望さんが
今その人たちの後を追ってしまっているかもしれないということです。
絶望と罪悪感が心に横たわっている分だけ、考えれば考えるほど
ネガティブで悲観的なモノばかりになっていきますし、
それらがまた、自分自身を追い詰め、傷つけてしまうでしょう。

そして最終的には罪悪感が残るのです。

もしかしたら、今は何を見ても考えても最後には罪悪感を感じるように
自らが仕向けてしまっている部分もあるかもしれません。
そうなれば、匿名希望さんにとって、不安なこと不快なことばかり
目に映ってしまうのも当然なんですね。

また、国や世界に対しての恨みを晴らしたいのかもしれません。
たくさんの問題を前に、効果的な策も打てず手をこまねいている国々に対して、
自らの正当性を主張する為に他者を攻撃し、戦争を繰り返している世界に対して。

そこには匿名希望さんが思い描いていたような愛のある世界とは全く違うモノ
だったことでしょう。
そして、「そんな世界だったら私は愛さない」どこかでそう決めたのではないでしょうか

だとしたら、自分が敵対意識を持っている世界に積極的に参加しようとは
なかなか思えませんよね。

今の状態から抜け出す為に必要なのは、
匿名希望さんが自分本来の生き方を取り戻すことです。

上にも書きましたが、本来匿名希望さんは大きく深い愛情を持っている人です。
でなければ、世界の状況を憂い、現状に異を唱え、怒りを感じたりはしませんからね。

小さなことから愛情を使っていくことです。
匿名希望さんの周りにある小さな愛に気づいていくことです。

愛さないというのは、自分に嘘をついていることになりはしませんか?。
私は匿名希望さんがこの世界で「やるべきコト」にしたがって生きてほしいと思います。

匿名希望さんが、自分に正直に生きられること、それが喜びへとつながっていくことを願っています。

今回はご相談ありがとうございました。

近藤あきとし

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。