別居中の夫との関係

相談者名
パキラ
よろしくお願いします。私は32歳で同年の夫と結婚して2年半、子供無しです。4ヶ月前から夫が実家に帰り別居状態です。きっかけはある夜彼が突然「やっぱり子供は欲しくない。俺は子供時代不幸だったので、自分の子供も不幸になる気がして怖い。実家は親子間(祖父母⇔父母⇔俺)の仲が悪いのでそれも繰り返しそうで嫌だ」と言い出したことです。子作りをはじめて1年位たった頃でした。私は激しく動揺し、泣き崩れてしまいました。次の朝も重苦しい雰囲気でした。その夜、彼が「もう一緒に暮らせない。一人になりたい。仕事もやめて、海外に留学してやりなおしたい。自己否定の気持ちが強くしんどい。このままでいいとは思っていない。これは俺の個人的な問題だから君が付き合う必要はない。今俺には感情がない。そんな人間といても君にいいことはない」と、離婚話を切り出しました。話し合って、別居することになりました。彼は昔整形手術をし、そのことで激しく後悔して自分を見失い、対人恐怖のようになった時期があるそうです。その時は海外留学をして立ち直り、帰国後私と付き合いはじめたとのことでした。(この件は結婚前から聞いていました)。別居して最初の頃は「彼の問題」としか思えなかったのですが、最近は「私にも問題があるな」と思えます。彼に甘え、彼の愛情にたかをくくって、知らないうちに彼を追い詰めていたような気がします。別居中、彼は落ち込んで私に甘えてきたり、逆に攻撃的になったり態度は一貫しません。先日「正式に離婚の話をしたい」とメールで連絡がありましたが、仕事が忙しいらしく会う時間は作ろうとはしません(既に辞表は出したようです)。私は彼を好きで一緒に暮らしたいですが、彼の希望を受け入れたい気持ちもあります。私自身もひどく落ち込んだり、楽観的になったり気持ちがゆれています。彼の気持ちや、二人の間に何が起こったのかを理解したいです。アドバイスをお願いします。
カウンセラー
源河はるみ
パキラさん、こんにちは。
ご相談ありがとうございます。お返事させていただきます源河です。

お辛い状況ですね。
そんな中で、前に進もうとご相談くださったことに感謝します。

だんなさまとパキラさんとの夫婦関係は、
まさに今から始まろうとしているのだと思います。
「形」だけの夫婦から、「心」をひとつにすることのできる、
深い絆を実感できる、そんな夫婦関係です。

ここでは、お互いが変化することが求められ、前に進むために、
お互いを信頼することが何度となく求められます。
といっても、自分たちだけで解決しなくてはならない問題ではないので、
ぜひ、こうしたカウンセリングや親しい方との関係で、
「支えられている」という感覚をお持ちになってほしいと思います。

では、おふたりに一体何が起こっているのか?を見ていきましょうね。

簡単に言ってしまうと、だんなさまの心の中では、
天使と悪魔が両肩で正反対のことを囁きかけているような、
まるで心が引き裂かれてしまうような、
そんな葛藤が起こっています。

なにをそんなに葛藤しているのかというと、
「これ以上、心を開いて、自分を見せてしまったら、
彼女は自分を愛してくれなくなるかもしれない」という恐れと、
「誰も愛してくれなかった、そんな自分を愛してもらいたい」
という欲求との間で、自身の感情をどうすることもできずに、
身動きできないような、そんな状態だと思うんですね。

結婚をして、生活をともにし、子作りに励んでいたとなると尚更、
おふたりの心の距離は、急激に近づいていたんだと思います。
それはパキラさんにとっても、だんなさまにとっても望ましいことだったはずなんですが、
厄介なことがひとつ浮上してくるんですね。

隣り合わせに座るぐらいなら見えない鼻毛も、
鼻の穴の真下に顔を持っていくと、とてもよく見えてしまいます。

鼻毛なら切るなり抜くなりすれば済みますが、
もし、心の中に未だに癒されていない傷があると、
私たちは一瞬、いや人生をかけて、パートナーに見せる事を躊躇します。

それは、そうとは意識するわけではなく、
自分自身がとてつもなく汚れた人間に感じられたり、
自己否定や自己攻撃的な気持ちが頻繁に出てくるようになったり、
果てには、相手にすでに嫌われているように感じたり、
肩の上にいる悪魔が、「やめとけ!」と愛情を深めることを止めるような、
そんな心の働きが起こるんですね。

だんなさまが突然、不幸だった子供時代の話を持ち出したのも、
今以上に愛し合うことに自信を持てなくなってしまったからでしょう。

でも、それは悪い事では決してないんです。
そういった心の傷に触れてしまえるぐらい、ふたりの関係が深まったことを意味するからです。

ここからは先ほど書いたように、お互いが変化していくことを、
受け入れていく事が求められます。

だんなさまのことで言うと、
彼の中では、この傷に向き合う方法を過去にいろいろやってみた結果、
「現状を捨て、海外に留学する」というやり方が成功したから、
今度もまた、パキラさんとの生活を捨て、同じ方法を取ろうとしていますよね。
でも、本能的に今度はこのやり方は通用しない、と感じてらっしゃるんだと思います。
整形にしろ、留学にしろ、その時はよかったかもしれませんが、
彼の心の中に居座っている傷は癒されないままですから。
だから、態度を変えながらもパキラさんから一定の距離を保っているんだと思います。

だんなさまにとっては、整形しなくちゃならないほど、
すべてを捨てなくてはならないほど、どうしようもない自分を、
“愛してもらう”必要があるんですね。

「こんなに不幸で惨めな俺」を彼が自己嫌悪している度合いだけ、
パキラさんから離れようとしますが、逆に、
「こんなに不幸で惨めな俺」を「愛してくれると信じたい」気持ちが、
彼を引き止めているような気がします。
離婚話をしようと言いながら、どこかで愛してもらいたいという気持ちが、
連絡をさせないわけです。

言い方は悪いかもしれませんが、「試されている」と思ってもいいでしょう。
彼に試されているわけではなく、これからふたりで、
もっともっと幸せになっていくのか?今以上に愛し合いたいのか?を、
自分が、自分の気持ちを試しているような感じです。

今一度、パキラさん自身が「どうしたいのか?」を確認する意味で、
ひとりで考え込まずに、たくさんの人と話すようにするといいと思います。
私たちは、じっと心の中をひとりで覗くよりも、
気楽に心を許せる人と話している方が、自分の方向性や、
「どうしたいのか?」が見えてきたりします。

そこでもう一度、彼を選んだなら、
ふたりでお互いの心の傷を癒していく、一山乗り越えるような段階に入りますが、
パキラさんの両肩にも、天使と悪魔がのっかっているので、
惑わされないように気をつけましょうね。

パキラさんの愛情や、彼の愛情が、深くつながれることを祈っています。
まずは、パキラさんはどうしたいのか?を決めましょう。
そして、彼にとって安心できる場所になってあげてください。
「大丈夫、大丈夫」と彼にも自分にも、何度も囁きながら。
カギは、ひとりきりで悩まないことです。
応援していますね。

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