一度変えられた価値観を元に戻すなどできるのでしょうか

相談者名
かず
もうすぐ40になる主婦です。
14年近く家戻るとただ寝ているだけ夫に、朝と昼の弁当を作り、休日一人で遊びにいく夫とは別に、私は家と親の面倒を見て過ごしてきました。
一応専業ですが、在宅で仕事もしています。
お金も時間も自由な、どんどん出世して幸せそうな夫を支え、尽くすだけの生活に疲れて、15年目に離婚して欲しいと言いました。
以来夫は凄く優しい人になり、家の手伝いも家族サービスも必死にしてくれます。
夫婦としての生活も世間並みにしようと言い出したのですが、私にはどうしてもそれが納得できません。
14年間無視され辛かったので、幾度も話し合いをしました。
でも言われたことと言えば『精神的な繋がりの方が高尚で大切だ』『セックスにしか興味がない女は情けない』『汚らしい』最後は淫乱とまで言われ途中から自分が本当にみっともない、最低な人間のような気持ちになりました。
セックスがなければ普通に暮らせる、愛情をそれで計るなんておかしい、何を考えてそんな恥知らずな行為を進んでするのかと。
10年以上かけてそれをやっと受け入れたのに、今度はそれがおかしいと言われ、普通に暮らそうと言われます。
でも、無理です。
好きでこうなったわけではありません。
そうならなくては暮らせなかっただけ。
キスやセックスは愛情の確認とか、幸せな行為だと思っていました。
薄汚い行為だと言われ、そんな女は情けないと言われてきたのに(夫はその頃機能不全だったらしいです)今更雰囲気の何のと言われても無理なのです。
想像することすら惨めです。
本当は暖かな関係が欲しかったです。
今ならできると言われても、私にはわからなくて。
それを言われると大喧嘩になります。
私が怒って泣きわめいてしまうからです。
まともな生活を返してくれ、普通の女性としての幸せを返してくれと。
疲れ果ててしまいました。
もしここから抜け出せる方法がありましたら、どうぞ教えてやって下さいませ。
許して、尽くして、ずっと頑張ってきました。
でも一つも返って来ないだけでなく、何故もっとしてくれないと言われ続けました。
できるなら乗り越え穏やかに暮らしたいです。
言いたいことばかり申し上げてしまいましたこと、どうぞお許しくださいませ。
カウンセラー
吉村ひろえ
かずさん、はじめまして。
担当させていただく、吉村ひろえと申します。
よろしくお願いします。

ご相談を読ませていただき、かずさんの深い悲しみが伝わってきました。
辛いお気持ちを抱えておられながらも、ご相談いただきありがとうございます。
少しでもかずさんのお役にたてればと思います。

14年もの間、よく耐えてこられましたね。
自由なご主人を感じながら、ご自身は家とご家族の世話ばかり。
かずさんは虚しさや、諦めの気持ち、気の遠くなるような絶望にも似た気持ちをいだいて来られたのではないでしょうか。

> 『精神的な繋がりの方が高尚で大切だ』『セックスにしか興味がない女は情けない』『汚らしい』最後は淫乱とまで言われ途中から自分が本当にみっともない、最低な人間のような気持ちになりました。

そんな風に言われると、自分のことをみっともなく最低の人間のように感じてしまわれても無理はないと思います。
もちろん誤解なのですが、一番理解しあい愛し合うはずのパートナーにそのような言葉を言われると、自分自身を疑い、責め、やがてパートナーの言葉があたかも正しいかのように信じ込んでしまうことがあります。
しかし、それは真実ではありません。

かずさんがおっしゃって下さっているように
> キスやセックスは愛情の確認とか、幸せな行為
です。

セックスはパートナーとダイレクトに繋がる行為ですよね。
それはまさしくお互いを受け入れあい、愛情を確かめ愛を育む美しい行為であるはずです。
セックスを幸せな行為だと思ってらしたかずさんがいつしか、恥ずべき行為だということにして十数年暮らしてこられた。
それは、欲しくても手に入らず、手に入らないばかりかご主人に投げかけられた言葉により、欲している自分を無いことにし、見ないようにしてこられたのだと思います。
欲しても手に入らない時、私たちはその想いを無いことにしてなんとかしてやり過ごそうとします。
「欲しい私」を感じるのはあまりに辛いからですね。

その14年間のかずさんの心はどんなに辛かったことでしょう。
自分の気持ちを押し殺し、無いことにし、淡々と家と家族の面倒を見て過ごしてこられたのだと思います。
ご自身を奴隷や家政婦のように感じておられたのかもしれません。
しかし、そこまでしてでもかずさんは、家を家族を守りたかったのかもしれませんね。

かずさんが15年目にして離婚を切り出されたのはご自身に何かしらの許可を出されたからかもしれません。
『もう、こんなロボットのような生活は嫌だ、尽くすだけの報われない人生とは縁を切ろう、私は私の人生を生きよう』と。

> 今ならできると言われても、私にはわからなくて。
それを言われると大喧嘩になります。
私が怒って泣きわめいてしまうからです。

ながい間幾度となく訴えても与えられず、自分の一部を切り離してきたのに 『なにを今さら』 という感じでしょうか。
強い怒り、恨む気持ちが湧き上がって来るのは当然のことだと思います。

「今ならできる」 そう言うご主人を受け入れてしまったら14年もの間自分を殺してきた私はなんだったのか?という無意味感に飲み込まれてしまうと感じておられるかもしれませんね。
あまりの理不尽さに今まで抑えに抑えてきた感情が爆発してしまうのだと思います。
けれど、今は納得できないかもしれませんが、実はこの無意味感を感じるときは飛躍的に自分自身が変化しラクさを手に入れるチャンスのときでもあります。

かずさんに冷たく心無い言葉を投げかけていた当時、ご主人は機能不全だった。
その当時のご主人と、今、かずさんがご主人を「受け入れ愛することが出来ない」という意味では実は感情レベルでは同じです。と聞いたらかずさんはどんな気持ちがするでしょう。

かずさんに求められても、応えることが出来ずかずさんを満たすことが出来なかったご主人は、おそらく相当ご自身を責められたと思います。
自分を不甲斐なく感じ、無力でまるで役立たずのように感じてらしたかもしれません。
その当時に、自身が機能不全だということをかずさんに打ち明ければ、かずさんが自分の元を去っていくように思っておられたのかもしれません。
しかし、それはあまりに恐ろしくやり切れないのでご主人は 『SEXなんて汚らしく恥ずべき行為』 にしてしまいたかったようです。

> もしここから抜け出せる方法がありましたら、どうぞ教えてやって下さいませ。
許して、尽くして、ずっと頑張ってきました。

本当に14年もの長い間ご主人を許して尽くしてよく頑張ってこられたと思います。
ここから抜け出すには、今度はかずさんがかずさん自身を許し、労ってください。
ご主人に対する怒り、恨み、悔しさを感じる自分、14年もの長い年月自分の一部を切り離し無かったことにしてしまった自分、どんな感情をも感じるご自身を許してください。
まずは、かずさんの感じているどんな感情も認めて感じてあげることです。
どんな自分も受け入れ愛してあげることです。
感じて感じて感じ尽くすとやがて感情は解放されてゆきます。
今は、辛い思いでいっぱいになっているかずさんの心に余裕を作ってあげましょう。
そうすることでかずさんの心は軽くなり、穏やかで慈愛深い本来のかずさんに戻ってゆくことが出来ます。

かずさんが過ごした14年は決して無駄な時間ではなく、かずさんの人生がよりよくなる為には必要であった14年間です。
どうか、本当に欲しかった暖かな関係を求め続けてください。
諦めない限りは、必ず乗り越えることが出来ます。

よかったらカウンセリングも利用なさってみて下さい。

かずさんが暖かな関係を手に入れ、心穏やかに暮らされることを祈っています。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦、浮気、離婚などのパートナーシップから対人関係、子育て、また、死や自己受容のテーマなど幅広いジャンルを得意とする。 女性的で包容力があり、安心して頼れる姉貴的な存在。クライアントからは「話しをすると元気になる」「いつも安心させてくれる」などの絶大なる支持を得ている。