夫とのこれから

相談者名
なぎさ
夫とは知り合って20年、結婚して16年になります。
子供は小学生がふたり。
夫とは仲良くやっていてゼロから今の地位まで二人で力を合わせてやってきたと思っていました。
5ヶ月前から夫の様子が変でした。
一人になりたがったり、連絡が取れなくなったり、仕事の付き合いも急に増えました。
そして3ヶ月前からはわたしや子供たちを完全無視するようになりました。
家には毎日帰ってくるのですが不機嫌で話しかけにくい雰囲気、仕事のストレスだろうとそっとしておいてました。
ある日、これはいくらなんでもおかしいという出来事があり、彼の仕事用の鞄をこっそり見ました。
鞄からはデジカメのメモリーカードとみたことのない携帯がでてきました。
知らない女の人との写真やら、メールのやりとりで不倫が発覚しました。
夫はわたしに非は何もない、彼女とは遊びだった、と言いメモリーカードと携帯をわたしの目の前で壊し平謝りしました。
しかし、女の勘でその後も彼女と会っていることは気が付いていました。
ある日ベッドのマットの間から新しく彼女用に買ったと思われる携帯を発見しました。
夫は、前の携帯を壊したときは本当に別れようとおもったのだが 相手が別れてくれなかったので続いてしまった。
と言いました。
そして彼女と別れるつもりはない、と。
わたしはそんなに彼女がすきならそっちと一緒になればいいのに、なぜ毎日死にそうな顔をしてまで家に帰ってくるのか聞きました。
彼は ただ子供のためだと。
彼が5歳くらいのとき実の父親が家を出て行ってます。
なにがなんでも自分の父親と同じことは子供にしたくないから本当は帰りたくない家に我慢して帰ってきている、と。
私に対しては気持ちは残っていないそうです。
仲良しだった家庭生活を恋しく思っているのも事実、でも心は不倫相手に行ってしまっているのも事実、と言います。
その日以降も夫は毎日家に帰ってきますが憂鬱そうな顔をしています。
わたしはこんな夫に対してどんな態度で接していいかわかりません。
わたしも彼に対して以前のような信頼しきった気持ちは持てそうにありません。
ただ表面上は普通に生活しています。
子供も何も気づいてません。
わたしは彼に対して一体 どんな態度を取ったらよいのでしょうか? 夫はなんとなく私の顔色を伺っている気がします。
(怖がっている?)アドバイスをお願いします。
カウンセラー
池尾昌紀
なぎささん
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

何百件というご相談を聞かせていただく中で、不倫や離婚の問題を伺うことは多くあります。
離婚したいと相談される方も、離婚してくないと相談される方もおられますが、
そのどちらの側のご相談の中で、ほとんどといっていいほど共通して出てくる話が「子どもがいなければ離婚するのに」ということです。

けれど、実際にカウンセリングを積み重ねていくと、「実は子どもがいるかどうかの問題ではなかった」というところに行き着くことが本当に多いのです。

不倫というのは、される側にとって、本当に辛いことです。
自分の存在を否定されるような気持ちになってしまいますよね。
とても傷つくし、また、どんな人にでも相談できるような話ではないので、自分だけで抱えてしまうことも多く、それが苦しみを大きくしていきます。

そんな大きな苦しみの中では、これが何か意味があるのではないか、という視点を持つのは難しいことです。
それを思えるような余裕は心にないですし、恨み辛み、そして何より「自分が悪かったのではないか」という強い自己攻撃に苦しむことになるからなんですね。

でも、不倫を乗り越えて、夫婦関係を新しく築き直すことができたカップルもたくさんおられます。

そうした方々が必ず言われるのは、「夫婦が向かい合うきっかけだった。これほどの大きな苦しみがなければ、一生、二人で向かい合うことはできなかった」という言葉です。

こうした問題は多くは夫婦の問題なのです。夫婦が今まで向かい合うことができていなかった部分を、これをきっかけに向かい合っていく。
それができた時、夫婦はこの問題が起こる前にはなかった大きな絆を得ることができます。

なぎささんのご主人は、「子どものために我慢して帰って来ている」と言われます。
でも、それは本当でしょうか。
もし、「子どもがいる」ことが100%の理由なら、どうして苦しそうに憂鬱な顔で帰ってくるのでしょう。
割り切って帰ってくればいいのです。子どもがいるから帰ってくる場所だ、と。
子どもとの生活を楽しめば良いのだ、と。
奥さんのことは同居人だと思って過ごせばいいのです。
そうすれば、苦しむ必要はありません。

でも、ご主人はとても苦しそうでです。
文面を読ませていただくだけでも、かなり苦しんでおられる様子が伝わってきます。
なぜなんでしょう。
それは、なぎささん、あなたがいるからです。
あなたに申し訳ないと思ったり、あなたを心配したり、あなたに思いを持っているからです。

ご主人は罪悪感を感じているわけですが、罪悪感というのは、すごく簡単に言えば、「こんなことをしてしまって申し訳ないという気持ち」です。
罪悪感を感じる、というのは、実は、相手に愛を感じている証なんです。

申し訳ないという気持ちは、相手に思いがなければ、持つことはありません。
道に落ちている石を蹴っ飛ばしてしまっても、石に申し訳ないとは思いませんよね。

こんなに傷つけてしまって申し訳ない、というのは相手に対して愛情があるからなのです。
そして、その苦しみが大きければ大きいほど、相手への愛情も大きいという証拠になります。

ご主人は、なぎささんに感じている、この思いをどうすればいいのかわからず悩んでいるのだと思います。

そして、なぎささん、あなた自身はどうでしょう。
ご主人に対して、罪悪感を持ってしまっているところはありませんか?
「もっとこうしておけばよかった」「あの時のあの態度ややり方がよくなかったのではないか」とご自身をとても強く責めてしまっていないでしょうか。

不倫というのは、罪悪感の競争をしているようなものです。
自覚していないことも多く、表面的にはそんな風にはとても見えない、と相手のことを思うことも多いのですが、深層心理では、どちらもが、いかに自分が悪かったか、と自己攻撃をお互いにしあっているんですね。

なぎささんも、そしてご主人も、こうした状態になっているのではないかと思います。

では、どうしたらよいか、というお話なのですが、
ご主人に対しては、本人の言動ではわかりにくいけれど、心の中では、表面的な態度とは全く別のことを感じているかもしれない、という視点を持ってみてください。

「かもしれない」と思うだけでもいいのです。

そうした視点を持ってご主人と接していくと、今よりも楽に接する事ができると思います。

ご相談、ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。