一人称が使えない。

情報が少ないので、難しいご相談なのですが、一緒に
考えてみましょうね。

まず、一人称を使えないことについてですが、

一人称を使ったとしたら、どんな出来事が起こりそうだと思いますか？

一人称を使ったとしたら、どんな感情が感じられそうだと思いますか？

少なくとも、その出来事や感情を避けようとしているとは、
言えるでしょうね。

その出来事や感情は、どんな場合にもすべて、起こりうることですか？

たいがいは、どんな場合もすべてということはないと思うんです。

けれども、どんな場合もすべて、家族に一人称が使えないとしたら、
心の深いところで、何らかの誤解に基づいて反応しているのかも
しれません。

例えば、お父さんが会社に行くときに、幼い優さんが、一緒に、
行きたいと言い出したとします。

お父さん：会社に行って来るよ
優さん：私も～
お父さん：優はダメ！！
優さん：わーん（号泣）

こんな出来事があって、お父さんとは、仲間だと思っていたけれど、
拒絶されてしまって、嫌われているんだと、幼い優さんが誤解したと
します。

大人の視点で見れば、別に嫌われているわけでもなんでもないですし、
お父さんだって、会社に行かないで、一緒に遊びたいかもしれませんし
できるなら連れていってあげたいと思っているかもしれません。

だけど、未だに心の中では、お父さんは私を嫌っていると、誤解が
続いていれば、

何かのときに、「私も～」と言おうとすると、また「ダメ！！」
って言われて、拒絶されるように感じてしまう場合があります。

そこで、大人の視点でとらえなおして、拒絶されそうな場合と、
そうでない場合の区別をして、そうでない場合に、
「私も～」と伝えることを試してみるわけです。

そうして、伝えることが少しずつ、できると、いつもどおりの
反応を、少しずつでも変えていけるという意味です。

さらに、考えると一人称が使えても、使えなくても、
家族の中で、その悩みを話せないのは、なぜなんでしょうか？

「私」という言葉を使う場面ごとに、いつも他の言葉にして、
濁してしまっているんですよね。

もし、できるなら、「一人称が使えない」ということについて、
家族に話してみてはいかがでしょうか。

話せれば、

「なんでそんなことを気にしているの？言ったらいいよ」

と、ご両親でもご兄弟でも言ってくれるかもしれません。言って
もらえるだけでも、安心感がもてるかもしれませんし、
それくらい気を遣っていた優さんの気持ちにも気づいてもらえる
かもしれません。

家族での会話がぎこちないとしたら、何か、家族の中で、自分が
いてはいけないような感覚があるのかもしれません。

それくらい気を遣ってしまっているんじゃないでしょうか。

「一人称」以外にも、気を遣って、言えない、言わないでいる
ことがあるかもしれません。

その中で、言いやすいところから、伝えてみると、続けていけば、
家族の関係が変わってくると思います。

家族への信頼感も、少しずつ増えていくと思いますよ。

理屈どおりいかないところもあるかもしれませんが、考え方として、
ヒントにしていただければと思います。

清水三季央