感情を感じる事

相談者名
たかし
こんにちは。心理学講座を拝見させて頂き、大変感謝しております。
さて、タイトルについて質問がございます。他のナンバーで、「感情を感じる必要性」「感情を感じ尽くす必要性」を拝見させて頂き、この5日間試してみました。
今日も家で1時間程試してみましたが、胸の真ん中辺りが本当苦しくて痛くて、耐えきれませんでした。例えが悪く申し訳ありませんが、仮に心臓病を患っている人が試したら、心臓発作を起こすのでは?と心配になりました。(私は心臓病を患っておりませんが) また、ここ5日間、感情を感じなければと思い、試すのですが、余計に精神不安になります。人の話に集中できなかったり、物事に集中出来なくなりました。 試しに、感情を感じようとする事を辞めてみたら、笑顔になれ、人とも堂々と話せるし、外出したくなります。
(感情を感じなければと、義務感を持たなかったとしても、感情を感じた方が良いので有れば、やっぱり、頭の片隅で感情を感じようとしてしまって辛いです)ここ2年間程認知行動療法の7つのコラムを実践しており、かなり精神的にも安定しています。しかし、8年前から、他の人(7人以上)に相談したら、そんなの罪悪感を抱く事では無いと言われる事なのに、その行為をするとテンションが長期間下がります。またその行為をしてしまい、またテンションが下がるという悪循環に陥っていました。(他の人から暗い・・・と言われるので、その行為はしたくないのです)そうしている時に、心理学講座の「罪悪感」のナンバーを拝見させて頂き、罪悪感を抱く自分の本質(自分はそんな事に罪悪感を抱くなんて、心優しいんだ)に気づき、自分を大切にする意味でもその行為は辞めておこうと決心しました。また、テンションが長期間落ちるのは、潜在意識下で補償行為をしていたんだと気づきました。話に戻りますが、感情を感じようとすればするほど、辛いです。感情に気づく事は可能ですが。(ただ、気づこう、気づこうとするのはしんどいです) 感情を感じようとする事を辞めれば、余裕が出来て、自分に優しくできている気がします。ただ、やっぱり感情を感じないと、感情が溜まって後から問題になると聞いたので不安になります。話が長くなり申し訳ございません。是非共アドバイスをお願い致します。現在、カナダに住んでおり、面談出来ないのでメールさせて頂きました。
カウンセラー
近藤あきとし
たかしさん はじめまして。
カウンセラーの近藤あきとしと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

私たちのコンテンツをお読みいただいきまして、ありがとうございます。
確かに感情を感じる、感じつくしてみることは、これまでも何度も提案を
させていただいている内容ですね。
そしてたかしさんは、ご自分で感情を感じるために努力をしてこられたんですね。

そのうえで、まず理解していただきたいのですが、私たちは感情を24時間
常に感じているのです。まるで泉の底から、ポコポコと湧き出る水源のように、
一時として止まっていることは無いんですね。

決して、無理やり「感じなければいけない」ものではないのです。

私たちカウンセラーが度々、感情を感じることが大事です、というのは
常に感じているはずの感情を、思考など意志の力で抑圧し続けてしまった場合に、
様々な問題が起こってくるからなんです。

感情を抑えつけるには、思っている以上に多大なエネルギーを必要とします。
自然に出てくるものを、同じかそれ以上の力で上から抑えつけないといけないからです。
それだけで、本来前向きに生きるために使えるはずのエネルギーを、無駄遣いしている
ようなものですから、徐々に生き生きさが無くなっていったり、時には心を失ったような
感覚を覚えることにもなるんです。

そうして感情に対して鈍感になると、どこか麻痺したようになってしまうので、
ハードワークやお酒、ギャンブル、セックスなどに依存して、過剰に刺激を
求めるようになることがあります。また病気や事故で怪我をすることもあるんです。

それくらい強い刺激を求め、アクシデントを起こしてでも、私たちは麻痺してしまった
感情を感じようとするのです。

抑圧して心の奥に封印してしまった、過去の寂しさや、悲しみ、恐れなどの痛みを
解放してあげることが必要となるので、感情と向き合い、感じていくことが大切
なんですね。

私がたかしさんの相談の内容を読ませてもらって感じるのは、「不安」と「恐れ」の
二つの感情を抱えているのかな、ということでした。

もしかしたら、たかしさんはいつも思考を使って考え続けることで、
ネガティブな感情に触れないように、自分を制御しようとしているのでは
ないかと感じたんです(あくまで私の推測なので違っていたらすみません)。

いつも自分の感情を、制御しなくてはならないような不安があったとしたら、
そして、もしも制御できなくなったら…というコトを想像すると、
すごく怖くなってしまうのかもしれませんよね。

私たちは、自分を制御できない恐れを感じてしまうような時には、
自分に対して様々な言葉を投げかけて、追い込んでしまう場合があります。
「…しなければいけない」とか「…するべきだ」など思い込みや、
決めつけの言葉でプレッシャーをかけ、自分を縛りつけようとするのです。

すると、心は叱られた子供のように縮こまって、自由に感情を感じることを
我慢してしまうのです。湧き上がってくる感情を上から蓋をしてしまうように
塞いでしまうのですね。

しかし上にも書いたように、心は感情を麻痺させていても、どうにかして感じようと
するものです。制御し続けるには、さらにプレッシャーをかける言葉を投げかけ
続けなくてはなりません。

それでも、最後には押さえが利かなくなって、心は暴れだしてしまう寸前になります。
まるで火山の噴火のように、溜め込んだものを吐き出して爆発を起こすかもしれません。
そうなれば、おそらく自分ではもう制御できないように感じてしまうでしょう。
これがたかしさんにとって、ずっと怖いことだったのかなと、私には感じられたのです。

感情を感じようとしてみると不安定になる、と書かれていますが、これも一つの感情の
制御のように思われるのです。
心をキリキリと振り絞るようにして、感じようとしていると思えてしまうんですね。
そして感じなければならない、というプレッシャーがさらに不安を煽って、
それがたかしさんの胸を苦しめてしまうのではないかと。

私から一つたかしさんにチャレンジしてみたらどうかな、と思うことがあるのです。

感情と仲良しになってみる、というのはいかがでしょうか?

恐れや不安を感じないように、感情を制御するのではなく、仲良しになることができたら、
プレッシャーをかける言葉で自分を縛らなくてもよくなりますし、今よりも自由に感情を
感じることができるでしょう。

感情と仲良くしていくためにすることは、実はそれほど難しいことではありません。
まずは、たかしさんから見て、感情を感じることが上手だなと思う人や、
感情表現が豊かな人たちに、近づいてみて欲しいんです。

少しずつ少しずつ、近づいていってみるコトから始めます。
徐々に距離を縮めていって、出来ればその人の心と触れてしまうかもしれないと思うほど
傍に寄ってみましょう。

もし、たかしさんが感情を制御しようとしていたり、抑圧しているのであれば、
その人たちに近づいた時、なんとも言えない嫌悪感を感じるでしょう。
理由は分からないけど、ここには居たくないと感じることもあります。
怖かったり腹が立ったりして、色々な形で抵抗を感じるかもしれません。

その場合も、その嫌な感じや、怖い、よく分からない、という感情を、
そのまま感じてみることをスタートにしてみるんです。
そして感情と上手に付き合っている人が、どんな表情で、どんな言葉で、どんな反応で、
周りの人たちとコミュニケーションをとっているかをよく観察してみてください。
そしてそのやり方を自分に取り入れて、マネしてみましょう。

上手になりたいことがあったら、それが得意な人たちに近づいて、観察してマネてみて
そして一緒に仲良くなってしまうのが、一番楽で簡単な方法なんです。

感情は、いつまでも止まることなく流れる河と同じで、淀みなく流れを止めずにいれば、
自然に流れて、感じられるものですからね。無理をしたり抵抗しなければ、いつでも
たかしさんのもとへやって来てくれますよ。

たかしさんに必要なのは、「無理に感じようとしないこと」と「考えすぎないこと」
そして「誰かに頼ること」だと思います。

自分の感情を知るには、安心して話せる誰かがいてくれると、とてもスムーズに運ぶ
ものなんです。
友達でも恋人でもカウンセラーでも、誰かを頼ってたかしさんの感じていることを
素直に打ち明けてみてください。そこから新しいアイデアや、思ってもみなかった
ことが見えてくることもありますからね。

この回答が、たかしさんが今よりもずっと楽な気持ちで毎日を過ごすための
参考となれば幸いです。

今回はご相談ありがとうございました。

近藤あきとし

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。