母の依存症について

相談者名
ななかまど
私は12歳の時から母子家庭で育った一人娘で、現在は国際結婚して夫と1歳の息子と英国に住んでいます。今回は日本に一人暮らしている母65歳に ついての相
談です。

母は7年前から腎不全と診断され、先日定期検査の結果が悪く検査入院をしました。すると1週間後に今までの疲労と極度な食事制限で病院内で倒れて しまい、医師から緊急に一時帰国するように言われ、夫と息子を置いて単身一時帰国しま
した。

それまで一人暮らしで働いていた母は、退職。倒れてから約2カ月間は有給で給与は支払われていましたが、帰国した際にその後どうするのかと聞いて みたところ「その時に考える」と言って、数ヶ月先の生活設計のことはあまり口にした
がりませんでした。

倒れたショックと透析を受け入れるのに母自身の中でまだ気持ちの整理ができていないことは目に見えてよくわかっていました。

しかし、私が英国へ帰国する1週間前ぐらいから母に貯金がないことと、数十万の借金と毎月の支払いの債務があることがわかり、急遽その負債や今後 の生活について(年金と生活保護暮らし)調べ色々と相談したり申請したりしました。

けれども、それまで母自身は自分が透析生活になった時のことを考えたり調べたりすることは一切せずに私が帰国直前で退職手続きや借金などの負債に ついて全て調べたりして、当の本人は全くもって自分の財産や生活設計を娘に託すとい
う他人任せで、私は毎晩眠れない夜を過ごしていました。

私が今できることは、夫と息子を置いて飛行機代を支払って一時帰国し、一時的に母の看病をすることだけでした。母の暮らしを支えるほどの経済的な 余裕と1歳の子どもを抱えているため精神的な余裕はありません。

私が英国へ帰国した後も、退職後の諸々の手続きのことを細かに聞いてきて、私自身は自分の生活で一杯いっぱいなところ「心配かけてごめんなさい。 迷惑かけてごめんなさい」と口では言いますが、精神的には私に依存していることは明
らかです。

母はまだ65歳。せめて息子が小中学生ぐらいになる約10-15年後ぐらいまでは、一人で暮らしていて欲しいですし、それが母にとっての自立であ ると思います。いよいよ寝たきり介護のような状態になったらある程度私が診る必要がある
かと思っていますが、私は今育児期間であり母の介護は必要 ないと思っています。

長くなりましたが、こうした依存症の母とこれからどう関わっていけば良いのでしょうか。

カウンセラー
松尾たか
ななかまどさん、ご相談ありがとうございます。
今回、ななかまどさんのご相談をさせていただく松尾たかと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

お母様が倒れられて、びっくりなさったでしょうね。お母様を心配なさるお気持ちとともに、ななかまどさんご自身がお母様と自分の家族の生活が今後どうなっていくのだろうと不安を抱えていらっしゃるのが伝わってきます。
少しでもななかまどさんの心がラクになるようにお伝えできればと思います。

ななかまどさんは海外にお住まいですから、突然連絡を受けて一時帰国をし、お母様の顔をご覧になるまで気が気ではなかったのではないでしょうか。
だけど、顔を見てホッとしたのも束の間、これからのお母様の生活に対して現実的な不安が出てきて、私が(ひとりで)なんとかしなければと強く思われたのでしょう。

>倒れたショックと透析を受け入れるのに母自身の中でまだ気持ちの整理ができていない
>ことは目に見えてよくわかっていました。

お母様のショックも大きかったでしょうが、お母様の気持ちの整理が出来ていないのと同じくらい、ななかまどさんもお母様の現在の様子を受け入れ難いと感じていらっしゃるように思います。

子どもにとっては、母は偉大な存在です。 親はいつまでも元気でいて子ども(私)のことを見ていてほしい、いつもでも気持ちの上で頼れる存在でいてほしいと心のどこかで願っています。 だから、年老いた母を見ると悲しい気持ちにもなります。 自分の中の母の姿(イメージ)と現実の母の姿にギャップを感じて、戸惑ったり、不安になったりもします。

ななかまどさんは母子家庭でお母様と2人で暮らされて、お母様の気丈な姿、頑張る姿をいつも見てこられたでしょうから、もしかすると、今のお母様の姿を見たくないという気持ちが強いのでははないでしょうか。
「お母さん、もっと1人で頑張ってよ。それくらい今までしてきたじゃない。どうしちゃったの。」とそんな想いが溢れてきたかもしれませんね。
その姿を見るのもやはりショックで、悲しかったかもしれません。

また、ななかまどさんの心の中には今のお母様に対して何も出来ない、何もしていない自分を感じておられるのではありませんか。
英国での自分の生活があるから仕方がないと頭では思っても、ななかまどさんは、そんな自分を責める気持でいっぱいになっているように感じます。

>私が英国へ帰国した後も、退職後の諸々の手続きのことを細かに聞いてきて、私自身は
>自分の生活で一杯いっぱいなところ「心配かけてごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい」
>と口では言いますが、精神的には私に依存していることは明らかです。

文化も異なる海外での結婚生活、1歳の息子さんの子育てだけでも大変だと思うのですが、それに加えて日本に住むお母様のサポートとなると、本当に今は心身ともにグッタリと疲弊されているのだろうと思います。

ななかまどさんは、お母様の近くにいられない分、お母様を1人にしていて申し訳ないとか、近くにいて面倒を見てあげられなくてごめんなさい、というような気持ちをたくさん感じていらっいます。
だけど、依存してくるお母様に対して、「いい加減にしてほしい。私にも生活があるの」「(今までのように)自分ひとりでなんとかやってほしい」という気持ちが出てきたとすれば、そんな自分をすごく嫌だと感じるでしょう。

お母様の面倒を見なければという気持ちが強いほど、不安や心配事は出てくるでしょうし、それが出来ない自分、そのお母様への怒りや、その姿を受け入れられない自分との葛藤で重苦しい気持ちになってしまいます。
そうすると、ご主人や息子さんに素直に愛情を注ぎながらも、家族といて嬉しいとか、楽しいを表現しずらいような気持ちになることがあるかもしれません。

ななかまどさんには、辛いことですが、まず今のお母様の姿をそのまま受け止めてみようという意欲をもっていただければと思います。
受け入れ難いのはよくわかりますし、認めたくない気持ちもたくさん出てくるでしょう。 それでも、「母も年をとったんだな」とか「心細いんだな」とか、そう思ってみてみようということにチャレンジしてもらいたいと思います。

親はいつまでも親で、子はいつまでも子どもなのですが、子どもの立場から親を見る側へとシフトしよう、子どもから卒業しようという気持ちがここでは大切になってきます。
それは、子として親に依存をしていた立場から、親に愛を贈る自立した立場への変換です。
もちろん、親は子どものことを気にかけてくれますから、親として子どもへの愛情が変わるわけではありません。

それと同時に出てくる、そんな母の姿を見たくないと思う気持ち、その姿を見ると悲しい、などどんな感情があってもいいんだとしっかりご自身で受けとめてみてください。
気持ちが辛い時には、心の内をシェアできるご主人やお友達に聞いてもらいながら、誰かの助けを受けながら進んでくださいね。 もちろん、カウンセリングも利用してもらってもかまいません。

そして、お母様に何かあった時には私(と家族)がなんとでもする!と心に決めておいてください。 具体策はなくても、そう心に決めておくだけでも、お母様に対する申し訳なさは減るはずですし、いざと言う時に動揺しなくてすみます。
ななかまどさんには、支えてくれるご家族がいらっしゃいますから、そのためにも、ななかまどさんはご家族(夫と息子さん)との生活をより楽しく、心地よいものになるよう過ごしてくださいね。

ななかまどさんは、本当にお母様思いの優しい方であり、自分で道を切り開いていける強さもある方です。
ななかまどさんが自分を信頼して、この状況を乗り越えて、お母様もご家族も幸せな気持ちを感じる毎日となるようを願っています。

ご相談ありがとうございました。

松尾たか

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。