兄の言動がおかしいので心配です。

相談者名
みさき
 私の兄は現在22歳ですが働こうという考えもないようで、ここ三年ほどはずっと家にいてテレビを見たり、自分で買ってきた雑誌を読んだり、ボーッとしたりしています。
兄はもともと体が弱く、中学のときには少しですがいじめもあったようで、高校は養護学校に通っていました。卒業後は時給は安いながらも工場で働いていましたがそれも一年ほどで辞めてしまいました。

それから兄はずっと家にいるのですが、ここ一年ほど訳のわからない発言を繰り返しています。
「子供の頃に戻りたい」、「この町は腐っている」、「山で暮らしたい」、「誰かこの町をもっと住みやすくしてくれないのか」等々、いつも母親や父親に言っています。
最近は特に、異常なまでにアダルト雑誌やその手のビデオ、番組の話をします。「この町には有害な物質が多い」とか、「本屋やビデオ屋は無くなればいい」、「全ての(アダルト)本を排除したい」などと言っているのです。この話に異常に固執するということは、何か裏にメッセージがあるのでしょうか?

固執するものはころころ変わるのですが、私はテレビのせいではないかと思います。テレビで歯磨きをするといいと言っていれば、一時間も歯磨きしていたこともあります。
それから兄はどんなことでも何かのせいにします。「政治家が悪い」「町長が悪い」、挙句の果てには「自分は障害者だから」…。彼にとっては、何もかもが「誰か」のせいなのです。
このほかにも理解できない行動や言動をしています。

最初のうちは両親も「またそんなこと言って…」と苦笑いする程度だったのですが、最近ではあれほど精神科を嫌がっていた母までもが、「専門家に話をきいてもらわないと」と言っています。ただ、父親が絶対反対するだろうから踏み切れずにいるのです。ただ、そんな兄も祖母には心を開いているようで、畑仕事の手伝いなどはしているみたいです。

わたしは、兄が心配です。それを決定的にしたのは「子供を見たらむかつく」と言っていたからです。何かが起こってからでは遅いので、勇気をだして相談しようと思いました。私たちの家族は今、どうしていいか分からず問題を先送りしている状態です。しかし両親は年をとり、いずれは兄は一人になります。私たち妹弟もいずれは家族を持ち、家庭を築いていくと思いますが、兄の事が気にかかって仕方ありません。兄自身も今の状態をどうにかしたいと思っていると思います。しかし素人にはキャッチできない信号もたしかにあると思います。
ほんの少しのヒントでもよいので頂けたなら、私たち家族も救われます。

カウンセラー
根本裕幸(退会)
みさきさん、こんばんわ。根本です。
ご相談ありがとうございました。

優しい気持ちがたくさん伝わってきました。
同時に不安や恐れも負けず劣らずあろうかと思います。

> 兄はもともと体が弱く、中学のときには少しですがいじめもあったようで、高校は養護学校に通っていました。卒業後は時給は安いながらも工場で働いていましたがそれも一年ほどで辞めてしまいました。
>
> それから兄はずっと家にいるのですが、ここ一年ほど訳のわからない発言を繰り返しています。

> 「子供の頃に戻りたい」、「この町は腐っている」、「山で暮らしたい」、「誰かこの町をもっと住みやすくしてくれないのか」等々、いつも母親や父親に言っています。
> 最近は特に、異常なまでにアダルト雑誌やその手のビデオ、番組の話をします。「この町には有害な物質が多い」とか、「本屋やビデオ屋は無くなればいい」、「全ての(アダルト)本を排除したい」などと言っているのです。この話に異常に固執するということは、何か裏にメッセージがあるのでしょうか?

そんな感じがしますね。
強烈に自己嫌悪されているように僕は思いました。

子どもの頃に戻りたい、というのはそのまま受けとっていいでしょう。
今の自分に嫌悪し、何もしなくても許された子ども時代を懐かしんでいるのかも知れません。

お兄さんはお住まいの「町」をどんなところと捉えていらっしゃるのでしょうね。
自分を苦しめ、自分をいじめる苦しみのシンボルになってしまっているのかもしれません。
だから、山に逃げ出したい気持ちがあるのかもしれません。

アダルト雑誌についても、それを好む自分を嫌悪されているのでしょう。
特に自分の性的な欲求を受け入れられない状態なのかもしれません。
でも、自分では止められないから周りの者に止めてもらうしかない、即ち、その存在が無くなることしかないのかもしれません。

>  それから兄はどんなことでも何かのせいにします。「政治家が悪い」「町長が悪い」、挙句の果てには「自分は障害者だから」…。彼にとっては、何もかもが「誰か」のせいなのです。

僕達も誰でも「誰かのせい」にすることがあります。
でも、そこで感じているのは多く「罪悪感」で、「自分が悪い」と思っているものです。

自分が悪いから、それが周りの人達に投影されて周りの者が悪いように思います。
他の人を攻撃しているときは、唯一自分を責めずに済む時間ですから、自己攻撃が激しくなるのと、他者攻撃が激しくなるのは比例していくものです。

最後の「自分は障害者だから・・・」というのは、自己嫌悪ですね。

お兄さんが元々どんな方だったのかは分かりませんが、過去の辛い経験やそれを乗り越えられない自分を恨んだり、憎んだりする気持ちが強いのかもしれません。

> 最初のうちは両親も「またそんなこと言って…」と苦笑いする程度だったのですが、最近ではあれほど精神科を嫌がっていた母までもが、「専門家に話をきいてもらわないと」と言っています。ただ、父親が絶対反対するだろうから踏み切れずにいるのです。ただ、そんな兄も祖母には心を開いているようで、畑仕事の手伝いなどはしているみたいです。

ご両親はお兄さんのことをどんな風に扱ってこられたのでしょうか?
特にお父さんとの関係を見てみるといいでしょう。
お兄さんは政治家、町長などの「権威」を攻撃していますね。
家の中ではお父さんがその象徴になりますから、潜在的にはお父さんに対する憎しみのようなものも強いのかもしれません。

おばあさんはきっと優しくお兄さんに接していらっしゃるのではないでしょうか。
かわいい孫として、甘えさせてくれるのかもしれません。
だから、お兄さんにとってはおばあさんが唯一の味方で、そこが居場所のように感じられるのかもしれませんね。
でも、それは逆にいえば、みさきさんのご家庭にそんな安心できる場所がなく、自分の存在が許されているという雰囲気がないのかもしれません。

お父さんやお母さんが、世間体やプライドを気にして、お兄さんと向き合えないような状態ならば、お兄さんの状態は家族にとってますます悪いものになってしまうかもしれません。
特におばあさんが元気なうちはいいのですが、その後、が問題ですね。

みさきさんにとってはお兄さんに家族の居場所を作ってあげることを目標とされてみるといいでしょう。
そして、家族みんなの問題として、お兄さんのこれからを一生懸命考えてあげる愛情が一番大切なのではないでしょうか。
お兄さんが一番求めているのは「お前は悪くない、お前は愛されている、ここにいていい人間なんだよ」という気持ちなのかもしれませんね。

機会があれば、お兄さんを専門医に診ていただいてもいいのですが、それとは別に、家族みんなでお兄さんの居場所を家族の中に作ってあげて欲しいと思います。
そのためにも、ほんまのお兄ちゃん、を思い出してみてくださいね。
優しくて、何でも知ってるお兄ちゃんだったのでしょうか?
それとも、不器用だけども愛情深いお兄ちゃんでしょうか?

それは妹としてお兄さんの真実の姿を見つけ出してあげてくださいね。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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