親への仕返し

相談者名
3児の母
高校2年の息子です。この一年の間に部活をやめる、夜遊び、外泊、タバコ(現行犯ではないので注意のみ)とだんだん非行をはじめ、もちろん勉強はまったくで、何とか2年生にはあがりましたが、新学期が始まってからは不登校ぎみになり、今日でもう欠席が6日、このままだと学校をやめることになってしまいます。帰宅時間は、お前たち(私たち夫婦)が、がたがた言うからうっとうしいから寝る時間まで時間をつぶしているんだと言って毎日遅く、週末は帰ってきません。友達の家か、漫画喫茶のようなところにいるようです。怒ったり、なだめたりの悩み続けた一年でしたが、とうとう学校まで休むようになってしまいました。ここ2,3日の話によると、私が小さいときにきびしく躾けて時には手を上げてすべてのことを強制してきたので、その仕返しを今しているんだということなのです。たたかれたことの仕返しはいくらなんでもできないから、お前のいうことは一切聞かない、これが本人の言い分です。どうしたら、いいだろう、悪かったところは私も認めるというと、自分の気が済むまでこのまま、親のくせに簡単に自分の言ったことを否定するな、親の権威はどこにあるなどと、まったく反対のことも言います。学校に行く気があるのか、ないのかは、行っておかなきゃ、損だと言ってみたり、退学届けをもらってくると言ってみたりよく分かりません。親の承諾書もいらないようなバイトもやっているようです。悪いことをやるようになってからは、こわくてお金が渡せませんでした。校則では禁止にも関わらず、やっています。もうやめるといっていたタバコもまた吸っているようです。大切な高校生活だから、親への仕返しで無駄な日々を送らずに考えなおしてほしいと言ったのですが、今日もまた、学校が終わる時間に出かけていきました。寛大な主人もだらしのない生活態度とお前呼ばわりされてとうとう相手にしなくなりました。どうしたらよいでしょうか?
カウンセラー
中村ともみ
こんにちは、カウンセラーの中村です。ご相談いただきありがとうございます。
「3児の母」さんと同じ年代の息子が私にはおりますので、ちょっと他人ごとではない気分で読ませていただきました。年代だけではなく、二人の息子(19歳、17歳)は共に高校を中退しているんですよ。理由はそれぞれですが、長男が学校に行きたくないと感じ出した初めのきっかけは、教師による個人的な「いじめ」と本人が感じたことを1年以上にわたって受けたということ。後になり長男は、あれはきっかけだったと話すようになりましたが、「親には言えないことだってあったよ」とも言っていました。片や次男は、頑なに自分の主張を通して希望する高校に推薦で入ったのですが、やはり途中で中退。次男は中3の途中からそれまで休むことが無かった学校を休みだしだのですが、そのきっかけは幼馴染であった同級生の急な病死でした。その幼馴染がなくなった直後、夜眠れなくなってほんのわずかな期間ですが昼夜逆転になり、以来休みが増えました。
我が家の二人の場合とも直接の原因はわかりません。本人達もただ学校がいや、としか話さないのです。こうして書くと淡々としたものですが、その場にいると私のほうもおかしくなりそうでした。高校ぐらいは出て欲しいという気持ちはもちろんありましたからね。でも、長男は毎日死ぬことを考えていたと後で聞き、ぞっとしました。そして、生きていたら何とかなるもんやないかな、と気持ちを切り替えて長男の気持ちを重視し、学校に行けといいたい気持ちをこらえて、そして長男は学校に行っていない事の不安や自己嫌悪を抱えながら、できるだけ普通に振舞い日常を過ごしていました。卒業式間近の日、長男は制服を引っ張り出してきて、自分から退学届けを出しに行くから一緒に来て欲しい、と言うんですね。でも、制服なんて、としまいこんでいたのに、1年近く経ってからまた制服を取り出し、行きたくないだろうに学校へ向かい、担任の先生に会って退学届けを出しました。
担任の若い先生は「自分の口から言うのはどうかとは思うが、学校に行けばいいという時代でもないと思う。学歴よりも大事なことだってある。今度は私服で会いに来い。」そう言ってくださいました。この春長男は知人の会社に就職し、4月の初任給で私と次男に夕食をご馳走してくれたんですが、長男の顔は晴れ晴れとしていて嬉しく思いました。
いきなり私の体験談になってしまいましたが、葛藤が無かったわけではありません。本人も苦しんだし、私もそうですし、それを見ていた次男もそうでした。後に次男がいろんな思いでつぶされそうになり学校に行けなくなったとき、長男は「こいつを迷惑やとちょっと思ったりしたけど自分もお母さんやこいつにこんな思いをさせててんな・・・」としみじみ話していたのを覚えています。そして、こんな息子達を見ていて、厳しい社会が待っていることは想像に難くないけれど何とかやっていくだろうし、私にできることはそんなに無いのだな、とも思っているんです。
さて、息子さんですが、うちの子たちもそうだったのでよくわかるのですが、卒業したほうが得、とかいろいろ考えはするのですが、それ以上に「学校」という枠や義務教育とは違う言ってみれば競争社会の部分を見るわけですから、そういったものに対する嫌悪もあるでしょうし、そうなるとますますそっぽを向く、親としてはそれは困ると思いながらどうにもできないジレンマに陥りますよね。では、どうして親が困るのでしょうか。
周りの目がある、高校くらいは出ておかないと、とか、他の人たちと同じようにしておいたほうが、とか思いはあることと思います。そう、子供の将来が気にならない親は多くはありませんし、それは私もよくわかります。でも、彼の人生を生きるのは彼にしかできないんですね。代わってあげたくても代わってはあげられないし、こうしたほうがいい、と思ってもしたくないのなら苦痛です。
提案はいくつかあるのですが、息子さんに時間をあげてはいかがでしょうか。学校からはそろそろ単位が危ない、などの連絡が来るかもしれませんが、息子さんご自身が辞めたくないという意思が強ければ、何とかするだろうし、どうでもよければそれなりです。そしてどんな方向を選ぼうとも、責任を代わって取ってやることもできないのですから、見守って応援してやるしかないときがあるんです。これは部活の応援をしているときでもそうだし、受験に向かっているときでも同じですね。最近は私たちのあの年代よりもさらに「枠」がどうも細かいところまで決まっていたりするように・・・子ども自身が感じるのか、社会が本当にそうなのかは私にはよくはわかりませんが、いずれにしろ子供達にはさらに生きにくくなっているような気がするのです。
そして、「非行」ですが、例えばたばこ。友人のお宅ですが、吸ってもいいが外では吸うな、と子供に言ってあるお家があります。見たほうが不愉快になり、止める方も止められる方も嫌だろう。だから家の中で自分の責任で吸え、と。禁止するより効果的だったようで、タバコそのものを吸いたいわけではなかったようで、そこの子供さんは吸わなくなりました。反対されると逆の行動をとってしまう、という心理は例えば校則の厳しい学校のほうが案外乱れるのはそういったところがあるのではないかと思います。我が家は息子達がいろんなことを投げてくるたびに私が柳に風、といった風でいるので「あかんわ、おかあさん。」と子供達はむしろ苦笑いして、それで終わり、ということもありますね。
さて、親の権威、ということですが、権威というのはどんなものなのでしょうね。少し考えてみてはどうでしょうか。親が正しいと思っていることと、子供の方向性が違っていたときに親の考えを通すようなことを権威と捉える向きもありますが、子供の主張を認めてやり何かの時には親が出る、というのも一つの権威ではないか、とも思います。ご主人はこのスタンスを取られているように思うのですがいかがでしょうか。
生き方も正しさも、人の数と同じ、いやそれ以上にあると思います。これは状況により変わらざるを得ないこともあるし、自主的な方向転換だってあるからです。
まだまだ未成熟な年ではあるのですが、成長に向かっている証拠でもあります。親から見れば自分達も通ってきた道でもあるので言ってあげたいことも沢山あるのですが、ここはちょっと踏ん張り時かも知れません。ああ言えばこう言う、をまだきっとすることでしょうが、個々の表現の違いもあります。親として、自分は違ったことは非常にわかりにくくもあり不安ですが、ここは信頼を送ってあげてはいかがでしょうか。
難しいことを申し上げているかと思うのですが、彼の人生を見守ることも大切だと思います。そそて、タバコを吸おうが学校を嫌おうが、自分にとって大切な子供である、ということをかんじていただける機会にしていただければと思っています。
どうか、ご自分ひとりで抱え込むのはやめてくださいね。お電話でお話しできる機会があればと思います。こちらでは初回無料のカウンセリングもご用意させていただいていますので、まずはお電話でのお話をお奨めいたします。私でよろしければお力になりたいと思います。
この記事を書いたカウンセラー

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