“自分”のない自分

相談者名
ユウキ
私は大学一年なのですが、バイトもせず、何もしないで家にいる事が多く、寝る時間、食べる時間も不規則。
ただ“生きているだけ”の状態が続いています。
学校は欠かさず行っているのですが何のために大学に入ったのか分かりません。
心も冷めてしまい、好きとか嫌いの感情も感じないです。

話は反れてしまいますが、私は物心つく以前から「何か変だ」と自分に感じて生きてきました。
実際言っている事もやっている事も変だし、気味悪がられてもおかしくなかったと思います。
同級生に「いつも人についていっている」とか「分からない人」と言われていました。
私自身、「好きなものは?」と聞かれても何も答えられずに、言う事が出来ません。
友達と呼べる友達もいないし、人を好きになった事も無いです。
そんな中でもよく「遊ぼう」と声をかけていた友達もいたのですが、高3の夏に突然亡くなってしまいました。
夜中に別の友達から聞いた時は物凄く動揺しました。
葬儀の時に悲しくなって泣いたのですが、友達が死んだ事でなくそれほど悲しんでない自分に泣いてしまいました。
悲しくない自分と演技見たいに泣いている自分が、嫌でした。
高校を卒業して、一人暮らしの準備のため、父と家を探しに行った帰りに鬱っぽくなり、帰ってから食欲もなく寝つきも悪くなって、何か憑かれているのでと思うほど憂鬱でした。
今はそんな事は無い(むしろ逆)ですが、たまに涙が流れたり、吐く物も無いのに吐く真似をしてしまいます。
カウンセリングの無料電話を利用しようと何度も思うのですが、なかなか出来ずに1年経ってしまいました。
例え電話をしても、自分の気持ちや状態を説明する事ができず、「辛い」とかも分からない。
ただ伝えればいいと言われても反発し、その場しのぎの嘘や上辺だけの事を言ってしまうと思います。
悩んでないのかとも思ってしまいます。
文章が変で自分自身何を書いているのか分からないですが、どうしたらいいのでしょうか。

カウンセラー
大谷常緑
ユウキさんこんにちは。
はじめまして。ご相談を担当させて頂く大谷です。
よろしくお願いします。

さて、ユウキさん、”カウンセリングの無料電話を利用しようと何度も思うので
すが、なかなか出来ずに1年経ってしまいました。”との事ですが、今回、無料
相談にご相談をお送り頂いたこと、とても嬉しく思います。ユウキさんが、今の
状況を何とかしたいと思われていることがとても大切なのです。先ずは、今、ユ
ウキさんが嫌だと思っている状況を変える大きな第一歩は、そう思うこと、そし
て、変えるぞと決意することです。その後に続く具体的な手段は色々あります。
この無料相談もユウキさんが踏み出された次の大きな一歩だと思います。

ご相談の中で一番大きな、そして根本的な問題となっているのは、”私は物心つ
く以前から「何か変だ」と自分に感じて生きてきました。”という部分です。”物
心つく前”という事ですので、かなり小さな頃からでしょうか?いつ頃かを大体
予測するためには、ユウキさんの記憶がいくつぐらいから始まっているか、覚え
ているかを考えてみてください。これは、人によって様々で、3歳ぐらいの人も
いれば、小学校入学の頃からという人もいます。多くの場合、記憶があるより以
前に何かそう感じさせる出来事があっています。ご相談の内容からは、ご家族の
構成や関係がわかりませんが、多くの場合、ご家族との関係性の中で、”自分が
変”と思う出来事(本当は変ではないのですが)、が起こっています。例えば、
誰かから愛されていないと思ったとか、いつも口うるさく怒られていたとか、ご
家族の誰かの行動がわからなかったとか・・・。様々な状況で、”自分は変”と自
分を責めるようになります。もし、思い出せるならば、そして苦しくないならば、
思い出してみてください。何か原因となるヒントが浮かび上がってくるかもしれ
ません。

ユウキさんの心の中には、この根本的な問題から派生して、様々な問題が散りば
められているようです。
一つは、感情を感じないようにしている点です。感情を感じる事が、どうやらと
ても辛い事だったようです。どこかで、感じないようにブロックしてしまわれて
いるようですね。
これは、たとえば、「楽しんではいけない」と楽しむ事を封印してしまおうと何
かのきっかけで思われたかもしれません。あるいは、ご自分を責める気持ちが強
くて、感情を感じる事がしんどくなったからかも知れません。
次に、”同級生に「いつも人についていっている」”と言われたり、”私自身、
「好きなものは?」と聞かれても何も答えられずに、言う事が出来ません。”
という部分ですが、ユウキさんは、ご自分で何か決めたら、あるいは好きなもの
を決めてしまったら、果たしてどうなると、どんな事が起こると思われているの
でしょうか?
その、どうなる、と思っている事が、ユウキさんの怖れです。冷静に、どうなる
と思っているのか、少し考えてみてください。たぶん、現実には起こりえないよ
うな事に対する怖れがその原因になっている気がします。
次に、”高校を卒業して、一人暮らしの準備のため、父と家を探しに行った帰り
に鬱っぽくなり、帰ってから食欲もなく寝つきも悪くなって、何か憑かれている
のでと思うほど憂鬱でした。”という部分ですが、ご家族に対する、あるいはお
父さんに対する感情でご自分を責めている感情はなかったでしょうか?例えば、
「迷惑をかけてしまう」という感情や「自分が家を出て行くと何か問題がある」
などという感情です。もし、何か感情があるとすれば、どんな感情だったでしょ
うか?そして、もしその感情がわかったら、どうしてそう思うのか?という事を
感じてみてください。感じる事で、どこかで自分を自分がどう扱っているのか、
あるいは家族に対してどんなイメージを持っているのかということがわかるかも
知れません。
最後に、”今はそんな事は無い(むしろ逆)ですが、たまに涙が流れたり、吐く物
も無いのに吐く真似をしてしまいます。”ということですが、なぜ涙が流れるん
でしょうか?その時の自分の心の内側に耳を向けて、どうしてこう感じるのか、
を感じてみてください。そこには、きっと、ユウキさんの本当にどうなりたいか、
どうしたいかという気持ちが感じられると思います。

しかし、一方で本当にユウキさんがどうしたいか、どうなりたいかの一面がよく
現れているのが、そしてその下側にあるユウキさんの本当の気持ち、優しい気持
ちが現れているのが、友人が亡くなった時に感じられた感情です。”葬儀の時に
悲しくなって泣いたのですが、友達が死んだ事でなくそれほど悲しんでない自分
に泣いてしまいました。悲しくない自分と演技見たいに泣いている自分が、嫌で
した。”という部分です。
ユウキさん、本当はどれだけお友達の死を悲しんであげたかったか、それがある
から、そう出来なかった自分が嫌だったのですよね。
ユウキさんが信頼をおいて欲しいのは、人の死を悲しみたいような、優しさを持
った自分がいる事です。この、本当に感じたい、信じたい、優しくしたいという
思いがある限り、ユウキさんは、そうなっていけます。

いただいた御相談だけでは、的確なお答えになっていないと思います。
是非、今の状況を変えたい、自分を変えていきたいという思いを大切にされて、
少し勇気を持って電話でカウンセリングを受けて頂ければと思います。ユウキさ
んの状況は変えられます。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。