家族の在り方

 

相談者名
こんにちは。30歳女です。
結婚し不妊治療をやっている中で家族について考えはじめました。
以前から目を逸らしてきた問題のような気がしています。私は今まで家族に相談というものをしたことがありません。
事後報告であまり会話をした記憶がありません。
友達にも相談の仕方がわからず相談されたこともありません。
人に頼るのが下手です。
妹弟とは6歳8歳離れており、妹が大きくなりやっと対等にしゃべれるし一緒に買物も行けると思った時はとても嬉しかったのですが、今は妹にも気を遣ってしまう自分がいます。

昔から「友達みたいなお母さん」に憧れていたので子供ができたら一緒に買い物とか行きたいと思っていました。
しかし、いざ大人になってみると私は人見知りでおとなしい性格でやはり母と同じようになるのかなぁと思います。母も接し方がわからなかったんだとは思いますが。
友達とも中学の頃から仲良くなると話すことがなくなってだんだん疎遠になってしまうパターンだったので昔からの友達はいません。

昔から夕食は家族みんなで食べてましたが、静かだったような気がします。
父と母がちょこちょこ話してる感じ。
テレビなしで何時間も話してられる家族や、毎回話すことがありすぎて時間が足りない友人関係に本当に憧れています。

結婚式の際、よく両親への手紙とか書きますがものすごく嫌な感情を感じて一切やりませんでした。主人も感情の表現が苦手な人です。
両親に不満はありません。
ですが、それほど感謝もしていない自分がとても嫌です。
親がどんな人なのかもあまり知らないですね。
小さい頃は母も仕事をしていたので寂しかったかなぁと思います。
話すことがないので実家へ帰っても居心地悪いです^^;
もっと妹とも遊びたいのですが…

もう親になる歳になってしまったんだと気づき色々考えています。
こんな私でも賑やかな明るい家庭が築けるでしょうか?

カウンセラー
三枝みき
Kさん、こんにちは、初めまして。
今回、Kさんのご相談を担当させていただきます、三枝みきと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。Kさんは人に頼るのが苦手だったり、また、とても人に気を遣ってしまわれる方なのですね。
文面からはあまりそんなご自分がお好きでないように感じられますが、私は、Kさんはもともと頑張り屋さんで、思いやりのある温かい女性なのだろうなと感じます。
ですからきっと、会話や笑いの絶えない食卓のある、賑やかで明るい家庭も、何時間でも飽きずに話し続けていられるような友人関係も築くことが出来ると思います。
どうぞ安心して下さいね。

ただ、今はKさんご自身と人との心の距離がちょっと遠いように感じられます。
自分と他人(「家族以外」ではなく、ご自身と「別個体」という意味です)との距離って、遠すぎても近すぎても案外うまく行かないものなんですね。

そしてその距離感の原因は、Kさんご自身も書いて下さっているように、ご実家の家族関係にあるようです。
Kさんが今後、ご自身の望むご賑やかで明るい家庭を築いていけますよう、これからご一緒に考えていきましょうね。

まず、ご家族に「一度も相談をしたことがない」「すべて事後報告」ということについて。

>小さい頃は母も仕事をしていたので寂しかったかなぁと思います。

ここからわかることは、Kさんは小さい頃から忙しいお母さんにとても気を遣っておられた、ということです。
きっとKさんは小さいながらも、忙しいお母さんを困らせたくない、苦しめたくないという風に考えて、必死に寂しさを我慢していたんでしょうね。

「お母さんは忙しいんだから、寂しくても寂しいって言っちゃダメ!困ったことがあっても言っちゃダメ!」「困ったことがあっても、お母さんを煩わせないで自分で解決しなくちゃ!」というようなルールを、ご自分の中に作ってしまったのだと思います。
「自分が相談をすることで相手を困らせてしまう、迷惑をかけてしまう」、という思い込みもこのころ出来たのではないでしょうか?

ですから、お母さんに限らず、誰かに相談することもなく一人で何とか片づけてしまう、というパターンになってしまうのでは、と思います。
つまり、相当小さい頃から「自立」なさっていたわけですね。
本来、思いっきり親に甘えて、愛されることを体感する「依存」の時期に、すでに自立されていたとなれば、甘え方なんてわからない、もしくは忘れてしまっていても仕方ないですよね。

また、人間は人との接し方や関わり方を小さい頃に、お母さんとの関係の中で学びます。
ですから、お母さんと距離が開いている場合、やはり他人との距離も開きがちになることが多いです。
Kさんは人見知りでおとなしい性格、と書いて下さっていますが、お母様もそうであったのなら、余計にそうなりやすかったのかもしれません。

友達とも親しくなってくると何を話していいのかわからないとありますが、本来、一番親密感を感じる関係性(母親との関係)自体が、距離感のある関係だったのですから、それも当然かもしれないですね。

そしてもうひとつ、私が気になっているのは、Kさんがご自分の「寂しい」という感情を抑圧してしまっていることです。

ちいさい子どもがお母さんに構ってもらえなくてさびしいのは当たり前です。
でも、Kさんはお母さんを困らせたくないがために必死で「寂しさ」を押し殺して、我慢に我慢を重ねてきた。
もう覚えていないかもしれませんが、きっとそうだったのだろうと思います。

ですが、「寂しさ」を我慢するために感情を抑圧すると、今度は「嬉しさ」「楽しさ」なども一緒に抑え込まれてしまいます。
感情自体がリアルに感じられなくなるんですね。
ですので、毎日どこかつまらなかったり、何をしていても空しさを感じているとか、生きている実感を感じることが出来なくなったり。

賑やかで明るい家庭を作るには、「嬉しい」「楽しい」などの感情を生き生きと感じられることも、必要ですよね。
ですからぜひ、Kさんには抑圧してしまったご自身の感情を取り戻して欲しいんです。

そのための「鍵」になるのが、Kさんが持つ「怒り」の感情です。

心理学では「怒りは感情の蓋」とか、「怒りは第二感情」などと言われます。
私たちは感じたくない感情を抑圧するために、よく「怒り」という感情を使うんですね。
怒りを感じ尽くせば、その下には「寂しさ」や「悲しさ」などの感情が隠れていたりするものです。

Kさんは、結婚式でのご両親への手紙に「すごく嫌な感情」を感じて、一切やらなかったとのことですが、それはどんな感情だったのでしょうか?
もしかしたら、それはとても大きな「怒り」だったのではないでしょうか?

ご両親への「怒り」を自覚してしまったら、今度はその下にある本当の感じたくない辛い「感情」を感じてしまうかもしれない、――Kさんの心の中に、そんな怖れがあったのかもしれ
ません。

また、「怒り」は時として「攻撃性」を伴う感情です。
ご両親への「怒り」のなかにある「攻撃性」を、ご両親に向けたくなくて、Kさんは「怒り」を感じたくないのかもしれない。
だってKさんは本当に幼いころから、お母さんを守りたくて、ご自分の寂しさを必死で我慢してきたくらい、お母さんやお父さんを守りたかったんです。
とても愛情深い、優しいお嬢さんなんですものね。

どちらが正解なのかは、このご相談だけでははっきりわかりませんけれど、もしかしたら両方が正解なのかもしれませんね。

ちいさい子どもには大人の事情や理屈は分かりません。
お母さんに構ってもらえなかったら寂しいし、怒りだって感じます。
それはごく自然な、当然の感情です。

Kさんは小さい頃にそれを我慢して抑え込んで来られたかもしれませんが、抑圧した感情というのは無くなるわけではありません。
それはKさんの心の中の、ご自分では意識できず、コントロールもできない領域にちゃんと残っています。
ですからぜひ、Kさんには安全な方法でその感情を解放して欲しいのです。

感情はミルフィーユのように、いくつも重なった層構造になっています。
怒りも感じ尽せば無くなりますし、次の層の感情を扱えるようになって、どんどん本来の豊かな感情を取り戻していけます。

感情を感じていくことについては、面談ウンセリングで行うセラピーなどが有効です。
また、今回か聞ききれなかったこともたくさんありますので、よろしければ、まずは初回無料の電話カウンセリングをご利用くださいね。

以上、少しでもお役にたてれば幸いです。
Kさんが少しでも楽になり、ご自身の望む明るく幸せな家庭を手に入れられますよう、心よりお祈りしておりますね。

ご相談、ありがとうございました。

三枝 みき

この記事を書いたカウンセラー

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