心から笑顔になりたい

 

相談者名
マリア
私31歳、夫33歳、子10ヶ月。結婚5年目です。
里帰り出産中から夫が浮気をしています。相手Aは会社の元後輩。遠距離。
昨年末から会社後輩Bとも交際中。
育児でイライラし夫に多くを求めすぎた事、夫の変化に見てみぬ振りだった事が原因の一つだと思います。
とても優しく良い夫だっただけにショックで知らなければよかったと思いました。
夫は「安らげるはずの家が一番安らげない。」と言い、私のイライラする態度を極端に嫌っていました。(夫の母と姉がヒステリックだった)
発覚後、私は我に返り夫にしてきた事を反省して夫を追い詰めるのも程々に今は普段通り過ごそうとしています。
夫は多少の罪悪感はあるものの、男は皆浮気すると言います。そして人を信じる、裏切るという感覚がわからないと言います。少しでも全うな人間になれる気がしたから私と一緒になったそうですが、相手Bはダメ男全開でも受け入れてくれそうで楽だと言います。
相手と別れてほしいと伝えたのですが思っていたより相手Bを好きだから無理と言われました。私の事は「一番大切」と言いますが好きかと聞くと「嫌いじゃない」と言います。複雑です。私が耐えられないなら別れてもいいと私に決断させようとします。
納得いく話し合いが十分でないので私も決断しかねていますが早く楽になりたいです。一度「離婚を考えようと思う」と伝えたら急に饒舌になったり謝ったり(相手と別れるとは言わない)して、まさに子どもです。
毎日怒り、悲しみ、苦しみ、時々前向きな気持ち…と疲れてしまいました。
夫を疑い続ける心が苦しいです。何より男の見る目が無く「浮気された女」のレッテルを貼られた自分自身が許せず情けない。悔しいです。
浮気は初めてではないので自分と子どもの幸せの為に離婚の選択肢もあったほうが良いと思いますが本心は夫と心から笑顔で過ごしたいです。表面上二人とも普通に過ごしていますが夫も複雑なはずです。夫の浮気は許せませんが夫の弱さの力になれたらと思いますしそんな夫をとても愛しています。
相手と別れるのを待つしかないのか、これからどの様に心を保てばよいか、どの様に夫と修復すれば良いのか教えていただきたいです。
長くなりましたがよろしくお願いいたします。
カウンセラー
三島桃子
マリアさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよ
ろしくお願いいたします。里帰り出産中からご主人が浮気されていて、しかも昨年末からは浮気相手がもう一人
増えたとのこと、マリアさんにとって本当にショックなことだと思います。10か月の
赤ちゃんの育児も大変でしょうし、日々を送るというだけでも、よくがんばっておら
れるなあと思います。

今はとてもつらいと思いますが、人生に起こる問題に向き合っていくことは苦しい反
面、自分の人生をより良いものにするためのチャンスにもなります。マリアさんが心
から笑顔になるためにできることを一緒に考えたいと思いますので、よろしくお願い
いたします。

ご主人の浮気はマリアさんが出産のために里帰りした時期にすでに始まっていたので
すね。

一般的に男性は子どもが生まれると「子どもに奥さんを取られた」というような感覚
を持ち、奥さんが子どもにかかりきりだとそれだけでとても寂しく思ったりする、と
いうようなことは、マリアさんもおききになったことがあるかも知れません。ご主人
はそういう感覚を、里帰り出産の時にすでに感じていたのかも知れませんね。

子どもに奥さんを取られて寂しい、という感覚は多くの男性が感じるわけですが、そ
れだけですぐに浮気に結びつくわけではありません。浮気や、何かしら困った問題に
なっていく場合は、感じる寂しさががまんできないほど強い場合です。(浮気以外に
も、いじけてしまったり、飲酒がひどくなる、ギャンブルに走る、暴言や暴力が起こ
る、などという場合もあります。)

もう寂しくて寂しくて、心が耐えられない、そんな時に、浮気などが起こってしまう
んですね。一般的な常識感覚で言えば、だから浮気していいということにはなりませ
んが、寂しさを何かでまぎらわせないと気持ちが壊れてしまいそうになる、というよ
うなせっぱつまった状態が本人にはあるということです。

でも、どうしてそんなに追いつめられるほどの寂しさを感じてしまうのでしょうか。

マリアさんのご主人の心の中には、小さい子どもがいるのかも知れません。インナー
チャイルドです。インナーチャイルドとは、「傷ついた子どもの心」です。幼いころ
に何かの事情で十分甘えることができなかった場合、「自分は愛されるような人間で
はないんだ」というような誤解をして傷ついてしまい、同時に「でも自分だって甘え
たいんだ」というニーズも抱えることになります。

「愛されない人間なんだから誰にも甘えちゃダメ、でも甘えたい」という、矛盾した
気持ちを持つようになってしまうので、例えば奥さんに素直に甘えられず、そうする
とよけいに「甘えたい」というニーズが強くなってしまいます。

少しイメージしてみていただきたいのですが、ご主人の中に幼い男の子がいるとし
て、その子が、マリアさんに甘えたくて仕方ないのに甘えられずがまんしているとし
ましょう。お母さんに甘えるのをがまんしているような感じです。

いっぱいいっぱいがまんしているところに、ある日、マリアさんに赤ちゃんが生まれ
ることになります。そして出産のために、マリアさんはこの男の子(ご主人)を一人
残して実家に帰ってしまいます。この男の子はどんなふうに感じるでしょう?せいぜ
い3~4歳ぐらいの男の子だとしたら、とても心細くて、悲しくて、優しくしてくれ
る人なら誰にでもついて行ってしまってもおかしくはないですよね。心理的には、こ
んなことが起こっていた可能性があります。

>育児でイライラし夫に多くを求めすぎた事、夫の変化に見てみぬ振りだった事が原
因の一つだと思います。

そうですね、こういうことも同じように、ご主人の中のインナーチャイルドが大きな
寂しさを感じる要因になったのかもしれません。かといって、マリアさんが悪いわけ
ではないんです。育児でイライラしたり、それで夫に八つ当たりするようなことは、
誰にだってあります。ご自分を責めないでくださいね。

さて、では、今後どうしていったらいいでしょうか。

夫婦の間に起こる問題には、夫と妻両方の課題が隠されている、と心理学では考えま
す。ご主人の課題が「甘えたいインナーチャイルド」だとしたら、マリアさんの課題
は何でしょうか。

それはマリアさんが「がんばり屋でしっかりしている」というところかもしれませ
ん。エッ?って感じですよね。普通に考えたら、これはむしろ正しいことで、美点で
す。でも、「がんばり過ぎ」な面が実はあるとしたらどうでしょうか。

先ほど引用したのと同じところですが

>育児でイライラし夫に多くを求めすぎた事、夫の変化に見てみぬ振りだった事が原
因の一つだと思います。

とマリアさんは書いてくださっています。

人に多くを求める人は、実は自分にも多くを求めてしまいます。これぐらいやらなく
ては、ちゃんとしなくては、こうするべきでしょう。心の中で、自分に絶えずダメ出
しをしている感じですね。

そばにいる人の気持ちの変化に対して見ぬ振りをするとしたら、実は自分の気持ちも
見て見ぬ振りをしているものです。ちょっとつらいな、と感じてもがまんしてしま
う。自分の中の弱さを認めないと言ってもいいでしょう。

もしこういうところがマリアさんにあるとすれば、マリアさんは人にも自分にもとて
も厳しい面があるということになります。ここを緩めていくことが必要なのかもしれ
ません。

自転車でも車でも、ブレーキに「遊び」がないと、危険ですよね。「遊び」のまった
くないブレーキを扱うのは、ものすごく神経を使って疲れてしまいそうです。それと
同じで、人間にはそこそこ緩みがあった方が自分も周りもラクなんですね。

マリアさんが自分に対する厳しさを緩め、「ミスもあるけどいいよ、いたらないとこ
ろもあるけどいいよ、弱くてもいいよ」といろんな場面で自分を許してあげられるよ
うになると、不思議なものですが、同時にご主人の弱さなども受け入れてあげること
ができるようになります。

人は、自分を許した分だけ人も許すことができるものなんですね。
自分への厳しさを緩めていくことが、結果的に、マリアさんがおっしゃっている

>夫の弱さの力になれたらと思います

ということを可能にしていくことになります。

>何より男の見る目が無く「浮気された女」のレッテルを貼られた自分自身が許せず
情けない。悔しいです。

とマリアさんは書いておられますが、このあたりからもマリアさんの自分に対する厳
しさを感じます。ご自分をこのように責めてしまうと、結局は、「誰のせいで私がこ
んな気持ちになったのよ!」とご主人も責めたくなり、悪循環になってしまいますの
で、できれば自分を許してあげてくださいね。

それに、男の見る目がないのではないと思いますよ。むしろ、ご主人の中の、何か良
いものを見ていたからこそご結婚されたのだと思います。ご主人には欠点もあるかも
しれませんが、人間いいところも必ずあるはずです。マリアさんはそこを見ることが
できたのだと思います。マリアさんの人としての温もりを私は感じます。そもそもご
自分の汚点にすることではないと思います。メール全体の文章からも、マリアさんか
らは「温もり」を感じますよ!

>相手と別れるのを待つしかないのか、これからどの様に心を保てばよいか、どの様
に夫と修復すれば良いのか教えていただきたいです。

書いてくださったご主人の様子からすると、おそらくご主人にとって一番大切なのは
マリアさんだと思いますよ。でも、だからこそ、ご主人はマリアさんとちゃんと向か
い合うことが怖いのだと思います。もし「マリアだけ」という態度を取り、マリアさ
んに拒否されたらあまりにもつらすぎるので、浮気相手も確保しているわけです。

ですから、ご主人が浮気をやめるためには、ご主人が「マリアだけ」と安心して言え
る状況が必要になるでしょう。そのためには、マリアさんが、まず自分への厳しさを
緩め、自分を許すことに取り組むといいと思います。自分が許せるようになると、ご
主人のことも許せるようになりますから、ご主人としては安心感が増えていくはずで
す。

自分も、ご主人も責めない、ということが大切です。でも、責めてしまった時は、そ
れはそれで責めてしまった自分を許してあげてください。「責めてしまう私はダメ
だ」と思ってしまうと、これもまた自分を責めることですから、気持ちはどうしても
重くなり、「責める心の悪循環のワナ」にはまってしまいます。

離婚という選択肢も、あってもいいと思います。この、「自分を責めない」というや
り方は、たとえ離婚という道を選んだとしても、マリアさんの人生にとって役に立つ
はずですので、よかったらぜひ取り組んでみてください。

当面は、「自分への厳しさを緩める」ということをやりながら、まずは1カ月ほど様
子を見てみてはいかかでしょうか。同時に、もしできるようでしたら、「この人の中
には寂しい気持ちでいっぱいになっている幼い男の子が隠れているらしい」という視
点で、ご主人を観察してみてください。

こういうことをやっていただくと、今までとは違う感覚を味わったり、ふと何かに気
付いたりすると思います。

具体的な取り組み方などわからないことがありましたら、電話や面談のカウンセリン
グをご利用いただければと思います。

マリアさんのことを応援しています。ご相談ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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