怒りの感情への向き合い方

相談者名
ななし
妹が精神疾患を抱えて現在入院しています。保護室から始まり、今は開放病棟へ移っています。
入院するきっかけとなった出来事(人が変わったようになって暴れる)のショックが大きくて、いまだに妹と対面すると身構えてしまう自分がいます。
面会や外泊のとき、妹が感情を高ぶらせるということが何度もあり、そういうときの目付きや態度から、また暴れるんじゃないかと思うと正直怖くて、しっかりしなきゃと思いながらも足が震えてどうしようもないです。とにかく落ち着かせなきゃと必死で平静を装うのが精一杯です。
妹は怒りの感情をコントロールできないみたいです。
家族の中では私に任せておけば大丈夫みたいな空気があり、妹が退院したらほとんど一緒に過ごすことになりそうです。
その場合、自分が保てるか自信がありません。
どうすれば怒りの感情を逸らすことができるでしょうか?どうすれば落ち着かせることができるのか・・・
時間が過ぎることや、焦ることなどに対して怒りがわいているようで、いくら大丈夫だとか、時間が過ぎていくのは止められないんだよなど、いろんな言葉をかけても響いていません。
どうするのがいちばんいいのでしょうか。なにかいい方法はありますか?
アドバイスよろしくお願いします。
カウンセラー
松尾たか
ななしさん、はじめまして。 ご相談ありがとうございます。
今回担当させていただく松尾たかと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

妹さんが精神疾患で入院をなさっているのですね。人が変わったようになってしまった妹さんを見た時、
ななしさんは信じられない気持ちだったのではないでしょうか。
今でも妹さんに会うときに身構えてしまうということは、相当ショックを受けられたのがわかります。
きっとお2人は穏やかで優しい仲良し姉妹でだったのでしょう。そして今は、妹さんとどう関わっていってよいかわからず、
途方にくれていらっしゃるのが伝わってきます。

私は医者ではありませんので、精神疾患のことについてはお話しすることは出来ませんが、
ななしさんも妹さんも直面している怒りについて、ななしさんの心が少しでもラクになるよう心理学の側面から
お話させていただきますね。

まず、怒っている人についてです。
本当は誰も怒りたくないはずですよね。怒っていて気分のいいことはありません。だけど、何か心にモヤモヤしたものを
感じているからこそ、ちょっとしたことで爆発してしまったりすることがあるわけです。
怒りは感情のふた、と言われ、私たちは怒ることで、その下にある本当の気持ちを感じないようにしたり、気づかないように
しています。 たとえば、誰かに自分の気持ちをわかってもらいたいのに、どうやっても伝わらないとしたら、
寂しさや悲しさを感じると思いませんか。
でも、その気持ちを感じてしまうと辛すぎる場合、その気持ちを素直に言えないような時、私たちは怒りとして表現してしまうことが
あります。 もちろん、怒りの下にある気持ちを本人は気づいていませんが、その下には「わかってほしい」「愛してほしい」
「助けてほしい」というメッセージがこめられているんですね。

>妹が感情を高ぶらせるということが何度もあり、そういうときの目付きや態度から、また暴れるんじゃないかと
>思うと正直怖くて、しっかりしなきゃと思いながらも足が震えてどうしようもないです。
>とにかく落ち着かせなきゃと必死で平静を装うのが精一杯です。

ななしさんのなかには、以前の妹さんのイメージがしっかり残っているわけですから、人が変わったようになって
暴れてしまう妹さんを見ると、足が震えるほど怖いと思ってしまうのも無理がないことだと思いますし、怖いと思ってもいいんです。

だけど、ななしさんは、妹さんに対して怖いと思ってしまう自分、妹さんをどう扱ってあげればいいのかわからない自分を
少し責めているようにも感じます。 妹を助けてあげられない私 → 私は無力、という気持ちも感じているかもしれません。
そうすると、そんな自分の気持ちから逃れようとするために、とにかく妹さんを落ち着かせよう、怒らさないようにしよう、と
頑張ってしまうのでしょう。

ななしさんの周りに、いつも怒っているような人はいましたか? その人の機嫌をとっていないと大変なことになってしまうような
思いをことはありましたか。

もし、ななしさんが怒りという感情に嫌な思いをしたことがあったなら、怒る=良くないこと、として自分に怒りの感情を持つことを
禁止してきたのかもしれません。 あるいは、怒る人はみっともない、怒ると人から嫌われる、と思いこんでしまっていて、
怒らないようにしなきゃ、とずっと怒りを抑えてきたのかもしれません。

そうすると、自分が禁止している感情を表現する人を見ると、嫌な気持ちにもなりますし、怒りの感情を自分が持ちそうになるのも
怖いことだと感じます。 本当は、感情に良い・悪いもないのですが、いつのまにか自分自身がこの感情は悪い・ダメなのもと
決め付けてしまったのでしょう。

誰だってありのままの自分を受け入れてほしいものです。 周りからなだめられたり、腫れ物にさわるように扱われたり、
ちょっとした自分の言動に周りがピリピリと神経を張り詰めて気を使われすぎたりすると、きっと気分がいいとか嬉しいというよりも、
イライラしたり、「家族の迷惑になるこんな自分でごめんなさい。」と自分を責めてしまったりするのではないでしょうか。
ななしさんなら、どんな気持ちがすると思いますか。

ななしさんが、「怒りの感情もあっていいんだ。もっていいんだ」と今より思えたとしたら、妹さんに対しても少しゆったりと
構えることが出来ると思います。 そうすると、きっとななしさんの緊張もほぐれて、気持ちもラクになるはずです。
感情は共鳴するともいいます。 ななしさんが、今の妹さんをそのまま受け入れてあげようと意欲をもってみるだけで、
もしかすると、妹さんは受け入れてもらえたし安心感を感じられるのかもしれません。それに挑戦してみてほしいと思います。
怖い気持ちがあってもいいんです。 ただ、どんなあなたも受け入れたいと思ってる、そんな気持ちを心の中に持ち続けてみてくださいね。

そして、ななしさんが、疲れてしまったり落ち込んでしまったりした時は、カウンセリングを利用したり、お友達に話を聞いてもらったりと
人に頼ってくださいね。

ななしさんと妹さんが、また仲良く笑っている日がやってくることを願っています。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。