母について

相談者名
ミカ
母のことで相談です。私は現在39歳、5年前に結婚し、5ヶ月の娘がいます。大学進学以降、両親とは離れて暮らしています。
結婚するまで、私と母は仲良し母娘だったと思います。結婚を機に、母の言動がおかしくなってきました。直接的な原因は、母が私の夫を気に入らないということです。憎しみすら抱いているようです。理由は、母によると「娘(私)を大事にしていない、私たち(父母)のことも馬鹿にしている」ためです。確かに夫(33歳)は、私や父母に対し、失礼な態度を取ったりしていました。結婚直前のことですが、母の前で私を罵倒したり、結婚の挨拶に来るのに寝坊して何時間も遅刻したり、といったようなことがありました。母は、私の夫が自分が思っていたような人ではなかったため、とてもがっかりしたようでした。以降、私と話す度、夫への文句を延々と私に言い続けています。根本では私を思ってのことだと思うのですが、いい加減にしてほしいのです。結婚は私の責任であり、母にそう伝えてもどうしても分かってもらえません。夫は自分が嫌われていることを知っており、昔ほど失礼な言動はなくなりました。
産後母に手伝いに来てもらいましたが、滞在中段々被害妄想がひどくなり、4日目には「○○君(夫)が私(母)に腹を立てているようだから、家に帰る」と言い出し、加えて「次はいつ来ればいいのか」と聞くので、私が「もう来てくれなくていい」と極力穏やかに言ったところ、「一生来なくていいということ?親を捨てるのか!」といきなり激高し、夜家を飛び出し帰っていきました。産後すぐの一番きつい時期に、娘に対して何故こういうことをするのか悲しくてなりません。
他にもありますが、手のつけられない感じです。その後もメールで、支離滅裂な長文で「あんたはおかしい。育児ノイローゼじゃないか。」と言うので、私が「子供ではなく、あなた(母)のせいでノイローゼですよ」と言っても、「あなた(私)ならちゃんと(母親業が)できると信じている」とか、自分が原因で娘が苦しんでいることが、どうやっても理解できないようです。私は母の声を聞くのも嫌になり、今は極力連絡を取っていません。
母は、元の母に戻ることはないのでしょうか。先日、一度本音で話がしたいから帰省する、と言いましたが、用事があると断られました。娘に憎まれ孫にも会えず、母自身このままでいいと思っているのでしょうか。
カウンセラー
中山けんたろう
ミカさん、初めまして。
今回のご相談を担当させていただきます、カウンセラーの中山けんたろうです。
よろしくお願いいたします。

お母さんとの関係、なかなか難しいですね。
5年前に結婚されるまでは仲良し母娘だったとのことですから、ミカさんご自身が、この5年間でのお母さんとの関係の変化に驚き、戸惑われ、悲しい思いをされていることが、文面からひしひしと伝わってきました。
それに加えて、お子さんがまだ5ヶ月の赤ちゃんですから、子育てで本当に大変な思いをされていると思います。
子育てだけでも大変なストレスを感じられているときに、お母さんのことで胸を痛められているのは、さらに大きなストレスがかかっているのではないかと思います。

悩みをお一人で抱え込まずに、このような形でもご相談をしていただけたのは何よりのことと思います。
少し時間はかかるかもしれませんが、少しずつでもよい方向に向かうようなお手伝いをさせていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。

さて、ご相談内容に入らせていただきますね。

お母さんの言動に変化が現れたきっかけは、ミカさんの結婚からですね。
ミカさんが大学に進学されて以降、ご両親とは離れて暮らしていたとのことですが、物理的には離れて暮らされていても、お母さんにとってミカさんは「かわいい娘」であることには変わりはなかったと思います。
仲良し母娘だったわけですから、なおさらそのように思われていたのではないでしょうか。
文面からは分かりかねましたが、もしミカさんが一人娘であれば、なおさらその思いを強くされたとしても不思議ではありませんね。

そんな関係が長らく続き、ミカさんが結婚されることになった訳です。
お母さんとしては、「かわいい娘を見ず知らずの男性に取られてしまった」という風に感じられたのかもしれません。
お母さんにとってミカさんは、心理的に身近なとても話しやすい相談相手だったと思いますし、いわゆる、友達関係のような母娘だったのかもしれませんね。

ですので、娘であるミカさんへの旦那さんからの罵倒を、お母さんはご自分への罵倒と同じぐらいのこととして受け取められたのではないでしょうか。
「・・・私と話す度、夫への文句を延々と私に言い続けています。根本では私を思ってのことだと思う・・・」と書いていただいています。
確かにその通りで、お母さんはミカさんが旦那さんから罵倒されるなどして、辛い思いをされていないかどうかをものすごく心配されているようです。
さらに、お母さんにとっては罵倒が自分に向けられたもののようにも感じられ、さらに深刻に受け止められているようです。

また、ミカさんが結婚されたことで、お母さんは寂しさや孤独感を強く感じられるようになったのではないかと思われます。
今までミカさんと会ったりお話されたりすることで満たされていた心の中に、大きな穴がぽっかり空いてしまったような状態になったとしてもおかしくありませんね。
文面に書いていただきましたお母さんの次の言葉に、お母さんのお気持ちがよく現れていると思いました。

「一生来なくていいということ?親を捨てるのか!」
「あんたはおかしい。育児ノイローゼじゃないか。」

人間は、普段自分自身に対して(無意識的に)思っていることを、さも相手が思っているかのように感じてしまうことがよくあります。
そういう見方をしますと、お母さんは、「ミカ(とその一家)が私を見捨ててしまうんじゃないか」という不安を感じられているようですし、ノイローゼになったと言ってもよいぐらいの大きな心配を感じられているようです。
お母さんがその不安や心配の胸の内を心底打ち明けられるのは、もしかしたら、ミカさんお一人しかいらっしゃらないのかもしれませんね。
それぐらい大切なミカさんの結婚相手が、自分が思っていたような人ではなかったとあっては、とてもがっかりされたのもうなづけますね。

それから、ミカさんがお母さんに感じていらっしゃる距離感と、お母さんがミカさんに感じていらっしゃる距離感の違いも少し気になりました。
ミカさんは、「私の結婚は私の責任」とおっしゃっています。自立した大人のご意見だと思います。
一方、お母さんの方はと言えば、産後のお手伝いの際に被害妄想が強くなったくらいですから、「娘の結婚は私にも責任がある」と思っていらっしゃるように思われました。
いわば、子離れできていない状態といってよいと思います。

以上のような状態ですので、今後の方向性としては、次の2点が中心になってくると思います。
(1)お母さんの不安、心配を軽くしてあげる。
(2)お母さんを少しずつ「子離れ」できるようにしてあげる。

(1)については、例えば、旦那さんが失礼な言動をミカさんに対してすることが少なくなり、夫婦仲良く幸せに暮らしているということをお母さんに伝えるのはお母さんを安心させることにつながると思います。
もし、旦那さんの協力が得られるのであれば、結婚直前に見られたような失礼な態度について率直に謝っていただいたり、5年間の結婚生活の中で(見た目には)失礼な態度を改めてきていることなどを理解してもらうことでも、お母さんの気持ちを和らげることができると思います。

また、お母さんから見て今のミカさんはどのように見えるでしょうか。
ミカさんは子育てで大変なところに、お母さんのことでも苦しまれていますよね。
お母さんはミカさんの状態を冷静に見られない状態だと思いますので、しんどそうなミカさんを見て余計に心配を強くされているのではと思います。
もしかしたら、「娘を粗末に扱う夫と暮らしながら、子育てで大変な思いをしているミカをなんとかしてあげなきゃ」と思われているのではないでしょうか。

そうであれば、ミカさんご一家が幸せに暮らしている姿をお母さんに印象づけて、お母さんを安心させてあげるのがよいと思います。
例えば、メールや手紙で、ご一家が仲良くしている写真を送ってあげたり、お子さんの姿をビデオレターにして送るのもよいかもしれませんね。

(2)については、お母さんの関心を、ミカさんから他のものにそらしていったり、ミカさん以外に相談相手を持つことが必要なのではと思います。
例えば、少し話が逸れるのですが、お母さんとお父さんとの関係はいかがでしょうか。
娘さんが結婚して巣立っていかれた後、お父さんとのパートナーシップがしっかりしていて、お互いのコミュニケーションがとれていれば、ここまでミカさんにご自分の思いをぶつけてこられることもないのではないかと思われました。

例えば、ご両親にちょっとした旅行をプレゼントするとか、結婚記念日をお祝いしてあげるなどして、ご両親の夫婦の絆を再確認する機会を提供してあげるとよいかもしれません。
また、お母さんは、「なんとかしてミカさんの役に立ちたい」と思っていらっしゃるようですので、もう少しお子さんが成長されてからになると思いますが、お子さんをお母さんに数時間でも預けて面倒をみてもらい、その間に旦那さんとどこかに出かけるというのはどうでしょうか。

「お母さんが子どもの面倒を見てくれて本当に助かったわ」
「久しぶりに夫婦水入らずの時間をもててリフレッシュできたわ」

そんな感謝の言葉をお母さんにかけてあげてはどうでしょうか。
できれば旦那さんからも。

感情は共鳴すると言われています。
まして、ミカさん親子は仲良し母娘だった訳ですから、お母さんの不安やいらだちをミカさんも敏感に感じ取り、同じような感情を抱いてしまって、お母さんに対して否定的な見方をされてしまうようになったのかもしれませんね。

でも、これ以上、お母さんを憎んだり、嫌いになる必要はありませんよね。
お母さんご自身、このままでいいとは決して思っていらっしゃらないとは思いますが、ご自分でもどのようにミカさん(とご一家)に接してよいのかが分からなくなっていらっしゃるのだと思います。
お母さんのそのような状態を理解してあげて、ミカさんご一家がお母さんへの愛と感謝を表現し続ければ、お母さんはきっと元のお母さんに戻られると思います。

ご相談の文面からわかりかねたところについては、こちらの勘違いや思い込みもあったかと思います。
その点についてはご容赦いただければと思っております。

もし、何か追加でご質問されたいことなどがございましたら、ご遠慮なく電話カウンセリングをご利用いただければと思います。
初回のご相談は無料にて提供させていただいております。また、無料相談コーナー同様、匿名でのご相談も可能です。
今回のご相談がきっかけとなり、ミカさんご一家とお母さんとお父さんが、少しでもつながりを取り戻され、仲良く幸せになっていただければ幸いです。

本日は、ご相談をいただきまして、誠にありがとうございました。

 

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