話が回りくどくなってしまう心理 ~言いたいことを伝えられるようになるために~

言いたいことを伝えたいのに回りくどくなってしまってうまく言えない・・・。

そんな経験はありませんか?

人と話をしているときに、だんだん何が言いたいのか分からなくなって回りくどくなってしまうことってありますよね。
中には「いつもそうなってしまうんです」とカウンセリングの中で相談される方も少なくありません。

自分にそういうパターンがあると、なかなか人に自分の言いたいこと、伝えたいことが伝わらずにヤキモキしたり、相手に申し訳ないような感じになったりしてしまいますね。
しかも話がなかなか核心に触れられずに、その周囲をぐるぐると回ってしまう感じで自分でも段々フラストレーションを感じるようになっていきますし、話をすることが怖くなってしまうこともあるでしょう。

また、そういう人とお話をしていると、頭の中に「?」マークがたくさん出てきて「え?で、何なの?何が言いたいの?」という気持ちになってしまいますね。

言いたいことをきちんと伝えられるととても楽に人間関係を築いていけますし、シンプルに物事を捉えられる、本質を見つめられるようになっていくようです。

●どうしてそうなってしまうんだろう?

多くの場合、心とのつながりにそのパターンを見ていくことができます。
僕達のコミュニケーションは案外「心(感情)」が支配しているものです。
論理的な情報を伝える場合にしても、そのときの自分の気持ちで内容が変わったりしますよね。
例えば、疲れているときには億劫になってちょっと投げやりな感じになったりするかもしれませんし、逆に元気なときには声のトーンだって変わってきます。

自分の感情とのつながりが意識的にせよ、無意識的にせよ、切れてしまっているときには自分の言いたいことがうまく言葉にならなくなってしまうようです。

もう少し具体的に見ていきましょう。

○隠したいことがあると・・・

回りくどくなってしまうケースには「隠したいことがあるとき」がありますね。
例えば、奥さんに内緒で飲みに行ってしまったとします。
心の中には「悪いことしたなあ~」という罪悪感があるわけですけど、その感情は隠したいので何とかごまかそうとします(罪悪感は「自分は罰せられるべきだ」という気持ちを作りますから、責められたくないな、と思えば隠したくなるわけです)。

そうすると、家に帰ってきて「あら、遅かったわね?」とか奥さんに言われると「いや、ま、な、なんでもないよ、べ、別に。ちょっと同僚と話をしてたら遅くなってな、ごめんごめん」と言い訳してそそくさとその場を立ち去ろうとしてしまいます。

その様子に「何かあったの?顔が赤いわ。また、飲みに行ってきたんでしょ?(怒)」なんて言われると「いやいや、暑かったからな、ははは。いや、まあ、今ちょっと会社が大変なときで・・・云々・・・。同僚の○○が云々・・・。」とだんだん焦りから、あらぬ方向にだらだら話が進んでしまいます。

自分でも「俺、何しゃべってるんやろ?」なんて思ってテンションも下がるんですけど、なかなか自分ではとめられません。
そうすると奥さんの怒りは沸騰してきて「お酒飲みに行ったんだったら、はっきりそうおっしゃい!」と怒られてしまうわけです。
(注:これは別に根本家の出来事では決してありません(汗))

罪悪感を切らずに感じていれば、素直に「ごめんな~。また飲みに行っちゃった。てへっ☆」とか言えるんですけどね。
なかなかこれは言えないものです(「だったら、行く前に連絡してって何度も頼んだでしょ?」なんて言われそうだし)。

そんな風に隠したい感情があると、ごまかすことに神経を費やして、ついつい言い訳をしてしまい、相手の怒りを買ってしまうようになるわけです。

そうするとお互いにとっても疲れますから、相手とのコミュニケーションをとりたいとは思えなくなってしまうかもしれません。

○恐れや不安があると・・・

また、その一方では「恐れ」の感情が影響していることも少なくありません。
先ほどの例でも「奥さんに怒られるんじゃないか?」という恐れを感じて回りくどくなるといっても分かりやすいですね。

あるいは「分かってもらえないんじゃないか?言いたいことが伝わらないんじゃないか?うまく話せないんじゃないか?」という恐れや不安があると、過剰に相手のことを意識してしまいます。
これは「私のことなんか受け入れてもらえないよな」とか思っている場合にも当てはまります。

そんな時はまるで幽体離脱をするように相手に自分の意識を強く向けますから、結果的に自分の心は置き去りになってしまうんですね。
いわゆる「浮き足立った状態」になってしまうんです。
心を置き去りにしても、意識が向かないだけで感情を感じていないわけではないですから、気持ちを抑圧することになってしまうんですよね。
そうすると自分が言いたいこと、伝えたいこともどんどん自分でも分からなくなっていってしまいます。

例えば「今日こそはこれからの二人の話をしよう。結婚する気があるのか、無いのかはっきりしてもらわなきゃ」と気合を入れてデートに向かったものの、「でも、もし、『結婚?そんなの興味ねーよ』とか言われたらどうしよう・・・。それにせっかくのデートだし、いい雰囲気が壊れたらイヤだし」と強い不安や恐れがあったりするとなかなかその話題を切り出せません。

そうすると「あ、あのさー、・・・、いや、うん。何でも無い」となかなか切り出せなくて、やっぱり相手に「お前、何がいいたいんだ?」なんて突っ込まれてタジタジになってしまったり、「会社でね、こんなことがあってね、、、云々」としたくもない関係ない話ばっかりしてしまったりしてしまいます。
挙句「私、何が言いたかったんだろう???」なんて自分でもわけが分からなくなってしまうわけです。

自分でもわけがわからないわけですから、相手はもっとわからないんですよね。
それで「何が言いたいんだ?」と切れられてしまうことになるんです。

また、これは女の子がよく使う手でもあるんですけど、「○○ちゃん、結婚が決まったんだって。あの子たちまだ1年も付き合ってないのにね(私達はもう3年よ、私だっていつまでも若いわけじゃないんだから、早くプロポーズしてよ)」なんて婉曲的に分かってもらおうとしてしまうのも恐れが隠れているからなんですよね。
(しかも、悲しいことにほとんどの場合、彼はその本意に気づいてくれません)

そして、えいっ!と気合を入れて「ねえ、私達の結婚のことだけど・・・」と切り出した頃には「もう眠いから寝ようよ」とか「そんなことよりも、ね、さ、服脱いで」なんてことになったり、またその気合いが強すぎて逆に彼を引かせてしまったりしてしまいます。

○コントロール

また、「どうしても分かってもらいたい」「伝えなければいけない」という気持ちがあると、その恐れや不安の気持ちはコントロールを作り出します。
「分かってくれないだろう」と思えば思うほど「分からせよう」としてしまうわけです。

まあ、説得するみたいな感じになるんですけど、分かってもらえる自信がない分だけ、いろんな言葉や比喩を使って表現しようとしてしまいます。
これはあんまり自信のない訪問販売員さんを思い浮かべてみると分かりやすいかもしれません。
「この商品、奥さまに必ず役に立ちますよ!」とは言えずに「これはですね、○○協会認定の・・・云々・・・、お隣の○○さんも気に入ってくれて・・・云々・・・、あ、もちろん我が家でも使ってみていいんですけどね」なんて風に。
それで最後に「どんなもんでしょうかね?」なんて最後には顔色をうかがったりして。

僕もカウンセラーでもデビューした頃には自分の言いたいことがうまく言葉にならなくて、回りくどく説明口調になってしまったことも少なからずあったと思います。
それで後で「あちゃー、やってもうた・・・」と後悔したこともありました。

それに「分からせよう」という意識が強くなると、相手の気持ちを無視して話し続けることになりますから、相手が理解しているかどうかよりも、自分の言いたいことを立て板に水がごとく伝えることに必死になってしまいますね。
あるいは、高圧的になってしまい「私の話が分からないあなたはおかしい」なんて、相手を攻撃的に見てしまうこともあるかもしれません。
そして、コントロールの裏側の恐れを感じ始めると、今度は逆に相手の気持ちばかりを見すぎるようになって、ますます冷や汗をかいてしまい、悪循環に陥ってしまうことも少なくないかもしれません。

●どうすればいいんだろう?

カウンセリングの中でも「あれ?私何が言いたかったんでしたっけ?(苦笑)」なんて困ってしまう方も少なくありません。

そう言うときには僕は「ちょっと深呼吸してみましょうね。で、今どんな気持ちです?」なんて風に自分の気持ちを見つめていただくことが多いんです。

そして、自分の気持ち、心と繋がりが持てるとほっとするようになります。

すぅーーーーはぁーーーーと深呼吸するのはぜんぜん恥ずかしいことではないですから、勇気をもってやってみましょうね。

○うまく話そうとしないことが大切。

コミュニケーション全体にいえることなんですが、うまく話そうとすればするほど、力が入って話したい話ができなくなってしまいます。
「ちゃんと伝えなければ恥ずかしい」とか「大人なんだから」と自分を卑下する姿勢や自己嫌悪が強いと、それだけでコミュニケーションに自信がもてなくなりますから、根本的にはそうした自分自身との付き合い方の問題といえるかもしれません。

自分の気持ちに素直になって、その気持ちを認識したり、伝えられるようになればなるほど、回りくどくなることなく伝えたいことを表現できるようになっていきます。

上手に言いたいことを伝えられるようになるために、自分なりの「練習期間」を持ってみることが大切ではないかな、と思うんですね。
たとえば、無料のカウンセリングなどを利用してみてもいいですし、友達やパートナーとコミュニケーションを練習する機会を持ってみるのもいいでしょう。

○今日のエクササイズ

自分に自信が無くて、相手の顔色を伺ってしまったり、そんな自信の無さを隠して高圧的になってしまう時は、自分自身の心に意識を戻してあげる必要があります。
だから、人と話をしているときにも「私、今、どんな気持ちだろう?」と心の状態をチェックできるようになるとすばらしいですね。
でも、いきなりそんなことは難しいですから、次のステップを踏んでみると良いでしょう。

1.日常生活の中で「私、今、どんな気持ちだろう?」と心の状態をチェックする機会をたくさん持ってみます。
気づいたときでいいですから、歩いていて、電車に乗っていて、ご飯を食べていて、今の自分の気持ちをチェックしてみます。
特に最初はなかなか自分の気持ちが分からない場合も多いですから、そういうときには「欲求」をチェックしてみるといいんですね。
たとえば、自動販売機で飲み物を買うときに、コンビニやスーパーで買い物かごを取ったときに、「何が飲みたいのかな?」「何が欲しいのかな?」と自分に聞いてみるんです。

2.人の話を聞いているときに自分の気持ちをチェックしてみましょう。
回りくどくなってしまうパターンを持つ方の場合は、話を聞くのが苦手、という方も少なからずいらっしゃいます。
相手に意識が向きすぎたり、自意識が強くなってしまっているためですが、まずは聞き上手になることを目指して、人の話を聞いているときに「私、今、どんな気持ちだろう?」「何を感じているんだろう?」とチェックしてみましょう。
日常の中ではテレビのニュースやドラマを見ているときにやってみるといいかもしれませんね。

3.自分の気持ちを言葉にしてみるレッスンをして見ましょう。
ちょっと独り言になってしまうかもしれませんが、2で感じた気持ちをそのまま言葉にしてみましょう。
テレビ以外では小説や映画などは感情に訴えるものが多いですから、やりやすいかもしれませんね。
これはなかなかうまく行かないものです。
言葉にうまくできなかったり、言葉にすると嘘みたいに感じてしまったり。
でも、その感覚が意識と心を繋げていく大切なレッスンになるんですね。

●そういうタイプの人と話をするときは?

一方、回りくどくなってしまう人と話をしなきゃいけないときには、しんどい思いをすることも少なからずあるかもしれませんね。
「何が言いたいんだろう?」って思ってしまいますし、相手の態度によって自分の感情も振り回されたりします。

そんなときは、まずは自分自身がしっかりと地に足をつけるべく、相手と向き合おうとする姿勢が必要ですね。
そうすると相手に振り回されたり、一緒に???の世界に行ってしまうこともなく、きちんと話の筋を見極められるようになります。

そして、できるだけ自分が話をリードしてあげるつもりになってあげると良いでしょう。
たとえば、
「それって○○ってこと?」
「つまりは、△△ということだよね?」
とちょくちょく相手の話を確認してみるんですね。
そうすると、相手も安心しながら話をすることができて、だんだん話がシンプルになっていきます。

また、分からないことを言っていたら、きちんと質問してあげましょう。
ちょっと相手の言葉をさえぎることになるかもしれませんが、お互いの大切な時間を有効に使うためには大切なことですね。

でも、回りくどくなってしまう方の裏側にはここまでお話してきたように“恐れ”の感情があるものですから、できるだけ“やさしく、やさしく”話に付き合ってあげる必要があります。
たとえ、時間が無かったとしてもね。

そうして相手の人の恐れを取り除いてあげると、徐々に落ち着いて話をしてくれるようになるでしょう。

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