ミス、失敗を隠す

相談者名
T
仕事で失敗やミスを隠してしまう。
報告すべきなのは分かってるけど怖くてムリ。
怒られる、人に迷惑をかけると考えると体が固まってしまって動けなくなる。
バレなければいいやと思って放置するけど、ミスを放置した罪悪感みたいなものはずっと残っている。
そもそも失敗もパターンが決まっている。分かっているのにチェックを忘れたり、大丈夫だろうと思って失敗している。
ミスをなくしたい。
失敗をきちんと報告できる人が羨ましい。
カウンセラー
大塚亘
Tさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

人間は、誰しも完璧ではなく、どんなに頑張っても、気を付けたとしても、どうしても
ミスをしてしまうものです。

例えば、私大塚も人間です。私はカウンセラーと並行して自営業の仕事をしていますが、
自営業の仕事をしているときに、間違ってしまったり、ミスをしたときに、自分自身を
あまり責めません。

私が自分のミスを発見したときに思うのは、こんな感じです。

「あっ、ミスっちゃった。まあ、いいか」

という感じです。

もちろん、全てのミスについて、必ず毎回「まあ、いいか」と思えるかというと、
もちろんそんなことはありません。落ち込んだり、反省したりすることもあります。

でも、仮に落ち込んだり、反省したとしても、心のどこかで、

「人間はミスをするものだから、ミスをしたら謝って、訂正をすればいいだけだ。
自分なりに頑張ったんだから、それでいいじゃないか。今度からは、もう少し気を
付ければいいし、頑張った自分を認めてあげよう」

という気持ちがあるのです。

実際、私は、自営業の仕事でミスしてしまったときは、たいてい相手に伝えて、
そして、謝ります。さらに間違ってしまったところをもう一度やり直して、ミスを
修正します。

さて、私がミスをして、私の顧客にミスを報告すると、どうなるかというと、

全くと言っていいほど、顧客からは責められません。

私は自営業を15年くらいしていますが、ミスをして、それを報告した結果、顧客に
責められたということは、確か、全くなかったような気がします。

正直に謝って、訂正すれば、特に問題はないのです。

さらに言えば、ミスをして顧客を失ったということもなかったと思います。いろいろな
理由で顧客との取引が終わってしまうことはあるのですが、私のミスが原因で、
責められて契約を解除されたということは、一回もないのです。

先ほど、「自営業の仕事でミスしてしまったときは、たいてい相手に伝えて」と私は
書きました。「たいてい」ということは、実は、ここだけの話しですが、ミスしても、
顧客に報告しないこともあります。

Tさんが書いてくださった、「バレなければいいやと思って放置するけど」と全く
同じですね。

もちろん、私にも、報告しないで隠すことによる多少の罪悪感はありますが、この場合も、
私は、自分自身をほとんど責めないのです。

その理由は、先ほどと同じで、「人間はミスをしてしまうものだから」です。

なお、ミスを報告する場合と、報告しない場合の違いは、私の場合は、どちらかと
いえば、大きなミスは報告しますが、細かいミスは、大勢(たいせい)に影響がないなどの
理由で、報告しないことが多いです。

大きなミスほど、私は報告をして謝ります。そして、訂正をします。

いずれにしても、顧客は全くといっていいほど私を責めないのです。

さて、そう考えると、ミスをよくしてしまうこと、たまにミスを放置してしまうことは、
実は、Tさんと、私大塚は、全く同じであるわけです。

では、Tさんと私は、何が違うのでしょうか。それは、

ミスをした自分を責めているか、否か

なのです。

人間には、「自己概念」というものがあって、自分は、こういう人間である、という、
ある種の思い込みがあります。

なぜ思い込みかというと、例えば、自分では仕事があまりできない、と思っていたと
しても、実は、周りから見れば、意外としっかりと仕事ができている、というような、
周りと自分の評価が異なるということは、実はとてもよくあることなのです。

つまり、自分が思っている自分像と、まわりの人間が見る自分像は、同じではないことが
たくさんあります。

人間の心は、「投影」といいますが、自分が思っている自己概念の通りに、周りの人間も、
自分のことを判断するだろうと思ってしまいます。

そして、Tさんは、ミスをしたり、ミスを放置する自分をとても責めていらっしゃる
ようです。もしそうだとしたら、Tさんの心は、オートマチックにこう思います。

ミスを報告したら、責められるに違いない!

よって、ミスを報告できなかったりすることになってしまうわけです。

私がなぜ顧客に自分のミスを報告できるかというと、

顧客はたいして私のことを責めないだろう

と思えるからです。

Tさんのお仕事などの状況がよく分かりませんが、もしかしたら、Tさんがミスを
報告しても、責められないことがほとんどなのではないでしょうか。

もしそうだとしたら、この世で最も自分自身を責めているのは、他ならぬTさん自身
なのかもしれません。もしそうだとしたら、とてももったいないと思いませんか。

なぜなら、本当はほとんどTさんは責められないのに、TさんがTさん自身を責めて
いるために、心の投影によって、周りの人間や、世間がTさんを責めるだろうと、
Tさんは普段から思ってしまっているからです。

本当は責められないのに、周りから責められると思いながら生きるのは、とても
もったいないと思います。

よって、

TさんがTさん自身を責めないこと

が、私は根本解決になっていくと思います。

ミスをしないように努力する、というのももちろん悪くはないですが、ミスがゼロに
なることは、Tさんも人間である以上、あり得ないからです。

Tさんはミスしたり失敗したときはご自身を責めてしまうようですが、ミスせずに
上手くできたときや、成功したときに、ご自身をほめていますか?

自分自身を責めていると、ミスなどの悪いことばかりに目が行きがちですが、上手く
できたことも必ずあるはずですし、上手くできたことの方が多いのではないでしょうか。

まずは、Tさん自身が出来ているところを、Tさん自身がたくさんほめて、認めて
あげてほしいのです。出来て当たり前だとほめなくなってしまいますので、出来た時に、
心の中で、

「今回は上手くできた。自分は頑張ったし、ほめてあげよう」

と意識して思ってみてください。

そして、ミスをする自分自身を許していくことができれば、周りから責められる
という感覚が薄れていき、ミスした時にも報告できる余裕が生まれてくると思いますよ。

もしうまくいきそうもなかったら、ぜひカウンセリングも使ってみてくださいね。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー