医者に嫉妬

相談者名
たかし
僕は私立大薬学部に通う三年生です。将来は薬剤師になります。
医者や医学生に対する嫉妬心をなくしたいです。
医療系のイベントに参加したりするのですが、そこで医学生に会うたびに強く嫉妬してしまいます。「この人は将来一千万近く稼げるけど、僕はその半分くらいしか稼げないんだよなあ」と思うと悲しくなります。
最近、テレビに医者が出てくることにも不快感を覚えるようになってしまいました。割と好きだった医療系の番組が見にくくなりました。
僕は小さい頃から、収入が多い男がカッコイイと思っていました。そして、なんとなく自分は高収入になれる気がしていました。
高校では成績が悪くなり、大学に入れるか入れないかのレベルで悩んでいました。
なんだかんだで私立大薬学部に入りました。浪人したくなかった、もう受験勉強したくなかったという理由で入学したのです。
大学に通うようになって気持ちに余裕が出来て、自分の将来について考えるようになりました。そうして、自分は高収入を得るのが難しいという現実を知りました。
薬剤師の平均年収は500万ちょっと。僕のものさしでは、この金額はとても低いです。その流れで医者の平均年収についても調べました。同じ6年間勉強して収入にここまで差があるのかと驚き、そして医者や医学生に対しての強い嫉妬心が芽生えました。
高校時代にもっと職業について勉強していなかった自分が悪いのですが、当時はそんな余裕がなかったです。
また高校時代の勉強をして医学部に入りなおすという選択も考えましたが、主に「もう高校時代の勉強はしたくない」「薬学の勉強と受験勉強の両立は難しい」「勉強したからと言って必ず受かる訳じゃない」という情けない理由で諦めました。
自分は、薬剤師になるための勉強のみをしているほうが楽なのです。
そんな経緯があり、医者や医学生に対して強く嫉妬してしまうのです。
薬剤師は医者と関わることが多い職です。薬剤師として働く上で医者への嫉妬心は弊害になると思います。
自分なりに嫉妬心を消す努力をしました。医者は過重労働で大変な職業であるという情報を探し、医者にならなくてよかったと思おうとしたり、薬剤師はいい職であるという情報を探したりしました。虚しくなるだけでした。
この嫉妬心を消す方法はないでしょうか?
カウンセラー
中山けんたろう
たかしさん、はじめまして。
ご相談を担当させていただきます、中山けんたろうです。
よろしくお願いいたします。

大学に通うようになられて気持ちに余裕が生まれ、自分の将来について考えるようになられたのは素晴らしいことだと思います。
また、「薬剤師になるための勉強のみをしているほうが楽」とお書きいただいています。
そうですよね。
ご自分に嘘をつけない方なのだなぁと思いました。
なんだかんだで私立大薬学部に入学されて巡り会った薬剤師の道なわけですから、その道でしっかり勉強に打ち込めたら、とても充実した学生生活になるのではと思います。

さて、タイトルの「医者に嫉妬」。
今は、薬剤師と同じ医療系職種の中で、医者と比較されていますね。
資格の世界ではよく見られることだと思います。

一概に医者と薬剤師との比較と同じではないのかもしれませんが、他の例としては、
法律系では、弁護士と司法書士。
会計系では、公認会計士と税理士。
などがありますね。

平均年収を尺度にされているのであれば、ある分野において平均年収が最も高い資格を取られるのが、嫉妬心を消すための手っ取り早い手段ということになりますね。

でも、平均年収が最も高い資格を取られたとしたら、今度は、その資格の中での平均年収が気になってくると思うのです。
例えば医者であれば、開業医と勤務医、大学病院と普通の病院、都会の医者と田舎の医者、内科医と外科医、など、いろいろな平均年収の比較ができてしまいますね。
平均年収を尺度にするとキリがないようにも見えます。

でも、薬剤師になられた後のイメージとして、例えば「年収2000万円の薬剤師」とか、「セレブな薬剤師」というのをイメージしてみられたらどうかなと思うのです。

「薬剤師の平均年収は500万ちょっと。」
病院や薬局に勤める普通の平均的な薬剤師さんだったら、それくらいなのかもしれませんね。
でも、薬剤師として普通に働く枠を超えて、例えば、製薬会社に勤めるという選択肢もあるのではないかなと思うのです。
製薬会社の専門職として働いていき、将来、専門職として成果を挙げるとか、管理職になるなどすれば、年収1000万円程度は十分手に入る域ですね。

ご自分で何かの事業をするとか、会社を設立してやりたいことをすれば、平均年収自体を考えることもなくなるのではないかなと思うのです。

さて、ご質問いただいている嫉妬を消すための方法として、心理学的には次のことを探ってみられることをお奨めします。

もともとひろしさんが、「収入が多い男がカッコイイ」と思うようになったのはなぜでしょうか。
また、「なんとなく自分は高収入になれる気がしていた」のはなぜでしょうか。
身近に高収入でかっこよい男性がいたから、とか、そのような男性の影響を受けたからということはありませんでしょうか。

その辺りについてひろしさんが持っていらっしゃる考えの「原因」とか「ルーツ」を探ってみるのが、嫉妬を消すための一つのアプローチになります。
「原因」があって「結果」がありますから、「原因」を探ることが、ひろしさんの中にある嫉妬心の正体を見極めて、対処していくための有効な手段となるのです。

それから、「高校では成績が悪くなった」とのこと。
それは、なぜでしょうか。
「当時はそんな余裕がなかった」ともお書きいただいていますね。
ご自身やご家庭に何かがあったのでしょうか。

その辺りのことも、ひろしさんの心を知る上で重要なアプローチとなってきます。

また、医学部に入りなおすというお考えは、「情けない理由」で諦められたと書いていただいています。
本当に、「情けない」のでしょうか。
大変申し訳ないのですが、私にはそうは思えないのです。
現実的で、冷静で、自分に正直な思いによるものだと思うのです。

なぜ、「情けない」と思われるのでしょうか。
例えば、ご自分自身に対して、次のように思われているのかもしれませんね。
「もっとがんばらなくてはダメだ。」
「これくらいで音をあげてはダメだ。」
「楽な方に進もうとしている自分はダメだ。」

ひろしさんが医学部に入り直すのを諦めた理由を、「情けない」と思っている人は、ひろしさん以外にいらっしゃるでしょうか。
もし、思い当たる人がいるのであれば、その人の「目」が気になっていらっしゃる可能性もあり得ます。

また、どなたか年上の人への反発心や葛藤を持たれていることはないでしょうか。
もし、思い当たる人がいるのであれば、その人に対して感じていらっしゃる反発心や葛藤を、もうこれ以上感じたくないと思われているようです。

人間には、ある人への反発心や葛藤を、別の人にあてはめてしまう心の働きがあります。
例えば、年上の人への反発心や葛藤を、自分よりも上に見える人、例を挙げれば、職場の上司、自分より年収が上の人、強力な資格を持っている人に対して、同じような反発心や葛藤を感じてしまうものなのです。

ですので、年上の人への反発心や葛藤の「源」を癒す(解消する)ことができれば、その他の自分よりも上に見える人に対する反発心や葛藤を感じなくなるものなのです。
これが嫉妬心を消す方法の一つ目となります。

「薬剤師として働く上で医者への嫉妬心は弊害になる」とお書きいただいています。
私もそのように思います。

嫉妬は、「自分には絶対無理!」と諦めたときにこころの中に芽生えます。
「他人は持っている。自分も持ちたい。でも、自分は持てない。」と自分自身に枠をはめてしまった時、他人に対して嫉妬を抱きます。

嫉妬心を消す方法の2つ目は、たかしさんが、薬剤師の平均年収の枠を超えて、高収入を得られる方法について情報収集し、方法を探して見つけて、それを実行に移されることです。
自分自身を、平均年収という枠組みに押し込める必要はまったくないのです。

薬剤師になるための勉強自体が苦痛でないのであれば、薬剤師になるための勉強に専念されるのが、ひろしさんにとってプラスに働くと思います。
なぜなら、薬剤師か医者かで悩んでいる時、ひろしさんのこころは、悩むことに相当エネルギーを使っていることになりますね。
悩むことにエネルギーを使うよりは、そのエネルギーを前に進むために使った方が、勉強に集中できたり、勉強以外の学生生活にも打ち込める余裕ができてきたりするものだからです。

「浪人したくなかった、もう受験勉強したくなかったという理由で入学した」ともお書きいただいています。
私は一浪した経験がありますが、二浪することには抵抗がありました。
私も当時、ひろしさんと同じように、もう受験勉強はしたくなかったのです。
親からは「二浪してでも目標大学へ」と言われていましたが、まっぴらご免でした。
親のために大学へ行くわけではありませんからね。

なんだかんだがあったにせよ私立大薬学部に入られたひろしさんは、立派にやり遂げられた方だと思います。
納得のいく充実した学生生活を送られて、ひろしさんが持っておられる才能や魅力を周りの人や社会に与えていける素敵な職業人になられることを、これからも応援させていただきたいと思います。

今回のご相談が、ひろしさんが今後の方向性を考えていかれる上で、何らかのヒントになれば幸いです。
ありがとうございました。

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