自信を育む(3)~自信のなさの正体と、“自芯”~

「成功体験」から得られる自信のベースには、「何かをしなければいけない」というものがあります。

その種の自信を追い求めて忙しくしている人には共通して「自分の存在価値が感じられない」というものが心の奥底に隠れています。
ただ存在していることに価値を見出せるようになるには成熟さが必要になりますが、自分の存在に価値を感じられるようになった時、揺るがない自信と感謝の気持ちを感じることができるようになります。

●自信のなさの正体

「自分以外の人から受け入れられ、認められた」「自分がやったことが成功したという成果を得られた」という「成功体験」によって得られる自信には、ある種の不安定さと脆さがあります。

そして、「成功体験」から得られる自信のベースには「何かをしなければいけない」というものがあります。

裏を返すと、「何もしなければ(できなければ)、自信が持てない(持ってはいけない)」ということです。

それは、常に自信を感じ、自信を大きくしていくには、さらなる成功体験を追い続けるか、さもなくば過去の成功体験に浸り、過去に生きることでしか達成できないことを意味します。

この種の自信を追いかけている人の特徴としては、

・いつも何かに忙しい
・競争が好き
・効率を追求する
・「結果」や「数字」へのこだわりが強い
・睡眠時間が短い方が偉いと思っている

等が挙げられます。

そして最も特徴的なのが、

・「あなたが存在していることに価値がある」というのが理解できない。

という点です。

「自分の存在に価値が感じられない。」

これが、自信のなさの正体です。

この自信のなさを補い、埋め合わそうとするために成功体験を追い求めるのですが、残念ながら、成功体験から得られるレベルの自信では、この自信のなさを補い、埋め合わすことができません。

成功体験で得られる自信というのは、言わば周囲の肉付けにしかならず、決して骨にはならないのです。

細い骨に多くの肉が付くとどうなるでしょう?

肉が付けば付くほど骨に負担がかかりますよね。

それと同じように、周りの肉付けをすればするほど、骨の部分である「自分という存在(の価値)」を意識せざるを得ない状態になります。

でも、そうした自分の「芯」の部分に触れようとすると、自分の本質を生きていない痛みが噴き出すこともあって、なかなかそこに目を向けたくないんですよね。

「自分って、何?」
「自分って、何で存在しているの?」
「自分は何のために生きているのか?」

これらの問いは、非常に壮大かつ深遠な問いです。

その答えがわからなくても、これらを自分に問いかけることが一度もなかったとしても、人は生きていけますし、多くの喜びや幸せを感じることもできます。

でも、この壮大で深遠な問いを自分に問いかけるということは、より大きく、より深い「喜び」や「幸せ」そして「自信」を得るための第一歩になります。

●揺るがない自信を持つために必要なもの

自分の「芯」の部分から湧き出てくる自信。

その“自信”は、何かをやったとか成功したといった結果に影響されることがなく、決して減ることも失うことも奪われることもない“自芯”であり、その自信を感じている時、自分“自身”のままで生きることができます。

“自芯”からくる自信を感じ、育むにはいくつかのアプローチがありますが、そのいずれにおいても、「成熟さ」というものが必要になってきます。

まずは、「誰かや何かのせいにするのを終わりにして、自分の人生で起こることの全てに対して自分で責任を持つ」という、アカウンタビリティを身につける必要があります。

そして、自分の小ささや無力さを受け入れることが必要になります。

これは、心の成長段階でいうと、自立の状態から、依存もできる自立の状態である相互依存の段階になります。

わかりやすく言うと、「おかげさまで」という感謝の気持ちを持てる状態のことです。

まずは、そうした「成熟さ」を自分が持ち合わせているかどうかをチェックするところから始め、必要であればその「成熟さ」を身につけるところから取り組んでみましょう。

>>>『自信を育む(4)~ルーツから存在価値を受け取る~』へ続く

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