傷ついている誰かを癒す~信頼と愛が心を開く~

子供の頃、私達は親の何気ない言動や、成長につれての関わり方の変化、親の抱える問題、兄弟姉妹との関係などにより、自分は愛されるような存在ではないと思い傷つきます。

そして、罪悪感や無価値感を心の中に植え付けます。
また、私達が傷つくのは自分で自分を責めているからです。そしてその原因は子供の頃に植えつけられた罪悪感や無価値感なのです。
これらを払拭するには、「あなたは価値がある」「あなたは悪くない」という事を伝えてあげる事です。
しかし、人はなかなか無価値感や罪悪感を手放せないものです。自分が変化する事への怖れがあるからです。

人と向き合うと様々な抵抗を受けますが、相手を信じる事と自分の中にある偉大なる愛に繋がり続ける事を決意すれば、それは乗り越えられます。
誰かを癒すことは、あなたが自分を信頼し、自分の中にある偉大なる愛を受け取るための、あなた自身の成長や癒しのプロセスでもあるのです。

◎リクエストを頂きました◎
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いつもメルマガを楽しく読ませてもらってます。
メルマガを読んでいると、幼少期に得られなかったものが今になっても何かに影響を与えているというお話が良く出てきますよね。
幼少期の事が原因で不倫にはまってしまったり、恋愛がうまくいかなかったり、コンプレックスを抱えてしまったり。

自分の場合はメルマガなどを読んで少しでも気がつくことができ、自分自身を癒すことができると思うのですが、パートナーが幼少期に何かしらの問題を抱えている場合は相手の心をどのように癒してあげればいいのでしょうか?
心を開いてくれればいいのですが、そうでない場合は自分にとっても辛い作業にもなると思うのです。
何かアドバイス的なお話などあれば聞きたいです。
よろしくお願いします。
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○私たちが傷つく原体験

私たちが抱える問題の99%以上は、子供の頃の体験に根ざしていると言われています。
今はそう思えないかもしれませんが、子供の頃私たちが一番欲しいものは親の愛情でした。
いかに親から認められるか、可愛がられるか、感心をもってもらうかがとても大切だったのですね。

しかし、親の何気ない言動や、私たちの成長につれての関わり方の変化、親自身の抱える問題、あるいは兄弟姉妹との関係などにより自分は愛されるような存在ではないと思ってしまう事があります。
もちろん、子供の頃の事ですから、誤解もとても多いのですが。
その傷つき方は人により様々ですが、詰まるところ「自分は親の期待に応えていない悪い子供」と感じたり、「私には存在する価値や愛される価値がない」と感じてしまう事がほとんどです。

前者は「私は悪い」という罪悪感、後者は「私には価値がない」という無価値感を心の中に植え付けます。
この無価値感と罪悪感こそが、私たちが傷つく原点なのですね。
そして、この2つの感覚は双子のようにどちらも私たちの心の中に存在します。

○私たちが傷つく理由

私たちが傷つくのは、自分自身で自分の事を責めている時だけです。
例えば、私は太っていると自分を責めているとします。太っている事が自己嫌悪になっていたとします。
そんな時に誰かから「おまえは太っているなぁ」と言われると、傷つきますね。そして場合により反発します。
しかしそんな事を全く考えていなかったらどうでしょうか?
そんな事を言われても「はぁ?」という感じになりますね。全く傷つかないのです。

自分を責めていることのみに私たちは反応し、傷つくのです。
この自分を責める心の動きは、先に書いた傷ついた原体験に根ざしています。
例え太っていたとしても自分を責める必要はないのです。
太っているという事実を認め、それを私の個性と受け止めてもいいですし、仮にそれが問題と感じていても痩せる手段を講じようとするだけでいいのです。

そこに自分を責める心の癖が働くと「太っている私には価値がない」とか「痩せられない私は、自分のことをコントロールできなくて悪い」などという気持ちになって傷つくのです。
表面的には、誰かを責めているように感じるかも知れません。
しかし、「どうして私はこう感じるのだろう?」と気持ちを掘り下げて深層心理に入っていくと、自分を責めている気持ちが自分自身を傷つけている事に気がつくことができます。

○傷ついている誰かを癒す方法

傷ついている人の心の奥底には自分自身を責めている感情があるのですから、その人を癒すには自分自身を責めることを止めさせてあげればいいという事になります。
自分を責めている理由は無価値感か罪悪感、あるいはその両方ですから、逆に「あなたは価値がある」「あなたは悪くない」という事を受け取ってもらえればいいわけです。

人は、自分を責めているときには、自分の悪いところばかりしか目に入らないものです。だから、相手の代わりにあなたが相手の価値を見て、伝えてあげる事なのです。
しかし、人はなかなか無価値感や罪悪感を手放せないものです。それらは人の気持ちの奥深くに根付き、長い間一緒に歩んできた同志みたいなものだからです。
それらを手放す事は、あたかも自分自身でなくなってしまうような感覚を持ったり、そんな事は許されないと感じたりします。また、無意識下での強い抵抗もあります。

本人がいくら変化しなければと思っても、なかなかうまくいかないのはこの無意識下での抵抗が強いためです。
そして、それら全ての抵抗は、極論をすれば自分が変化する事への怖れなのです。
人は怖い事が目の前にあると、怒り出したり、泣いたり、引きこもってみたり、何か理由を見つけて反論したりと大騒ぎして何とかそれから逃れようとします。
でも、この状態はその人が怖れを乗り越えるために必要なプロセスです。
大騒ぎしないといけないぐらい怖いのです。
そしてこの状態は、別の見方をすれば「こんな私だからどうせ逃げ出すのでしょ?」という相手の無意識が仕掛けた罠でもあるのです。

この罠にまんまと引っかかってしまっては、相手を癒すことはできません。
特にパートナーシップでは、近い関係にある度合いだけこの罠が激しくなります。
この罠に引っかからないために一番大切な事は、相手を信じる事と自分の中にある偉大なる愛に繋がり続ける事を決意する事です。
これがないと、ついつい相手の罠に引っかかって犠牲になっている感覚や、無力感や絶望感に襲われてしまいます。

そして相手をコントロールしようとしたり、相手を攻撃して傷つけてしまい逆効果になってしまいます。
誰かを癒すことは、あなた自身が自分を信頼し、自分の中にある偉大なる愛を受け取るための、あなた自身の成長や癒しのプロセスでもあるのです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。