寂しさとその癒し方(1)~寂しさについて~

寂しさは私たちにとっては生れ落ちた瞬間から感じ始める感情と言われます。

それゆえ、とても長いお付き合いがあるはずなのに、意外と私たちはその感情についてよく知りません。
私たちは人間関係の中で周りの目を気にしたり、よく思われたいと振舞ったり、感情を我慢していい人をしてしまったりすることがあります。それは良かれと思ってやっているのですが、そして、決して悪いことではないのですが、それもまた寂しさを裏で募らせる行為になったりするのです。

また、一方で大切な人を失った喪失感はとても強いハートブレイクを招きます。そして、その人がいなくなった分だけ、心の中にぽっかりと穴が開き、次から次へと寂しさが湧いて出てくるようになります。でも、それは辛いこと。だから、つい、私たちはその穴に蓋をしてしまうのです。そうして、その裏側に寂しさがどんどん募るようになるのです。
では、その寂しさはどう癒してあげたらいいのか?カウンセリングの現場から培ったアプローチもたっぷりご紹介したいと思います。
自分自身のためでなく、あなたの周りの人の理解のためにもぜひお役立て下さい。

寂しさっていたるところにあるものです。
今回は寂しさをテーマに人間関係のパターン、そして癒しのプロセスをご紹介したいと思います。

●寂しさについて

寂しさという感情は、以前にもご紹介したことがありますが、私たちがお母さんのお腹から生れ落ちた瞬間から感じ始めると言われます。
それくらい古い感情で、すなわち、誰もが持っているものとも言えるでしょう。

そして、“お母さんと切れた瞬間から始まる寂しさ”は、“感情と切れた瞬間に感じ始めるもの”になっていきます。
(誰かと切れたとき、ではなく、自分の感情と切れたとき、というのはポイントかもしれませんね)

だから、何らかの理由であなたが感情を切ってしまっているとすれば、意識するしないは別として、心の中にとても寂しさを抱えている可能性が高いのです。

すなわち、心との繋がりが切れたとき、あなたの心の中には寂しさが蓄積されていくと思っていいかもしれません。

“寂しさ”という感情は“人を狂わすもの”とよく言われます。
私たちは、胎児の頃はお母さんとしっかり繋がっていたので、生れ落ちた後も、いつも誰かとの繋がり、親密感を求めていて、それを感じられたときに深い安心感や喜びを感じます。

例えば、小さな赤ちゃんがお母さんの姿が見えなくなると大声で泣き出すのもしかり、学校などでいつも誰かと一緒に行動したくなる気持ちもそうですし、また、思春期になれば恋人とのロマンスが欲しくなりますし、また、パートナーとのセックスがないと愛情に自信が感じられなくなるのも、私たちが潜在的につながりを求めていることの証なのです。

でも、様々なできごとに遭遇するときに、その人とのつながりを“切って”しまうようになります。

切れた瞬間から寂しさを感じるのですが、寂しさを意識したとしても「今更戻れない」とか「近づくなんて恥ずかしい」といった思いから、どんどん分離を進めていきます。

それは「自立」のプロセスなので、自立的に生きている方は多かれ少なかれ、寂しさを心に抱えながら生きている、とも言えるのです。

もちろん、それを自覚していれば問題はありません。
「寂しいから一緒にいて」と言える人。とても素直で、素晴らしいと思います。(程度にも拠りますが)

そう意識しなくても、いつも誰かと一緒にいたり、人といることを喜べる方も大丈夫。
知らず知らずのうちに寂しさを解消しているでしょう。

でも、寂しさを認められないと、私たちはそれを何かを使って麻痺させようとします。
例えば、お酒、ギャンブル、買い物などの強い刺激によって寂しさを紛らわせることもあります。そのエキサイティングな状態によって寂しさを感じないようにするのです。(無意識的に、ですけれど)

また、セックスや恋愛などの親密感のシンボルを使うこともあるでしょう。セックス依存症の方をカウンセリングしていると、その心の中から途方もない寂しさが溢れ出てくることが少なくありません。

また、ハードワークに嵌ってしまうのも、寂しさを紛らわせる手段の一つになることがあります。
ビジネスという刺激の強さを求めると同時に、自分が必要とされているという気持ちが、その寂しさを慰めてくれるように感じるのです。

でも、ごまかしたとしても、寂しさはなくなりませんよね。
だから、“自立的な人ほど”、寂しさと向き合って欲しいな、と思うのです。

さて、次からは寂しさを感じやすい2つのシチュエーションについてご紹介します。

>>>『寂しさとその癒し方(2)~いい人は寂しい!?~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。