なぜか少数の人に依存してしまう私~自分を許して恐れを超える~

 一般的にいう「人見知りする」状態を心理的に見ると、人との繋がりに強い抵抗を見せている心理状態と考えられます。

そしてその心理的抵抗感の目的は、自分自身の感情(恐れ)を抑圧すること(自分が怖いと感じないように気持ちを抑え込むこと)にあり、それは心の拘束状態を作り出します。

また、親との関係を見てみると、最も近い存在である親から感じられなかった親密感を求めるニーズや飢餓感が生まれやすいですし、そのニーズを他人で満たそうという心理が働くのです。が、親に求める親密感と同質のものを他人からもらおうとしても満たされることは少なく、その態度に拒絶感を感じてしまうこともあり、特定の人に執着する心理が生まれます。
この状況を抜け出すには飢餓感や恐れを癒すことがポイントになりますが、それは自分に対してネガティヴな観念を持つのではなく、自分を大切に扱い、自分の感情を理解することがもっとも大切なことになるのです。

◎リクエストを頂きました◎
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私は、子供の頃から周りへの警戒心が強く、とても人見知りでした。
祖父と常に一緒にいて、仕事で忙しくあまりかまってくれない両親には不信感を持っていたと思います。
そのせいか、友達、彼氏など、一人の人に依存心が強く、それ以外の人にはとても緊張します。

何故このような状況になってしまったでしょうか?そしてどのようにしたら状況を改善できるでしょうか?

(一部編集させていただいております)
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■一般的にいう「人見知りする」状態を心理的に見ると、人との繋がりに強い抵抗を見せている心理状態と考えられます。そして多くの場合、その心理状態には「恐れ」が存在することが多いのです。

そしてこれら全て人との関わりの中で体験したことであり、そこにまつわる感情であることが殆どといって良いでしょう。

とにかく、自分が心理的に何かしらの恐れを感じるので、実際に人と関わることに強い抵抗感を感じるわけですね。そしてその心理的抵抗感の目的は、自分自身の感情(恐れ)を抑圧すること(自分が怖いと感じないように気持ちを抑え込むこと)にあり、それは心の拘束状態を作り出します。

これが一種の緊張してしまう状態を作りだすわけですね。これは想像以上に心理的な疲労を感じます。

このような状態に人は居続けたいとは思いませんから自然と人との距離をとるわけです。すると現在の人間関係に次のような構図が生まれてくることがあります。

「恐れを感じない少数の人々」と「恐れを感じる大勢の人々」

自分がどこか大海原という社会の中の、そこに浮かんでいる小さな小島にいるような感覚でしょうか。とても小さな制限のある場所になんとかして居続けているような感覚ですね。これは心の状態としてとても窮屈で苦しいものです。

しかし、自分が恐れを感じることが多い人たちより、恐れを感じない人と一緒にいたいと思うことは人の心理としてとても自然なことです。

ただ、恐れを感じる大勢の人々が多くなれば多くなるほど、自分が安心感を感じられる人は限られてきますから、その人にとても執着してしまいます。どこか限定的で人との繋がりに制限がある人間関係を作り、そこに対して強い依存性を持つようになるわけですね。

■では、その人間関係を制限する恐れはどこからやってきたのでしょうか?

いただいたリクエストから言えば、自分が不信感を感じないのは親ではなく「友達、彼氏など」他人である。これは心理的な一つの矛盾を引き起こします。

心理的に見て、子供時代の私たちにとって最も身近な存在は親であるわけです。が、親に対して心理的にどこか距離を感じていることは、子供時代に与えられる親密感を感じる機会を逸してしまったということの一つの表れでもあります。

心理学では、他人と感じる親密感と、親や家族から感じる親密感はその性質を異にすると言われています。特に幼少期に親から与えられる親密感は人との関わりについての安心感や、自分が愛される存在であるという安心感や自己価値に深く関わるからです。どこかで、自分は愛される存在ではないのではないか?という感覚が生まれやすく、自己肯定感を感じにくくなります。ここに不安や恐れが生まれます。

この親密感をあまり感じられなかった感覚が、今まで感じられなかった親密感を強く求める心理「飢餓感」を生みだします。喉がカラカラの時にとにかく水が飲みたい!と思う、あの感覚と似ています。つまり、飢餓感を持つと強いニーズが現れ、親密感が感じられないことをとても恐れるようになるのですね。

なので、自分が過去にもらえなかったと感じている親密感を大人になってから誰かから得ようとする心理が働きます。しかし他人と親は違いますから、同質のものを求めても手に入ることは少ないわけです。ここで他人に対し拒絶された感覚も出てきますし、どうして親密感がもらえないの?という心理的な矛盾が生まれます。

すると心は矛盾状態を嫌いますから、どこかで現実と感情をつなげて整合性をとろうとします。

ここで登場するのが「ちゃんと愛されない私」。親密感をもらえない、愛される価値がないのではないか?と自分自身を疑いはじめるのですね。ここで心のバランスが取れるのですが、しかしネガティヴな感情のスパイラルにはまってしまうという状態が生まれます。更に対人関係での不安が強まり、更に親密感を求めようとするので、相手に執着してしまうというわけです。

■つまり、この状況を抜け出すには飢餓感や恐れを癒すことがポイントになりますね。

ただ、ここで大切なことがあります。

例えば、人見知りである自分や、親に対して不信感を持っていた自分。
一人の人に依存心が強くもつ自分や、人に対して緊張してしまう自分。

このように感じている部分を、自分の中でネガティヴに捉えて問題視しすぎてはいないか?ということ。

子供心に孤独を感じれば、愛されていないと感じてしまうのも仕方のないことですし、それはとても辛い経験でしょう。ただ、過去に感じた感情を、今の自分の弱さやネガティヴな思いばかりにしていないかどうか、チェックする必要があります。

つまり、これ以上自分の傷に塩を塗るように自分に否定的になれば、ネガティヴな感情は強化されてしまいます。これでは自分を肯定できない分だけ、人見知りや親密感への飢餓感、対人関係での依存的な態度は強まるばかりでしょう。

そうではなく、まず自分自身を大切に扱う意欲を持つことが大切なのですね。それは過去から今までに至る自分自身を理解し許すこと。これ以上自分自身を疑わないことでもあります。

自分自身が過去を見つめ、過去の自分を許そうとする意欲がとても大切になるのですね。「仕方なかったこと」「本当に寂しかったこと」などなど、自分が抱えている感情に目を向け感じていくことで感情は開放され癒されていきます。

そうすることで心に余裕が生まれ、自分に対して向けられてきた身近な人たちの好意に反応できるようになります。この状態になれば人に対しての強い恐れや、親密感への飢餓状態は必要なくなっていきますよね。

このようにまず自分自身の感情を受容し、許すことで、自分自身や現状を変えていくことができるのですね。

以上、皆さんの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。