自分がわからなくなってしまった時の処方箋

感情を感じることは癒しの基本なのですが、私たちが感情を切り離した自立の段階にある時、自分でも自分のことがわからないといった感覚を覚えることがあります。

実はこの「わからない」というのも感情のひとつで、私たちが自立の段階へと成長するまでに、たくさんの感情を切り捨ててしまったことにあるのです。
否認の状態に陥ると、私たちにとって必要な兆しやサインから目を背けたり、何の根拠もないのに、楽観的なものの考え方をしてしまい、結果的に自分には問題がないふりをしてしまいます。
ここでの問題は、次へのステップへの怖れを表しており、否認とは、怖れや喪失に対する不適切な防衛からやってくるのです。

真の感情に進んで気づき、体験していくと、正気を失ったような無気力な状態から脱出して、自分自身との繋がりや人とのパートナーシップを持つことができるようになります。まずはあなた自身の感情を感じることが、人生を楽しむカギになります。

◎リクエストを頂きました◎
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今回、「自分自身の現実を見えるようになるには」というテーマでリクエストさせていただきます。他人のことでは、ある人がその方の置かれた現実やその方自身とをよく理解せずに、実際と大きなギャップのある考えや行動をしていることがよくわかるのに、自分のことになると見えません。
どうしたら、現実の自分を捉えることができるでしょうか。
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なぜ、自分自身の現実が据えられなくなってしまうのか?

私たちが生きていく中には、ふっと、リアリティーを感じられずに自分を見失っているような感覚に気づくことがあるのではないかと思います。

感情を感じることは癒しの基本なのですが、感情を切り離した自立の段階にある時、自分でも自分のことがわからないといった感覚を覚えることがあります。

実はこの「わからない」というのも感情のひとつで、私たちが自立の段階へと成長するまでに、たくさんの心の傷(痛みの感情)を自分自身から切り捨ててしまったことにルーツがあるのです。

心理学用語では、これを否認と呼びますが、否認の状態に陥ると、私たちにとって必要な兆しやサインから目を背けたり、何の根拠もないのに、楽観的なものの考え方をしてしまい、結果的に自分には問題がないふりをしてしまうのです。

しかしながら、私たちが否認状態にある時でも、そこでの感情や思いなどの葛藤が完全になくなってしまうわけではないんですね。

否認のかたちは、自分自身に向けられる場合と自分の外側(人や状況など)を対象に向けられる場合とがあります。

しかし、どちらも状況に関する要素を正確に把握できなかったり、自分との関連が見つかりにくい状態にあるために、今よりもよりよいかたちで受取ることができたはずの次のステップを自分に与える(選び取る)チャンスを逃してしまうのです。

●否認とハートブレイク

そもそも否認は、過去の心の傷がもとにあり、その痛みを感じることを避けようとすることから起こります。

また、ハートブレイクは、本来持っていない間違った意味を自分に与えてしまうことで起こります。

その間違った思い込みのせいで私たちが自分自身を愛せないでいる時、裁きの思いや批判や判断がある時などに感じる感情は、たいてい気持ちの良いものではないですよね。

だからこそ、私たちは無意識にそれを隠してしまうのではないかと思います。

●否認が起こっているとき

では実際に、私たちが否認してしまっているという事実は、どのように自分で気づいていくことができるでしょうか?

私たちが感じたくない感情から自分自身を守る防衛的な方法として、その痛みにまつわるすべての感情や要素をかたくなに否認しているとき、こんな風に考えてしまうことはないでしょうか。

「これ以上、心の傷を感じないようにすれば、痛みの問題に悩まされることはなくなるだろう」
「自分さえ問題を認めなければ、問題は何もないことにできるはず」

このように信じている人もいるかもしれませんが、残念ながら良い方法とはいえません。

痛みを遠ざけるだけの防衛は、本来の自分自身との繋がりや周りとの繋がりを退け、何もない状態か、むしろ、あらゆることを困難な状態にしてしまうからです。

ここでの問題は、次へのステップへの怖れを表しているといってもいいでしょう。
否認とは、怖れや喪失に対する不適切な防衛からやってくるのです。

そのため、否認に陥っている時にはマンネリ感や停滞感、焦りを伴うこともあるのです。

一方で、自分の感情との繋がりを絶つことは、ヒステリー症状とよく似たものなんです。
ヒステリーとは多くの感情を感じているように見えて、実は感情を避けていることから起こるのです。

●現実の自分を据えるためのヒント

否認が、間違った思い込みからくる痛みを一瞬で隠したりごまかしたりできるものだとしたら、そこには私たちの何らかの判断が隠れています。

また、心理学では、自分に関するすべての問題は、たとえ自覚がなかったとしても、自らの潜在意識のパターンに従って起こっているということを教えてくれています。

潜在意識のパターン=「自分の心を映し出したもの」つまり、私たちが気になった情報というのも、実は、投影の法則を用いて投影を取り戻すというプロセスをおこなってみると、自分自身が今どのような状況にあるのかを理解するための材料にすることができるのです。

否認が起こっている事実を認めた上で、自分に関する心のやり取りを深く追求するには、少し勇気がいるかと思いますが、ご参考までにいただいたリクエストからの文章を引用し、その手順を当てはめてみましょう。

「他人のことでは、ある人がその方の置かれた現実やその方自身とをよく理解せずに、実際と大きなギャップのある考えや行動をしていることがよくわかるのに、自分のことになると見えません。」

「ある人が置かれた現実」というのは、あなたから見て、どのような現実をさしているのでしょうか?
実はこれこそが、あなたが感じている現実なのかもしれません。

「その方自身とをよく理解せずに」からは、あなた自身が自分を理解できていないことに対して苛立ったり、批判しているところはないですか?

「実際と大きなギャップのある考えや行動」という部分では、ギャップを埋めようとすることにリスクがありすぎると考えてしまうフシはありませんか?

●感情を感じることに意欲的になってみよう

変化への怖れから来ていることへの対処法は「今の生き方よりももっといい生き方がある」あるいは、「私たちがはまってしまっている状況に対してもっとよい対処法があるはずだ」と認識を新たにすることで意欲をもつことです。

あなたが自分自身から隠そうとしているものは何か、心を込めて訊ねてみましょう。

たとえそれがどんな感情であったとしても、真の感情に進んで気づき、体験していくと、正気を失ったような無気力な状態から脱出して、自分自身との繋がりや人とのパートナーシップを持つことができるようになります。

まずはあなた自身の感情を感じることが、人生を楽しむカギになります。
ひとりで取り組むのが困難な時には、私たちカウンセラーを頼ってみてくださいね。

この記事を書いたカウンセラー

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恋愛、夫婦関係、職場の人間関係、転職・キャリアほか、自己実現など幅広いジャンルに対応する。 わかりやすいレクチャーをモットーに、感覚やインスピレーションを活用するハートフルなセラピーとの両面で癒しのプロセスを後押しするのが強み。自分のペースで気づき、変化、成長できると好評である。