葛藤を癒すメディケーション

人間は生まれる前、母親のお腹の中でへその緒を通して一つにつながっていま
した。そこにある境地は大人になった今、わかるべくもないですが、とても、
一体感に満ちた安心できる境地であったことでしょう。
そこから母親の陣痛を経てこの世に生まれ落ち、人は成長してゆきます。
成長する過程で起きる様々な出来事、それは素敵なものかもしれないし、ある
いは辛いことだったかもしれません。
それらの出来事を通して人は、いろいろな側面(キャラクター)を持ちます。
親の前ではいい子になるなどは、わかりやすい例です。
いろいろな側面ができてしまうこと自体は悪いことではありません。でも、あ
まりに多くの側面を持ってしまうと、決断するのに時間がかかってしまい、葛
藤しやすくなります。
今回のエクササイズでは、僕たちカウンセラーの基本である「統合」を使って
葛藤を癒してみましょう、といった主旨です。
葛藤を癒すことにより、シンプルに物事を考えられるようになったり、本当に
自分が望んでいる選択肢に気づくことが出来ます。
1.解決を望んでいる「葛藤」を選んでください。
  例:「買い物をしたい」けど「貯金もしたい」
  注意:ここで挙げる葛藤はポジティブなものでないと効果はありません。
     例えば、掃除はしたくないけど家にはいたくないなどという葛藤は
     今回のエクササイズには向いていません。
2.それぞれの思いを持っている自分を手の上にイメージします。
  例:買い物をしたがっている私を右手のひらの上に、
    貯金をしたがっている私を左手のひらの上にイメージする。
  それぞれの「私」はどんな姿でしょう?表情は?姿勢は?色は?
  出来るだけ詳細に、手のひらの上でイメージしてみてください。
3.それぞれの「私」に言い分を言わせ、議論させましょう。
  例:買い物したい私「今月はよく働いたから、ごほうびよ。」
    貯金したい私「いや、来年海外旅行に行くためには、ここで踏ん張っ
           て貯金しなきゃ!」
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4.ひととおり意見を出し合ったら、両手のひらの「私」をそれぞれ、光のボ
  ール状に溶かしていきましょう。
  それぞれの両手の上で、光のボールが何色なのかもイメージしてみてくだ
  さい。
  例:イメージを溶かした結果、「買い物したい私」はオレンジのボール、
    「貯金したい私」は黄色のボールになった…など
5.両方の手のひらをゆっくりと近づけ、手のひらを合わせます。
  注意:あまりに葛藤が強いと、まれに手が上がらなくなります。
     その場合は無理にくっつけようとせず、解決を望んでいない気持ち
     があるのではないか、ということに気づき、その動機を探っていっ
     たほうがよいです。
6.手のひらが合わさったら、その感じをよく感じ、ゆっくりと開きます。
  開いた両手のひらの上に、どんな「私」が生まれているでしょう?
  2人の要素をうまく組み合わせた「私」かもしれないし、
  片方のイメージがすごく強い「私」になるかもしれません。
  また、2人の要素から完全にかけ離れた「私」が生まれたりもします。
7.そのイメージがある両手のひらを、ゆっくりと胸に当て、そのイメージが
  全身に広がり、エネルギーになってゆくのを感じてください。
8.充分感じたら、今回取り上げた葛藤に対してどんな感じがするか、確認し
  てみましょう。
このエクササイズはもちろん誰にでもできるのですが、感情を客観的に捉える
ことのできるような、自立的な人はより取り組みやすいです。
ぜひ、お試しくださいませ。
from 高橋 大

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己イメージの変革・男女関係・人生の目的 を探す、などの分野を得意とする。 心の力学をわかりやすく説明する理性的な側面と、多くの臨床経験を通して培った直感的な把握能力をもってするカウンセリングに定評がある。 長期的な支持を受けることも多く、長い目で見守るスタンスを重視している。