『バイオグラフィー』を語る  

両親や夫(妻)、彼(彼女)など身近な人に対しては、ついつい感情的にな
ってしまいますよね。
「腹が立つ!」「顔を見るのも嫌!」「何を考えているのかわからない!!」
嫌な気持ちがおさまらないこともあるかもしれません。
心理学の本を読んだり、カウンセリングを受けたりすると、「わかってあげ
る」「許してあげる」ということが必要だと理解することはできるのですが、
実際にそれをするのはなかなか難しかったりします。
そしてその理由のひとつが、その人との距離が近すぎるために、感情が大きく
なりすぎて客観的に見ることができないためだったりします。
例えば、あなたがお父さんのいい加減さに腹を立てているとします。
でも、同じようにいい加減な人がテレビや映画の登場人物だったり、あまり
近くない友人や職場の人だった場合には、あなたはお父さんに腹を立てるほどに
は腹が立たないのではないでしょうか?
それは、その人とあなたの間の距離が遠いため、その人のことを客観的に見る
ことができるからです。
「いい加減だけど、すごくやさしい」とか、「全体的にいい加減だけど、仕事
のときだけはちゃんとしている」などほかの面を見てあげる余裕もあったりす
るかもしれません。
でも、それができないくらい近くにいるのが、両親や夫(妻)、彼(彼女)と
いった身近な存在なんですよね。
そこで、今回はそういう身近な人を客観的に見るために、その人のバイオグラ
フィーを語る(書く)という実習をしてみましょう。
『バイオグラフィー』日本で言うと伝記ですが、その人が生まれてからこれま
でのことをお話にしましょう。
あなたの知っているだけの情報をかき集めて、わからないところは適当に創作
して、その人の人生をお話にしてください。
これは、紙に書いても、パソコンで文書を作っても、口でぶつぶつ語っても
どんな方法でもOKです。
その人の人生をあなたが語ってください。
このときのポイントは、あなたが伝記作家かナレーターになったつもりで語る
こと。
もし、アルバムなどが手元にあれば、それを見ながら語るのもいいですね。
エピソードがあれば、それをできるだけ具体的に語ってください。もし、エピ
ソードを知らなければ、写真やその人から想像されるお話を作っちゃってくだ
さい。
生まれたときのこと、子供の頃のこと、中学時代、高校時代、親子関係や友達
関係、クラブ活動、恋愛などなど。仕事のことや結婚生活、さまざまな場面で
その人がどんなふうに過ごしてきたかを語ってください。
私は、このエクササイズをすると、「あぁお父さんにも子供のころがあった
んだなぁ。苦労したんだなぁ」とか、「お母さんもかわいくて楽しいころがあ
ったんだなぁ」などとついつい泣いてしまいます。
すると、気がついたら、その人を許してたりするんですよねぇ。
もちろん、許せない人だけじゃなく、大好きな人にやっていただいてもOK
です。
from 前田 紀美子

この記事を書いたカウンセラー

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