忘れゆく事を自分に許す

この原稿を書いている今日はししょーのししょーが来日し、
東京でセミナーをやっている真っ最中でしょう。
私も今回は参加しておりませんが、その昔何度か参加し、
その度に大きな気づきを得られたので
今日はその時の話しをしたいと思います。
ししょーのししょーのセミナーは心理学系のセミナーでも
かなり頻繁に心と向き合うための宿題が出ます。
しかも毎回毎回変わっていて、
「直感で、自分の人生から決別した日を思い出す」とか
「今の自分を愛の視点から見たらどう見えるか」とか
通常なら考えつかないような質問が
ウィットに飛んだジョークと一緒に問いかけられます。
しかし、その日は午前中に
「人生で一番辛かった出来事を思い出す」
という超ド直球な宿題が出ました。
宿題としても、かなりハードなやつです。
その後、ランチの時間となったのですが、
その宿題に加えて、しっかり自分の心と向き合うために
必要事項以外喋ってはいけないという
「無言の行」も付け加えられました。
ランチはセミナーの初日に分けられた
8人程のグループで取ることも義務付けられていました。
確かこの宿題は4日間のセミナーの3日目だったと思いますから、
グループのメンバーはだいぶ打ち解けられて仲良くなっていました。
私は元々自発的に喋ることが苦手で、
場が許されるなら何時までも無言で過ごせる人なのですが、
ダメな人は本当に苦行だったでしょうね^^;
折角仲良くなったメンバーと
ちょっとお通夜のようなランチの2時間を終え、
(黙っている上に、
 人生の辛かった出来事を思い出す宿題が出ていましたからね)
セミナー会場に戻ってきました。
ランチの後は、
海外のセミナーらしくダンスタイムが設けられていました。
日本で行われているセミナーでは
あまり見聞きしたことがありませんでしたので、
私はこのダンスタイムが毎回楽しみでした。
ダンスタイムへの取り組み方も自分のパターンが出るので
物凄く面白いのですが、
この日、セミナー会場に入って、
ノリの良いダンスナンバーが聞こえてきた瞬間、
私は号泣してしまったのです。
一緒に居たグループのメンバーが驚いて
どうしたのかと思って寄ってきます。
私が涙ながらに叫んだ言葉は
「ダメ!こんな楽しい事をしていたら宿題を忘れちゃう!」
この瞬間は宿題を完遂することが
震えが走るほど大事なことだったのか、と思ったのですが、
ダンスタイムが終わってしばらくした時、
「ああ、私は忘れてしまうことがいけないことだと思ったのだな」と
気付いたのです。
これは大きな気付きでした。
私は楽しいこと、嬉しいことがあると
辛いことをスッカリ忘れられる人です。
辛いこととは、つまり、
自分が傷つけられた事も、人を傷つけた事もです。
私はそれを罪深いこととして自分に刻みつけたのです。
楽しいことを自分に許さないという形で。
忘れるという事を自分に許さないという形で。
これがこの宿題の「正解」だったのかはわかりません。
しかし、私にとってこの気付きは大きなヒーリング体験でした。
もちろんその後、他の参加メンバーも
その人なりの癒やしと気付きを得ていたのを見ると、
それぞれがそれぞれの「正解」を見つけたのでしょうね。
「忘れる」というのは、究極の許しだと思います。
私もだいぶ許しが進んだのか、
こうやってシリアスにゆっくり自分の心の奥底を探らないと
「何があったら自分がこうなったのか」
話せないぐらいになりました。
そういえばカウンセラーの勉強を終えた卒業式の時、ししょーに
「あなたの人生に何がありましたか?」と聞かれたのですが、
喜びと嬉しさのあまり「忘れました」と答えたぐらいです。
(ほとんどのメンバーが辛い時と
 それを乗り越えてきたことを思い出して涙ぐむ場面で、です)
多分、自分の人生がより良い方向に進んでいれば、
それで良いんだと思います。
忘れゆくことを自分に許して居ないなと思われた方。
自分に忘れゆくことを許してみてください。
「忘れられないから辛いんだ」という方も、
ただ、そうすることを自分に許してみようと
この瞬間、思うだけで結構です。
もし、忘れることが
耐えがたい程の罪だと思われる方がいらっしゃるのなら、
こんな考え方があることも知っておいてください。
忘れると似たような言葉に「風化」という言葉があります。
風化には3つの意味があります。
1つは自然の作用の「風化」
2つ目は記憶や意識などが月日とともに薄れていく、
まさしく「忘れる」という意味の「風化」
3つ目は徳によって教化するという意味です。
3つ目はあまり普段使われていませんね。
私も震災関連の事を調べていた時に初めて聞いた使い方で、
辞書を引いて確認した程です。
でも、こんな「風化」だったら素敵だと思いませんか?
きっと、私の体験も風化され、
人生という名の船を進める優しい風として吹いているのだと思うのです。
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