テーマパークの「場所取り父さん」

先日、家族で「キッザニア甲子園」というテーマパークに行ってきました。
ここは「子供の国」。子供達がいろいろな仕事(アクテビティ)を体験することができます。
働くこと、給料をもらうこと、もらった給料を使ったり、貯めたりすること・・・。大人はそんな子供の姿を見ているだけなのですが・・・。それでも、一生懸命にがんばっている我が子の姿はいくら見ていても飽きないもので、カメラを片手に息子の勇姿を追いかけてしまいます。
ふと休憩エリアに目をやると、テーブル席で子供に付き添ってきたお父さんたちがイスに座って寝ているのが見えました。
「仕事で疲れているのに、家族サービスも大変だな。休みたくもなるよな。」と思いながら通り過ぎようとしたときのことです。
そのお父さんのところに、母親と娘さんがにこにこしながら帰ってきて、「疲れたね!休憩できてよかった。次はどこにしようか?」と言っていました。
うれしそうにはしゃぐ母と娘を、何も言わずに見ている父。でも、その表情は、なんだかうれしそうで、優しい目をしていました。
そして、どこかしら、誇らしげでもありました。
その時に思ったんです。
このお父さんは「自分は疲れているから・・」と言うことにして、実は、奥さんと子供が疲れた時に帰ってくる場所を確保していたんじゃないかな?と・・。そして、「あぁ~疲れた!」と帰ってくる妻と子が当たり前のように、自分の側に座って、休憩するのを見て「俺って役に立っている」と感じたんじゃないかなぁ・・・と。
男という生き物は、「俺って役に立っている」と感じることができると、ほっとします。
結構、がんばれたりもします。
いくら、疲れているからといっても、ずっと場所取りをしてるのは退屈だし、決しておもしろいことではないと思います。
でも、何時間もそうしていられるのは、そこに帰ってくる家族がいて、当たり前のように、自分が作った場所でくつろぎ、楽しそうに過ごす姿を見て、「俺って役に立ってる」と感じることができるからなのだと思うのです。
私は息子の姿が見たかったので、ずっと妻や息子と一緒にいて、息子の写真をひたすら撮っていたのですが、休憩するための場所取りはしていませんでした。
休憩する場所がなくて、疲れた様子の妻や息子を見ると、なんだか申し訳ないような気持ちがしたり、さっきの「場所取り父さん」と自分を比べて、俺って役に立ってないなぁ・・そんな気持ちにもなって、イライラしてしまったりもしました。
ようやく、家族で座れるスペースを見つけ、休憩を取りながら、さっき見た「場所取り父さん」のことを妻に話すと、「へぇ~、そんな見方もできるんだねぇ・・。わたしは、他人の迷惑も考えずに、場所取りなんかして!!としか見えなかったし、せっかく一緒に来たんだから、子どもががんばってる姿を見てあげたらいいのに~!!って思ってたわ」とあっけらからんと言われました。
そして、「わたしは、疲れてるのに、ちびの姿をいっぱいカメラで撮ってくれる方がうれしいなぁ・・」と。
その言葉に「俺って役に立ってた!!」と、思わずにんまりしてしまった私。
男って単純ですね。
帰り際、息子は自慢そうに「こんなにお金もらった」と見せてくれました。
初めて働いて給料をもらったことで自信を持ったようで、息子の顔は誇らしげに輝いていました。
帰るときに、出口にあるショップ(売店)で何かおみやげに買って帰ろうかといろいろと見ていると、「僕が払う!」と言って、もらったお金で払おうとしてくれました。
息子のもらったお給料は、アクテビティでしか使えないので、残念ながら払ってもらうことはできなかったのですが、息子の「何かをしてあげたい」と思う気持ちをすごく嬉しく感じました。
何かをしてあげることができる、誰かの役に立っている、そう感じられることは「幸せなこと」だなぁ・・としみじみと感じた一日でした。
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