◇東京の朝ゴハン

秋晴れの中、久しぶりの東京。
生まれは関西のちょい田舎(いわゆる「ムラ感覚」充分残っている所です)、
育ったのもやっぱり関西のちょっと田舎。
他の地域にお邪魔するときはあまり緊張しない私も「東京、お江戸」となりま
すと実は少しばかり意識に緊張が走ります。
「郷に入れば郷に従え」とばかりに自分で「不自然やな〜(自分の中のツッコ
ミは関西弁です)。」ってたっぷり感じながらも、普段話している関西弁が崩
れていきます。
更には普段も少々高めの自意識さんが、さらに高くなり服装なども周囲と浮い
ていないか気になってしまい地下鉄や電車内では同年代と思われる方たちの服
装の傾向を綿密にチェックします。
都会の子でない指標、3点セット、らくらくクリアです。
現在のカウンセリングルームである品川、御殿山。
私の勝手なイメージの「ビルいっぱい、人いっぱい、冷たい、恐い」(本当に
失礼な偏見ですけれど・・・)とは少し違って閑静な住宅街の模様です。
さてさて、出張中は朝ゴハン、昼ゴハン、晩ゴハン、と知らない土地で調達せ
ねばなりません。普段はひとりで外食するのにもあまり抵抗のない私ですが、
やっぱり東京。
やや緊張気味。(-“-)
清々しい朝を迎えたものの、近所のお店はコンビニくらいしか分からない。
そこへ、東京在住、竹田カウンセラー登場。
こういうところで昔にお世話になった方に会うのはとても心強い。
近所の喫茶店を教えてもらい、さてコーヒーでも飲みにいきましょか、と。
入ったお店は、1台の大きなダイニングテーブルと3席程度のカウンター席が
ある可愛らしい喫茶店。白髪交じりの髭がいい雰囲気を醸し出している店の
ご主人が、せっせとパニーニを焼いていらっしゃる模様。
先客はご夫婦と小学生低学年くらいでしょうか、の男の子のご家族連れ。
じっくり淹れていただいた香りの良いコーヒーを頂きながら、ひとりはやは
り手持ち無沙汰で、心の中で「ゴメンナサイね」と呟きつつも、ついついご
夫婦の朝の会話に耳を傾けてしまいます。
お題は「学校の先生の子供さんに対する教育について。」奥様と旦那様で
「こういう態度は正しくない」とか「これはおかしいんじゃないか」などと
熱心にお話されています。
さすが東京(まるっきり偏見です)、土曜の朝からご夫婦で熱心な・・・。
しかし、このご夫婦の間の議論の緊張も、私の変な偏見によるちょっとした
緊張も解いてくれたのはこの小学生くらいの男の子。
店のご主人が焼いているパニーニに興味を持ったんでしょうね、私が座って
いたカウンター席の隣の空席になんとかよじ登ろうとする彼。
その一生懸命な様子が微笑ましく、思わず「にたーっ」とついつい笑いかけ
る私。
私の笑顔を受け入れてくれた彼は、席の上で膝立ちしつつ中のキッチンを興
味しんしんで眺めます。
今度は店のご主人がにっこり笑顔を向けつつ、男の
子に話しかけてください
ました。
そして、満足して席をピョンっと飛び降りた彼はご機嫌でまだ議論中のお母さ
んのもとへ。お母さんはご機嫌な彼の様子に、ふっと力を抜かれた様子でご夫
婦の会話も「正しい、正しくない」の議論から今日どうしようか、という楽し
げな計画へ。
そして、私にも気付かれたご夫婦は、お二人でにっこりと笑顔を向けてくださ
いました。
お店の中の空気が一度に暖かいものに変化しました。
お子様をおもちのご家庭ではよくある光景なのかもしれませんが、知らない土
地でひとりの私にとっては彼はまさにパワフルな天使さんでした。
出張で肩に力の入った私のリラクゼーションを一瞬でしてくれたなんて事は、
彼は全く自覚がないことでしょう。
人を思わず笑顔にしてしまうような「愛される力」や「繋がりをつくる力」と
いうのはとてもパワフルな癒しをもたらす力があることを再認識させていただ
きました。
本当は私たち、皆が「こども」の時代には実はこんな力をどこかしこで発揮し
ていたのでしょう。
私たちは大人になるにつれて、自然に持ち合わせている「愛される力」を忘れ
て、他の自分を守ってくれると信じるもの、お金だとか、資格だとか、肩書き
だとか、知識だとか、プライドだけに頼ろうとして生きているのかもしれない
な、と思います。
でも、どんなこども時代の記憶の奥底にもあなたに向けられた笑顔が少しでも
思い出せたとしたら、、、。
自分自身が生まれたときから実はもっている「愛される力」と繋がることがで
きるのかしら・・・などと、自分のこども時代をまた今までと違った目でもう
一度見ることが出来た東京の朝ゴハン。
あなたの「こども」の時代には、一体誰を幸せにしてあげたのでしょうね?
きっとあなたが思うよりも、本当にたくさんの人たちに役に立ってるはず・・
・、ちょっと想いだしてみませんか?
そして、今は帰ってきた神戸の自宅より愛をこめて。

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