●力を抜いて、自分に戻る

今回のコラムを書くにあたり、これまでにないほどの脂汗と冷や汗をかいてしまいました。
というのも、書けないんです。
。。
書くことがないというのとも少し違うのですが、いざ書こうとすると、一文字も先に進まないのです。
そんな状態でウンウンうなっていると、それを見ていた奥さんが僕に言いました。
「そんなに力を入れているから書けないのよ。もっと力を抜いて、書きたいように書いたほうが、いいコラムができると思うよ。」
奥さんの言葉を聞いて、僕はハッとしました。
「読んでくれる人にとって、ためになることや役に立つことを書かなきゃ…」
「読む人が嫌な気分にならないように書かなきゃ…」
「カウンセラーとして、間違ったことや変なことを書いてはいけない」
そんなつもりは全然なかったけど、知らず知らずのうちに力が入り過ぎていたようです。
こんな気づきがあった時にはカウンセラーの悲しい性で、ついつい分析をしてしまいます。
いいものを書こうと頑張ることは悪いことではないと思いますが、どうしてこんなにしんどいのか?
その部分を探ってみると、どうも、ネガティブな感情が基になっているような感じです。
いいものを書こうとする動機を探してみたところ、確かに、「これを読んでくれる人に何か役に立ちたい」というのもあったのですが、「立派な優れたカウンセラーに見られたい」「すごいと言われたい、見られたい」という、「カッコつけたい自分」が隠れていました。
この「カッコつけたい自分」の下に隠れている「カッコ悪くてどうしようもない自分」を感じた時の感情や感覚が、力み過ぎてしまう原因になっているようです。
そういえば、この「カッコ悪くてどうしようもない自分」って、仕事以外にもいろんなところで感じているなーと思いました。
それは、友人関係だったり、家族関係だったり、夫婦関係だったり。。
よくよく話を聞いてみると、奥さんは、僕のそんな部分を見ていて、知ってたようなんですね。
しかも、僕が自分で嫌って攻撃している「カッコ悪くてどうしようもない自分」の部分も、ちゃんと見て、受け入れて、愛していてくれたんですね。
そして、「カッコ悪くてどうしようもない自分」は誤解だということも教えてくれていて、そんな部分を全部ひっくるめて、あの一言が出てきたみたいなんです。
僕は、「すごい人と結婚したんだなー!」って、びっくりしました。
前々からすごいすごいとは思っていたけれど、いつも側にいるから当たり前になってしまっていたけれど、改めて、奥さんとパートナーシップを持つことが出来た喜びと幸せを感じずにはいられませんでした。
奥さんとのことに関しては、今回の出来事があって本当によかったなーと思う気づきがあったのですが、よかったなーと手放しで喜ぶことができない気づきもありました。
僕はこうしてカウンセリングの仕事をしていて、多くの方のお話を聞かせていただいたりお話をさせていただいていますが、その根底には、いつもこの「カッコつけたい自分」というのがいたように思います。
そのために、力が入り過ぎていたり、自分の保身のために言ったりやったりしていた部分があったのだと思います。
カウンセリングをする動機の中に、「自分の身を保ったり守ったりするため」というのがあるということは、とても残念で、すんなりとは受け入れ難いことですが、悲しいし、恥ずかしいけれど、事実です。
奥さんの一言から出てきた、触れたくない、認めたくない、この事実。
これまでのこと、これからのことを考えると気が重〜くなります。
「今まで何てことをしてしまっていたのだろう…」という後悔。
「こんなことでこれから続けていけるのだろうか?」という怖れと疑い。
これを持ったまま、また明日からカウンセリングをするのかと思うとゾッとします。
しかし、これに気づくことができた今、それはもう全てを投げ出して逃げ出してしまいたいくらい嫌なことだけど、この事実を受け入れました。
そして、これもまた全てを投げ出して逃げ出してしまいたいくらい怖いことだけど、自分を隠して取り繕う力を抜いて、そのままの自分自身でカウンセリングをすることを決めました。
明日からは、昨日までとは違う、新しい「木村祥典」でカウンセリングをします。
このことをコラムに書くことについて、とても悩みました。
これは、カウンセリングをする人が言うことではないことなのかもしれません。
けれど、これを隠したままカウンセリングをするのは決してお客様のためにはならないし、お客様のためにならないことはしたくありません。
これを隠したままカウンセリングをしても、いいカウンセリングはできません。
「カッコ悪くてどうしようもない自分」が完全に完璧に無くなったわけではないけれど、少なくとも一つの鎧を脱いだわけですから、その分だけお客様の側に近づくことができます。
それが、「一緒に感じて、一緒に進む、本当にお客様のためになるカウンセリング」につながることを信じて、よりよいカウンセリングができるように精進したいと思います。
こんな僕でよかったら、お話聞かせてくださいね!

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