●自分探しの旅

先日リフレッシュ休暇を取った際に、群馬の草津温泉へ一人旅に行ってきました。
今回のこの旅の目的はただ一つ。
「何もしないこと」
これだけでした。
丁度その頃、僕は仕事でもプライベートでも、よりよい状態を目指してがんばるけれどうまくいかなくて、煮詰まっている状況でした。
それを知ったある人から「一人旅に行ってきたら?」という提案があり、奥さんの強い勧めもあって、気乗りしないながらも行く事にしました。
気乗りしていないので、どこに行こうか?何をしようか?という事に関して積極的になれず、とりあえず草津に行くことだけを決めて宿も取らないで出発しました。
旅行の計画の時からずっと気乗りしなかった理由の一つが、仕事を休むことです。
「もっといい仕事をしたいのに、いっぱい仕事しなきゃいい仕事できないのに、仕事を休むなんて…」というのが草津に着くまで僕の頭の中をグルグルしていました。
草津に着いて宿を決めて部屋に入り、荷物を降ろして一息ついた時、僕はほっとしてくつろぐ訳でもなく、旅に心躍る訳でもなく、沈んでいました。
「やっちゃった…」「仕事休んじゃった…」「後悔してももう遅い…」
何かとっても悪い事をしているように感じました。
とりあえずお風呂に入り、夜ごはんを食べましたが、相変わらず気分は沈んだままです。
旅の目的に沿い、本も読まず、テレビも見ず、何も話さず…
時間を持て余します。
「何もしないでおこう」とがんばって何もしないようにしているのですが、仕事の事や家族の事や将来の事など、いろんなことが次々と浮かんできます。
何もしていないのに、何だか気ぜわしくて、落ち着きがなくて休まりません。
他にやることがないので、とりあえずお風呂に入りました。
そこで気づいたのですが、お風呂に入ると思考が止まるんです。
「う゛〜〜〜」「あ゛ーーー」と言ってる時、仕事の事は気になりません。
「硫黄の香りがー」「お湯が目にしみる〜」という時、将来の事など全く考えていません。
「白旗源泉のお湯はどんな感じなんだろう??」と思いを馳せている時、気ぜわしさも、落ち着きのなさも感じません。
「気持ちいいな〜」「熱いな〜」「う゛〜〜〜」「あ゛ーーー」 ただそれだけの時間を過ごしていました。
草津のお湯で体も心もほぐれたのか、ようやく疲れを感じることができるようになってきました。
体がダルくて肩や腰の痛みを感じます。
そして、考える事が面倒くさくなってきて、考える気力が湧いてきません。
それをそのままにしておいて、ただ「ダルい〜」「しんどい〜」という状態でいました。
そうしてそのままの状態で放っておくと、初めは頑張って何もしないようにしていたのが、何もしたくなくなりました。
さらにそれをそのままの状態で放っておくと、本当に何もしなくなって、何も考えなくなりました。
結局、草津にいる間にしたことは、眠たくなって寝る事と、お腹が減ってごはんを食べる事と、気持ちいいからお風呂に入る事のたった3つになりました。
この3つだけで、あっという間に1日が過ぎてしまいます。
しかし、そんな1日を過ごしても、自分1人だけですので誰にも迷惑はかかりません。
堂々とそんな1日を過ごす事ができて、まさにストレスフリ−の状態でした。
そんな日を数日過ごすと、「やらなければいけない」義務感ではなくて、「やりたい」欲求が顔を出し始めました。
仕事の事、家族の事、将来の事…
旅行前に悩んでいた事と内容は同じなんですが、種類は全然違います。
プレッシャーや責任感が動機となった「こうあらねばならない」といったものではなく、「お腹が空いたからごはんを食べたい」というのと同じように、特に理由も動機もなく自然とそう思ってそれを求めているような感じです。
欲求を満たすことに関しては、これもまた自然と意欲が湧いてきます。
こうして少しずつ自分の中が動き出したのを感じながら草津から帰ってきました。
草津から帰ってきてから、ボーッとし過ぎたせいか、考えるということができなくなって困ってしまうこともありましたが、それでも、草津に行ってきて本当に良かったな〜と思いました。
何より1番良かったのが、帰ってきた僕を迎えてくれた奥さんの笑顔!!
僕がいない間、寂しい思いをしたこともあったでしょうし、心配する事もあったでしょう。
それでも笑顔で迎えてくれる奥さんは、本当によくできた素晴らしい奥さんだと思います。
そんな奥さんの愛に包まれて、僕は幸せをいっぱい感じるのと同時に、「ありがとう!」と「大好き!」という、気持ちが僕の心から自然と湧いてくるのも感じて、僕は、迷いなく自信を持って奥さんに「ありがとう!」「大好き!」を伝える事ができました。
今回の自分探しの旅は、自分の心や体とつながり、自分の心や体の声を聞いてその欲求を満たし、元気とやる気を充電する旅となったのでした。

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