●書道教室の先生

書道教室のある日、先生から事情があって来られないと連絡がありました。
そして、私が先生の代わりを務めることになってしまいました。
以前から先生には「私が来られない時には、代わりに教えて欲しい」と言われていたんです。
今年の年賀状には「紘美さんに期待しています」と書かれていました。
そしてついにその日が来てしまいました。
その日は課題の締切になっていて、課題を仕上げないといけませんでした。
私にそんなことができるだろうか、と思いました。
でも、思い悩んでいても仕方がありません。
子供達がこれまで練習してきた成果を充分に発揮できるよう、できることをただ精一杯やるだけです。
課題は、その月毎に決まっていて、1ヶ月くらい時間をかけて仕上げていきます。
でも、部活動や事情があって、そんなに時間をかけられない子もいます。
その日、部活動で教室を休んでいた子達が来ました。
その子達は、その日1日で課題を仕上げないといけません。
「この子達の今月の成績が悪かったらどうしよう・・・」一瞬そう思いました。
でも、次々に子供達はやってきます。
無我夢中で子供達と一緒に課題に取り組んでいるうちに、いつの間にか不安なんてどこかに行ってしまいました。
子供達と接しているうちに、子供達なりに私に気を使ってくれるんだなあと感じられることがありました。
私が準備をしていたら、早く来た子が手伝ってくれました。
自分から「もう嫌だ」とか「もう駄目だ」とあきらめてしまう子はいませんでした。
片付けも最後になった子が手伝ってくれました。
その日、最後に教室に来たのは、小学生の頃からずっと教室に通っている中学生の子でした。
見ていると、その子は、自分なりにお手本と自分の書いた字の違うところを見つけて練習していました。
私は、彼女の成長ぶりにただひたすら感心していました。
教室が終わって、振り返って気付いたのは、子供達がこれまで学んできたこと、子供達の上手になりたいという気持ち、子供達の持つ力を信頼すればいいといいうことでした。
思うように、上手く書けないということは、大変な苦痛になることがあります。
私もそうでしたし、それで何度もやめたくなったことがあります。
でも、あきらめずに練習すれば上手くなるんです。
ですから、子供達には、練習を嫌わないで欲しいと思っています。
それで今回は、最初に書いた字と最後に書いた字を比べて、最後に書いた字の方が上手に書けていること、それは頑張って練習したからなんだよ、ときちんと伝えるようにしました。
些細なことかもしれませんが、子供達にとってこのことが成功体験となって、将来につながって欲しいと思っています。
子供達が将来、自分にチャンスを与えてあげられるように、やりたいことを諦めなくていいように、そう願っています。
これから、私が書道を通じて得たものを子供達に伝えて行こうと思っています。
そして、カウンセリングを通して、皆さんにお伝えしたいと思っています。
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